フードダイバーシティ対応はどこで躓くのか

近年、観光業の回復やインバウンド需要の拡大に伴い、飲食業界における フードダイバーシティ対応 の重要性がますます高まっています。しかし、多くの事業者が対応を進めたくても、いくつかの「壁」に阻まれ、実行に移せていないのが現状です。今回は、フードダイバーシティ対応を推進する際に直面する 3つの主な障壁 について解説します。

① 過去にハードルの高いセミナーに参加した

フードダイバーシティ対応の中でも、特にハラールに関するセミナーでは、過去に非常にハードルの高いセミナーが行われていました。

  • 「対応するにはもう一つ専用の厨房が必要」

  • 「高額な認証が必要だ」

  • 「食材や調理器具を土で洗わないといけない」

  • 「食材の運搬には専用のトラックを使わないといけない」

このような情報を受け取った事業者は、「うちには到底できない」と感じ、フードダイバーシティ対応を諦めてしまうことが少なくありません。実際にはポリシーを整備し、できる範囲から取り組むこともできるのですが、一度セミナーに参加した方の多くが情報を取るのを辞めてしまっているのが現状です。

② 社内での調整が難しい

フードダイバーシティ対応を進めるためには、厨房スタッフ、ホールスタッフ、経営層、購買部など、社内の様々な関係者の協力が必要 です。しかし、以下のような理由で調整が難航することがあります。

  • 「人手不足で特別なことができない」( 厨房スタッフ)

  • 「何か起きたら誰が責任取るのか」(経営層)

  • 「忙しくて対応ができない」(ホールスタッフ)

  • 「安定した調達ができるのか不安」(購買部)

この壁を乗り越えるためには、社内全体で研修を行って社内での認識を統一し、各部門の持つ不安を解消することが重要です。

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③ 「うちはもう出来ている」という認識

フードダイバーシティ対応を進める上で、「すでに対応しているから必要ない」 という認識も、大きな壁の一つです。

例えば、

  • 「うちはサラダがあるから対応できている」

  • 「事前予約があれば対応できるから問題ない」

  • 「大豆ミートを使って精進料理を作ってるから大丈夫」

しかし、フードダイバーシティ対応は 「Can eat(食べられる)」ではなく「Want to eat(食べたい)」を考えることが重要 です。また「事前予約」をしてくれるお客様は多くありませんし、多くのお客様は「対応している」という情報を検索するので、「事前予約があれば対応できる」の状態では、お客様に認知してもらうことはできません。

まとめ

フードダイバーシティ対応を進める際、多くの事業者は 「難しそう」「うちはもうできている」 という思い込みにとらわれがちです。これらの課題を解決するためには、最新の情報をアップデートし続けること、社内での円滑なコミュニケーションを図ること、そして顧客の本当のニーズを正しく認識すること が重要です。小さなステップから取り組みを始め、実践を重ねることで、フードダイバーシティ対応を効果的に進めていきましょう。