一つのテーブルを囲みたい想い

皆さんこんにちは。Food diverstiy.todayでアレルギーについて卒業論文を書いたり、記事を書いている香川です。
卒業論文
食物アレルギーの私がお店に求める3つのこと

本記事の趣旨は、私のように食物アレルギーを持つ人が安心して食事ができる、友人とテーブルを囲める場所をご紹介したい、というところにあります。

アレルギーがあると、そもそも食べることのできない食材が多いことや、コンタミネーション(混入。以下コンタミ)の危険性があることから、飲食店で食事をすることのハードルが高いです。私自身は卵、乳製品、いか、たこ、えび、かに、いくら、貝類(ほたて・あわび、牡蠣など)、キウイ、パイナップル、蕎麦などのアレルギーがあります。現代の食品は卵や乳製品を使用して調理・加工されたものが多く、スーパーやコンビニに行っても自分の食べられるものを見つける方が難しいです。私がスーパーやコンビニを訪れたときの行動は、「食べたいものを探す」のではなく、「食べられるものを探す」に近いと思います。

飲食店も同じです。数あるメニューの中から、食べたいメニューではなく食べられるメニューを選びます。私は小麦アレルギーがないのでうどん屋さんには行けますが、例えばそこでもかけうどんの薬味を必ず注文前に確認します。ねぎやわかめだけなら大丈夫なのですが、かまぼこや天かすが乗っている場合もあるためです。かまぼこや天ぷらはつなぎに卵白を使用していることが多いので、アレルギーを起こしてしまいます。そうして消去法で選んでいくと、1つのお店を訪れた際に自分が食べられるメニューは大半が0、多くて1つでした。

そんな私が外食をするとき選ぶのがヴィーガンレストランです。ヴィーガン対応のレストランは動物性食品を使用していないため、私のアレルゲンの大半(キウイ・パイナップル・蕎麦以外)が使用されていません。そうすると選べるメニューの選択肢も増え、コンタミの危険性もはるかに少ないのです。友人がメニュー表をめくって食べたいものを選んでいるなか、私はこれしか食べられないからこれを食べる、という人生でしたので、メニューの中から自分の食べたいもの、好きなものを選ぶという行為が嬉しくて仕方ありません。例えば他の方が注文したカフェオレが間違えて目に飛び散っただけでも非常に危険なので、命の危険を考えずに飲食店で座っていられるときは本当に安心しています。

楽しく1つのテーブルを囲み、安心安全に美味しい食事がいただける場所は、とても貴重で大事な場所です。まだそのような場所を知らない方に、少しでも情報が届けば嬉しいな。同じような悩みを抱えている方に1人でも多く、食べられるかもしれない場所・素敵なお料理・サービスを共有したいな。と思い、この記事を書くことに決めました。何でも食べられる方、家族や友人がアレルギーやヴィーガンでそういったお店を探している方、食の禁忌がある方も含め、誰かの食選びの参考になれば幸いです。

※アレルギーを起こす食品や度合は人それぞれですので、必ず来店前にご確認ください。

世界一のヴィーガンレストラン「菜道」

自由が丘駅を出て、徒歩五分。そこには世界一のヴィーガンレストラン「菜道」があります。このレストランの魅力を、前編・中編・後編に分けて伝えたいと思います。

※世界一、についてはこちらの記事をご覧ください。

自由が丘の路地裏にひっそりと佇むお店

菜道
☏03-5726-9500
東京都目黒区自由が丘2丁目15−10
定休日:毎週水曜
※営業時間はコロナ対策により変動していますのでお問い合わせください

このお店は、肉や魚などの動物性食材に加え、化学調味料、精製糖、さらには五葷(にんにく、にら、らっきょう、あさつき、ねぎ/たまねぎ)まで使っていません。多くの食材を使えば使うほど味に深みが出そうですが、それだけ多くのものを使わずして菜道の料理は世界一なのです。ですが、私がここに足を運ぶ理由は、世界一に輝いたヴィーガンレストランだからではありません。その理由は後述しますが、まずは最高の料理たち(一部)を見ていただきたいと思います。

現在の夜メニュー

夜のコースメニュー

メニューが7月1日から新しくなりましたのでこれから訪れる方向けにシェアいたします!ご飯や麺などの主菜をメインで食べたい方向けの3,000円コース、お酒などのドリンクメインにおつまみを楽しみたい方向けの3,500円コース。他にも5,000円、10,000円のシェフおまかせコースもありますが、そちらもメニューには載っていないシェフ特製のお料理が出てくるのでおすすめです♪

前菜

焼き鳥

■焼き鳥
肉ではないのでジューシーさの中にさっぱりさも残っており、実際の焼き鳥よりも食べやすいです。なのに味は完璧に焼き鳥です。タレと後味の甘さ、食感など、再現率の高さに驚かされる一品。

