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杜の都仙台市が取り組むフードダイバーシティ対応
海外や国内主要都市からのアクセスの利便性ゆえ「東北のゲートウェイ」として知られる仙台市は、豊かな自然と歴史的背景を持つ都市として、多様な食文化が根付いています。江戸時代に伊達政宗が築いた城下町として発展し、「杜の都」とも呼ばれるこの地には、美しい自然や歴史的な名所が数多く存在します。東北屈指のパワースポットとして知られる大崎八幡宮や様々な史跡、伝統的な祭りは、豊かな自然と融合し四季折々の絶景を魅せるほか、日本三景のひとつである松島や、秋の紅葉が美しい鳴子峡、蔵王の樹氷へも程近く、訪れる人々を惹きつけています。
こうした観光資源を活かしつつ、近年、ベジタリアン、ヴィーガン、ハラールなど、多様な食のニーズに応える取り組みが進められています。2025年1月20日には仙台市文化観光局主催の「ヴィーガン・ハラール等の多様な食文化対応セミナー」が仙台商工会議所で開催され、市内の飲食店や宿泊施設の関係者約20名が参加しました。
セミナーの背景と内容
仙台市は、過去に「SENDAI Restaurant Guide for Vegans and Vegetarians, Muslims」を作成し、多様な食文化への対応を推進してきました。このリーフレットは、ベジタリアンやヴィーガン、ムスリムの旅行者が安心して食事を楽しめるよう、市内の対応可能な飲食店情報をまとめたものです。
その後も受け入れ環境の整備を進め、先述のセミナーは「令和6年度ベジタリアン・ヴィーガン・ムスリム受入環境整備事業」の一環として開催されました。セミナーでは、フードダイバーシティ株式会社の代表取締役である守護彰浩が講師を務め、世界のフードダイバーシティ市場や各種用語の定義、日本および仙台を訪れる旅行者のニーズ、具体的な食材や調味料の選び方などが解説されました。
特に、異なる食文化間の共通点を見つけ、「みんなが食べられるもの」を一般メニュー化することで、調理現場の負担を軽減する方法が紹介されました。参加者からは、「視点を変えるだけで対応が可能と理解できた」「既存の食材で多様なメニューが作れると分かった」などの声が寄せられました。
仙台市内の対応店舗のご紹介
仙台市によるこれまでの取り組みの甲斐あって、市内における食の多様性に対応した飲食店は増加傾向にあります。以下に、その一部をご紹介します。
だし廊(DASHIRO)
仙台市内に複数の店舗を展開する「だし廊」は、日本の伝統的な「だし」にこだわったラーメン店です。各店舗ごとに異なるコンセプトを持ち、訪れるたびに新しい味わいを楽しめます。例えば、仙台南町通り本店は創業の味を守り続ける原点の店舗でありながらも、野菜のみで仕上げた味噌ポタージュスープのラーメンをヴィーガンメニューとして提供しています。
ケヤキカフェ
仙台市青葉区に位置する「ケヤキカフェ」は、地元の食材を活かしたメニューが人気のカフェです。ベジタリアンやヴィーガンの方にも対応した料理を提供しており、健康志向の方々からも支持を集めています。落ち着いた雰囲気の店内で、季節ごとのメニューやスイーツを楽しむことができます。
仙台市は、今後も多様な食のニーズに応える取り組みを推進し、訪れる人々にとって魅力的な食文化を提供していきます。観光と食の多様性の融合を進めることで、国内外から訪れる旅行者にとって、より快適な滞在環境を整えていくことが期待されます。