相次ぐ市場参入と、売れないという声。その解決策は?

前編では「大豆ミート」関連商品が売れない3つの理由について述べました。
後編はその解決策について触れていきたいと思います。

「大豆ミート」関連商品を売る解決策

①牛肉や豚肉の代替として提案しない

世界ではハンバーガーのパテに注目が集まっていることもあり、日本企業も牛肉や豚肉の代替として「大豆ミート」を提案していましたが、それらと比べると大豆ミートでは味、食感の程遠さが否めない状況だったと思います。しかし鶏肉の代替として、例えば唐揚げなどであればどうにか味も近しくなるという声も多く、もし「ミート」として提案するとしたら鶏肉の代わりに絞って提案するなどが一つのやり方ではないでしょうか。これまで代替する対象を間違って、期待値を大きく下回ったことが売れなかった原因の大きな一つだと思っています。

②一般的に味がはっきりとしたカレーソース、パスタソース等に使用

例えばニチレイフーズさんはFriendly Diningという商品を販売されていますが、この商品はいわゆるレトルトのソースで、動物性原材料やアルコールが不使用で出来ています。カレー、パスタ、麻婆豆腐など一般的に味がはっきりとしたソースに混ぜて大豆ミートを使用しているので、大豆感は一切感じません。このように大豆ミートはもともとの味が濃いものとうまく組み合わせて使うことで、大豆の臭いをうまく中和して違和感のない状態になります。ただし、ハンバーガーのパテのように肉の味や食感などを味わいながら食べることが一般的なものに対して、調味料を強めに味を消そうとすると大きく違和感が出てきますので、大豆ミートを使用する際は料理を選ぶ必要があると考えています。

③「大豆」を連想させないネーミング

上記①と②に加えて、ネーミングも重要です。海外の代替肉では「最新のFood Tech」等の付加価値をつけてビヨンドミート、インポッシブルミート、オムニミートなどの名前がついており、日本のように「ソイミート」なる商品はほとんど見かけません。また上記ニチレイフーズさんのようにFriendly Diningといったような商品のブランド名を作って、大豆ミートを使用していることに対してワンクッション入れるというのも一つのやり方です。ネーミングについてはこちらも参考までご覧くださいませ。

今後について

ここまで、あくまでも「大豆ミートをどう売るか」について書いてきましたが、もしかしたら本質的な解決ではないのかもしれません。日本の企業はこれまで「大豆ミートをどう美味しくするか、どう肉に近づけるか」を研究し続けており、さらにマーケティングや販促も大豆ミート推し一辺倒です。しかし、世界はその間にありとあらゆるFood Techを駆使して相当な進化をここまで遂げてきました。例えば最近日本に入ってきたオムニミートは、香港企業のものでタイ産ですが、大豆ミートの使用を諦めたシェフの多くが「これならば美味しいものが作れる」ということで使い始めてきました。そこにはミシュランを取得しているレストランのシェフもいます。もしかしたら、これは日本企業が大豆ミートでここまで努力してきた方向性を変えていくべき兆候なのではないでしょうか。個人的には日本発で、日本産で、日本のシェフが納得する、そして世界を味で魅了するプラントベースミートが開発されることを願ってやみません。