菜食カツ

■菜食カツ
焼き鳥同様、何も言われなかったらこのカツが野菜で出来ているとは分からないかもしれません。噛むときはサクッと、そのあと口の中でヒレカツのような柔らかさ、味わいがふわっと広がります…

主菜

三色重

■三色重
私はアレルギーで卵を食べたことがないので味を知らないのですが、母に聞くと「本当の卵!」とのこと。ふわふわでとろけるような卵と、そぼろ、そして紅しょうが、グリーンピースが絶妙なマッチを見せます。写真右にうつるお味噌汁と漬物は、一般家庭でも普通に食べられる一品かと思いきや、美味しすぎて信じられず、一度お箸を置いてしまうような味です。

また、この三色重を食べたとき、一体この味は何でできているの!?と驚いて楠本勝三シェフに尋ねると、「野菜です。」という答えが返ってきました。(ほかのメニューでもほとんど同じやりとりをしました。)食べたばかりのときは、一体どんな食材をどんな調理をしたらこんなことに…?とずっと考えていましたが、最近では考えたところで私は作れないし、美味しいから何でもいいか、という気持ちになり尋ねることをやめました。

カツ重

■カツ重
先ほど前菜にも掲載したカツですが、ご飯や海苔と合わせて食べるとまた違った味に思えます。この海苔とご飯も、菜道の味に合うご飯だなと毎回思います。
農薬不使用の、キジが飛んでくる田んぼで作られているお米だそうです。他で食べてきた玄米とは少し違った美味しさがありますのでぜひ!

おん齋麺

■おん齋麺
いろんな具が混ざり合っていて、見ているだけで楽しくなるメニューです!麺は、あしたば/ブロッコリー/生姜/桑/ウコンを練りこんだ5種類の麺から自由に選べます!
その日の体調や気分に合わせて麺を選べるのは嬉しいです。ヴィーガンレストランにも関わらず普通に卵がのっていますが、もちろん野菜で作られています。ですがこの卵、見た目だけでなく味も卵らしく(食べたことがなくわからないので伝聞調です)、一生食べられないと思っていた味をここで知ることができて、初めて食べたときは少し涙が出ました。

菜食カレー

■菜食カレー
辛さは選べるので自分の好みの辛さをチョイスできるのがポイント。甘口派も、辛口派も、同じ味を楽しめますね!

あぶら齋麺

■あぶら齋麺
私のイチオシです!左上のゆずすこや右上のわさびなど、味を変えながら最後まで楽しむことができます。形容しがたい美味しさなので、一度食べてみてください。噛めば噛むほどおいしさが広がり、他の麺類よりも麺の甘みを感じるような気がします。ちなみに油ものがそんなに得意ではない私ですが、これは完食できてしまうので、不思議な「あぶら」だなと思っています。

デザート

ブルーベリーのヴィーガンチーズケーキ

■ブルーベリーのヴィーガンチーズケーキ
まるで植木鉢!スコップもついてきますね…これ以上書くとネタばれしてしまうので…演出にもびっくりしますよ!ブルーベリーがほのかに広がる上品な味がします。

いちごシャーベットのパフェ

■いちごシャーベットのパフェ
メインのいちごシャーベットをはじめとした様々な味が楽しめます。写真では見えませんがこの下に何層かあり、それぞれ違う味が楽しめますし、全部混ぜても美味しい!暑い夏にぴったりです。

番外編


5,000円コースの贅沢な一品。
兵庫県産ブラウンポートベラマッシュルームに、トリュフとオムニミートが添えられています。普段食べるマッシュルームよりも厚いので歯ごたえも良くて、香りが上品です。
美味しさがギュッと詰まっている印象でした。季節やその日入荷した食材によってメニューが変わるコースなので、普段は食べることができないレア感や、次は何が出てくるんだろう、というワクワク感を味わえました。

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はじめに、私は「この店を訪れる理由は世界最高のレストランだからではない」と述べました。ではなぜ私が何度もこの店に足を運ぶのかというと、ここが私にとって人生最高のレストランだったからです。楠本シェフが作る唯一無二のお料理を食べて、店長の素敵な接客を受けて、毎回笑顔で店を出ました。そうやって、ここで食事をすることをこの世の何よりも幸せに感じたからです。

「誰かが美味しいって言ってたから行ってみよう」「メディアで紹介されてたから行ってみよう」。色んなきっかけは生活のなかに転がっていますが、そのきっかけから訪れた店に二度、三度と訪れるのは、その店が「誰かの特別」から「自分にとっての特別」に変わったときだけだと思います。こんな私のように、「誰かの中の一番」を最も多く獲得した結果が「世界一」につながっているのだと感じます。

ではなぜ、「菜道」が私にとっての人生最高レストランなのか。その理由は味だけではありません。まだ誰も見たことがないかもしれない…!?楠本シェフのお料理と共に、中編に続きます。

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