2022年の断食月「ラマダン」はいつから?ラマダンの食事にまつわる3つの慣習
2023年のラマダンについてはこちら
↓ハラールやラマダンを学ぶ推奨本
イスラム教徒の義務「断食」ついて知る
イスラム教の六信五行に定められている断食。イスラム暦の9月(ラマダン)の一ヶ月間、日の出前から日没まで飲食をせず、善行や宗教的実践に励むことが義務とされています。断食と聞くと「飲食禁止!」というイメージが強いですが、実際には「斎戒」という表現の方が相応しく、嘘、怒りや傲慢な気持ち、ゴシップ、性交渉などの内面的な慎みが求められることが特徴的です。
日本でも留学生や外国人労働者の増加によって、「ラマダン」という言葉が幅広く普及し、ニュースなどのテレビ番組でも耳にすることが増えてきました。ラマダンという言葉を初めて聞いた方、名前は聞いたことあるけどよく知らないという方は、こちらの「2021年ラマダンはいつから?今さら聞けない「ラマダン」の7つのこと」ご覧ください。ラマダンの基礎情報を簡潔にわかりやすくまとめています。
2022年のラマダンはいつから?
さて、みなさんが気になる2022年のラマダンの期間についてです。
2022年のラマダンの期間は、
開始:2022年4月3日日曜日
終了:2022年5月2日月曜日
*2022年4月2日更新
とされています。
日本新月観測委員会による正式発表
https://fooddiversity.today/en/article_110521.html
イスラム暦は太陰暦を採用しており、現在のカレンダーで採用されている太陽暦とは異なるため、毎年2〜3週間ほどラマダンの開始が早まっていくのが特徴です。したがって、ラマダン月の開始日および終了日も「新月の観測状況」によって多少前後する場合がありますのでご注意ください。
ラマダンカレンダー
宗教法人日本ディヤーナト(東京ジャーミイ)
宗教法人アッサラームファンデーション(御徒町モスク)
一般社団法人Islamic Circle Of Japan(浅草モスク)
ここ5年間のラマダンの期間は以下の通りです。
2021年:4月13日〜5月12日
2020年:4月23日〜5月23日
2019年:5月5日〜6月3日
2018年:5月16日〜6月14日
2017年:5月26日〜6月24日
なお、2023年のラマダンの開始は3月22日とされています。
ラマダン特有の食事にまつわる3つの慣習
冒頭で、ラマダンの断食は飲食だけでない、と言ったものの、ラマダンに「食」に関する特徴があることは確かであり象徴でもあります。しかし、イスラム教に関することはアラビア語の言葉が多く、カタカナで表記されることがしばしばあります。したがって、「聞いたことはあるが、よくわからない」という方も少なくなく、今回はラマダンに関連する3つの食事の慣習をご紹介します。
1. イフタール
イフタールとは、断食後に初めてとる食事のことです。イフタールでは、いきなりご馳走を頬張るのではなく、まずデーツや果物、水などを摂り、消化器官や身体を慣らすことから始めます。また、預言者ムハンマドも以下のように伝えていることから、断食はデーツで解くことが推奨されています。
「斎戒を解く時には、 デーツで解け。実にそれは祝福なのだから。そしてそれがなければ、水で解け。実にそれは清浄なのだから。」(ティルミズィーの伝承)
このデーツは、ファスティング後の安定した血糖値コントロールができるといわれており、「ファスティングの回復食」や「スーパーフード」として、近年日本で注目されている食材のひとつになっています。
日本でもラマダンにはムスリムのお客様にデーツを提供する飲食店もあり、お客様の満足度をしっかり上げています。
デーツで断食を解いた後は、各国の伝統料理が振る舞われます。このイフタールの時間は家族や友人などと過ごし、ラマダンの楽しみの一つになっています。
東京都の小池百合子知事はコロナ禍以前、イスラム諸国の政府関係者や大使館関係者を招待し、東京都主催のイフタールを開催していました。
2. サフール(スフール)
サフールは、断食開始前(=日の出前)に食べる食事のことを指します。
たとえば、日の出時刻が午前4時だった場合、サフールは午前2時〜午前3時30分の間で食べることが一般的です。とても朝早いことから、インドネシアなどではボランティアが大声で「サフール!サフール!サフール!」と叫んだり鳴らしものを使って、近所の住民を起こして回っています。
こちらのサフールも重たい食事をするのではなく、デーツやヨーグルト、おかゆなどの消化がいいものを食べることが慣習となっています。このサフールも宗教的に推奨されており、サフールを食べることが善行とみなされます。
3. イード
イードという言葉は「祝祭」という意味合いが強く、直接食事を指す言葉ではありません。ラマダン後のイードは、「イード・アル=フィトル」と呼ばれ、ラマダン終了を祝う大祭になります。イスラム諸国では学校や会社は休みになり、各家庭は親戚や友人を集めてご馳走を振る舞います。日本でも各大使館やコミュニティ、モスクでイードが行われており、賑わっている光景がしばし見られます。しかし、2020年・2021年とコロナウイルス感染症の発生に伴い、このような集まりは自粛・縮小されているところが多くなっています。
2022年のラマダンはどうなる?
ラマダン中、ラマダン後のムスリム同士での集まりやイベントは、1400年以上前から続いており、ムスリムの楽しみやモチベーションともなっています。しかし、2020年より、ラマダン中のイベントや集まりは大幅に制限され、ステイホームへの切り替えを余儀なくされてきています。このような「忍耐の期間」は歴史的に見ても稀なことだといえます。
さて、2022年は、どのようなラマダンを迎えるのでしょうか?