卵の価格高騰対策に代替卵が注目!

こんにちは、フードダイバーシティ株式会社の守護です。

弊社は「食の多様性」をテーマにメディア、コンサルティング事業を展開しております。2023年に入り「卵の価格高騰」に関するニュースが増え、弊社のお客様からも何か良い対策はないかとご相談を頂く機会が急増しております。そこで今回は「卵の価格高騰に関する予測と対策」というテーマで弊社の考察を纏めてみました。

See Also

家庭用の植物性卵10人前1500円(送料無料)

参考記事

すかいらーくHD 卵使った一部メニューの販売休止へ 卵不足で(NHK)
【卵高騰】ガストのパンケーキも“消失” メニューに影響続々(テレビ朝日)
[お詫び]鳥インフルエンザ流行の影響による卵の供給不足のため、一部商品の販売を休止させて頂く場合がございます(すかいらーグループHP)

価格の高騰する卵

大手食品メーカーから外食チェーンまで、相次ぐ「値上げ」「休売」

キユーピー株式会社は2023年2月2日、家庭用のマヨネーズなど複数商品を4月1日出荷分から最大21%値上げする旨発表をし、食品業界全体で大きな話題となりました。また2月16日には外食チェーン すかいらーくグループが一部商品の販売休止を発表し、バーミヤンの「天津飯」やガストの「パンケーキ」が休売状態に陥りました。

鶏卵卸大手「JA全農たまご」の相場情報(2023年3月3日時点)によると、卸値(東京、Mサイズ)は1kg当たり335円で、これは1年前の190円と比較して約76%の値上がりを記録し、JA全農たまごが統計を公表している1993年以来、現在は最高水準にあるとも言われています。

物価の優等生だったはずの卵がなぜ?

総務省の消費者物価指数を見ると、卵の価格は過去50年間、ほぼ横ばいで推移していた為、「物価の優等生」と言われていました。しかし、この度記録的高値で推移している大きく3つの理由があります。

卵の高騰理由

1、鳥インフルエンザの流行

一つの要因が過去最多規模の鳥インフルエンザです。農林水産省の発表によると、2023年3月6日時点で約1570万羽が殺処分対象となっています。それは全国で飼育されている約1億3729万羽のうち1割以上の数字となり、非常に大きな影響となりました。

2、飼料価格の高騰

世界的なインフレ、日本の円安傾向、ロシアによるウクライナ侵攻等が理由で、とうもろこしなどの飼料価格が高騰しています。また飼料価格だけでなく、配送コスト、資材コスト、人件費なども同時に上がっています。

※参考記事
「飼料の異常な高騰」畜産業界の悲鳴…創業以来”最大の危機”に直面

3、日本産卵の海外需要増

「日本の卵、4億個が香港人の胃袋に 輸出の9割、3年で3倍に急増(朝日新聞)」の記事からも分かるように、「生でも食べられる卵(※一部注意喚起もされています)」として評価の高い日本産の卵は、現在海外からの需要が非常に伸びています。価格も日本よりも高く売れるため、海外を視野に入れる生産者も増えているとのことです。

「卵の価格高騰」はいつまで続く?

結論から申しますと、今のところ下がる要素のほうが見当たらないと考えています。

まず、鶏はヒナの誕生から卵を産んで流通できるようになるまで半年はかかると言われているため、最低でも7ヶ月〜10ヶ月は不安定な状況が続くと見られています。さらに、今回の件で経営が継続できない養鶏場が今後増えていきますので、状況が落ち着いても全体的な生産量は減少することが予測できます。また、飼料価格の高騰については、世界の経済動向を考えると今後も落ち着くことは考えにくいです。

上記より、さらに生産者はより高く買ってくれる市場を求めて海外輸出を増やしていくことが予測できます。

高騰が続く今、対策できること

福岡県の「イフジ産業」はこれまで卵のおよそ99%が国産でしたが、鳥インフルエンザの感染拡大を受けて、輸入の割合を20%程度引き上げるとのことを発表いたしました。

調達先を国内から海外へ移行する動きがでる一方、世界的にアメリカやヨーロッパでも鳥インフルエンザが広がっているため、輸入品の確保も難しくなっているということで、現在代替卵に大きな注目が集まっています。

See Also

国内外 代替卵市場まとめ(メーカー比較あり)

UMAMI UNITED社 HPより引用

植物性卵を開発するUMAMI UNITED社によると、鳥インフルエンザの流行を皮切りに大手製菓・製パン・回転寿司メーカー、外食チェーンからも問合せが急増しているとのこと。同社の山崎代表は「植物性卵を使うことで、卵サンドのようなお惣菜からパンケーキ等の製菓まで幅広いメニューの卵の置き換え対応が可能で、卵の高騰、供給難を乗り越えた事例が増えてきている。さらに卵アレルギー対策も同時に行うことができることもメリットの一つ。」と語りました。

UMAMI UNITED社 HPより引用

UMAMI UNITED社 HPより引用

「卵を100%置き換える例もあれば、バターとマーガリンのように卵と植物卵を併用して使う事例もあります。植物性卵という新しい素材を提案することで、鳥インフルエンザの対策だけでなく、ヴィーガンやアレルギーという観点でも対応商品(メニュー)を増やしていけるよう提案を進めていきたいと考えております。」(UMAMI UNITED JAPAN株式会社 代表取締役 山﨑寛斗)

関連記事

「OSCAR Vegan American Chinese」が下北沢のボーナストラックにOPEN
https://fooddiversity.today/article_127589.html

池袋のベジタリアンブッチャーが話題のプラントベース卵「UMAMI EGG」をグランドメニュー化
https://fooddiversity.today/article_112008.html

最後に

今回はあくまでも私見を中心に卵の高騰について書かせて頂きました。もちろん、今後どのように状況が変わっていくは現時点では誰にも分かりません。しかしながら、鳥インフルエンザや豚コレラなども含めた動物性食材に関して起き得る問題に対して、企業としてバックアッププランをしっかりと用意しておくことはとても重要になってくると考えております。今回の事象(卵の高騰)を機に、動物性食材がなくても美味しいものを作る研究や、新しい商品を試していくなどの取り組みを進めていくのは如何でしょうか。

著者

守護 彰浩(しゅご あきひろ)
フードダイバーシティ株式会社 代表取締役
流通経済大学非常勤講師

1983年石川県生まれ。千葉大学卒業。2006年に世界一周を経験後、2007年楽天株式会社に入社し、食品分野を中心に様々な新規事業の立ち上げに関わる。2014年、多様な食文化に対応するレストラン情報を発信する「HALAL MEDIA JAPAN」を立ち上げ、フードダイバーシティ株式会社を創業。ハラールにおける国内最大級のトレードショー「HALAL EXPO JAPAN」を4年連続で開催し、国内外の事業者、及びムスリムを2万人以上動員。さらに2017年からはハラールだけでなく、ベジタリアン、ヴィーガン、コーシャ、グルテンフリー、アレルギーなどに事業領域を広げ、全国自治体・行政と連携しながら普及のための講演活動、及び集客のための情報発信を行う。2020年には総理大臣官邸で開催された観光戦略実行推進会議にて、菅総理大臣に食分野における政策を直接提言した。著書に「開国のイノベーション」(株式会社スリースパイス)。

お問い合わせ
info@food-diversity.co.jp