TSMCが日本へ!注目の素食(ベジ)対応は?

台湾の半導体世界最大手「台湾積体電路製造(TSMC)」がソニーグループデンソーと共同で、熊本県は菊陽町に新設工場を作り、2024年に稼働をさせる予定です。同プロジェクトには、経済産業省が最大4760億円の助成をすると発表しており、注目度の非常に高い取り組みとなっております。尚、熊本工場の従業員は1700人規模となる見込みで、日本での採用も進めると同時に、本社台湾からも多く来日する予定とのことですが、同社は台湾でもトップクラスの収入が得られることもあり、現在周辺ではインターナショナルスクールや台湾の金融機関との業務提携などについても慌ただしく整備が進められているとのことです。

さらに、台湾人の14%がベジタリアンであることから、工場周辺地域だけでなく、九州全体でベジタリアン対応の飲食店整備が必須となってくることは間違いありません。ちなみに台湾のベジタリアンのことを、オリエンタルベジタリアンとも呼びます。

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概要

●建設予定地
熊本県菊池郡菊陽町 第2原水工業団地
●設備投資額
86億ドル(約9,800億円)
●従業員数
1,700人

稼働スケジュール

2022年4月 建設開始
2023年9月 竣工予定(装置搬入開始)
~2024年末 生産開始

台湾人の14%はベジタリアン?抑えるべき4つの知識とは?

台湾人の14%がベジタリアン(観光庁

上記図の通り、台湾は世界でインドに次ぐベジタリアン大国で、その比率は14%と国土交通省が発表しています。また、台湾では基本外食文化のため、この需要を日本国内でしっかりと獲得する必要がありますが、そのために必要なことが4つあります。

1.台湾のベジタリアンが食す「素食」のツボをしっかりと勉強する

ここでは詳細の理由は割愛しますが、台湾のベジタリアンで気をつけなければいけないのは、肉や魚(出汁も含む)はもちろんのこと、五葷(ごくん、中国語読みは”ウーシン”)と呼ばれるネギ(タマネギも含む)、にんにく、にら、らっきょ、あさつきといった野菜で、実際台湾のベジタリアンの多くがこれを避けます。コロナ前に日本の飲食店現場でも「いつもの癖で間違えてネギを振ってしまった」などのミスが多発していて、お客様からの信頼を失っているケースが多くあります。

素食に関する主な表記

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2.「ベジタリアン=サラダ」の認識を180度変える

日本の飲食店の多くがベジタリアンメニューの問い合わせを受けたときに「サラダ」を提供しますが、まずこの認識を180度変える必要があります。実際にサラダを提供して「ベジタリアン対応は既にできている」と認識している飲食店は本当に多く、残念ながらビジネスチャンスを逃してしまっています(逃していることに気づかない飲食店がほとんどです)。また、そもそもですが台湾でサラダを食べる文化はほとんどありません。

実際、台湾のベジタリアンは下記のようなものを日常的に食しています。

決してサラダではない台湾のベジタリアン料理

3.日本人が普段食べているものをベジタリアン対応する

台湾のベジタリアンが日本の飲食店に求めるものは何か?それは決して日本の飲食店に「台湾料理を作って欲しい」というものではありません。例えば、以前弊社が台湾のベジタリアンの方に「日本で食べたいものは何か?」とアンケート調査を行った結果は下記の通りでした。

1位 タコ焼き(もちろんタコの入ってないもの)
2位 寿司(もちろん魚を使っていないもの)
3位 オムライス
4位 日本式カレー
5位 ラーメン

つまり、日本の飲食店に求めるのは「日本人が普段食べているもの」を、台湾のベジタリアンが食べられる仕様で提供して欲しいというとてもシンプルなものです。例えばコロナ前に、訪日した台湾のベジタリアンに大人気となっていた「自由が丘菜道」というお店は、ラーメンや、カツ丼、うな重などといった「日本人が普段食べているもの」をベジ&五葷フリーで提供しています。

また「いわゆる精進料理でいいのでしょうか」というご質問も頂くのですが、そもそも精進料理に関する捉え方が日本と台湾で異なり、いわゆる「※日本人が認識している精進料理」の需要は高くありません。ちなみに、台湾のベジタリアンに人気となっている日本のレストランのシェフは「精進料理の技術を使って、現代の日本食を作るイメージ」と仰っています。

※「日本人が認識している精進料理」は、Googleの画像検索で「精進料理」と検索して上位に出てくるような料理を指します。

台湾で提供されている五葷フリーのCoCo壱カレー

4.「言われたら対応する/予約があれば対応する」では不十分であることを知る

ベジタリアン対応だけに限ったことではありませんが「言われたら対応する/予約があれば対応する」の対応だと、残念ながら成果を生むことは難しいです。「異国で、異国の言葉で、自分の食のルールを伝えること」は決して簡単なことではありませんし、それは日本人が海外に行っても同じことだと思います。実際に、日本の飲食店が「ベジタリアン=サラダ」と認識していることや、五葷に関する情報がないことは台湾のベジタリアンもすでに知っていますので、台湾のベジタリアンが飲食店を探すときは「交渉」ではなく、基本WEBや口コミなりで「対応している飲食店」を探します。

また旅行会社の立場でも同様で、「やってますよ/メニューがありますよ」というお店から声をかけていきますが、ここで重要になるのは「団体の中に1人でもいたら、その団体が獲得できる」ということです。「ベジタリアンの方だけ、別のお店を手配する」というのは基本ありえませんので、これこそがフードダイバーシティに対応する一番大きなメリットだと考えています。

団体に1人でもいたら、団体ごと獲得ができる(逆も然り)

以上4つのポイントをしっかりと抑えて、熊本県をはじめとする九州全体で受け入れ環境整備をしていく必要があると考えています。