相次ぐ市場参入と、売れないという声

こんにちは。食の多様化対応を支援しておりますフードダイバーシティ株式会社の守護です。

最近食品メーカーだけにとどまらず、小売店、飲食店でも「大豆ミート」関連のプレスリリースが多く出ており、市場がすごく盛り上がっている様子を感じる方も多いのではないでしょうか。しかし、最近弊社にはそれに取り組む食品メーカーや小売店や飲食店より下記のようなお問い合わせを頂きます。

時代の流れや他社の動向に合わせて大豆ミートを使った商品を作った(or 店頭に並べた)のですが、全く売れません」とのこと。

2020年10月だけでも4社様よりご相談を頂き、実際過去に始めた企業を調べてみると売り上げ不振で既に撤退していたり、売り場面積の縮小等で、どうやらこれを実感しているは企業は予想以上に多いのではないのかと感じています。更にこの相談をベジタリアンやヴィーガンの関連団体・協会等にすると「今は投資の時期」とだけ言われて具体的なアドバイスなどは頂けないとのことで、打つ手が見えない状況のようです。今回は弊社がご相談を頂いた際にお答えする「なぜ売れないのか」の理由、そしてこうしたらうまくいくのではないかということをまとめました。もちろんあくまでも仮説になるので、その認識でご覧頂ければと思います。

「大豆ミート」関連商品が売れない理由

問い合わせがあった企業様に、大豆ミート関連商品のメインターゲットを聞くと、どの企業様も健康志向の一般消費者という答えが返ってきました(環境負荷軽減を意識する一般消費者という声もありました)。また「ベジタリアン」や「ヴィーガン」の母数が少ないことはどの企業様もマーケットリサーチ済で、そこに特化した商品だと売上が厳しいだろうという予測は立てていらっしゃいました。更に「何故商品名に大豆ミートを入れたのですか?」と聞くと、「大豆ミート」と入れると細かい説明がなくても健康的なイメージを与えられるだろうという思惑が共通していました。その前提で、弊社が考える「大豆ミート関連商品が何故売れないのか」は下記の通りです。

黄色の部分が売り手側のターゲット

①一般消費者が健康を意識する場合、牛肉や豚肉の代替は鶏肉、魚、キノコ等である

一般消費者にとって「大豆ミート」は普段何気に食べるものではありません。ベジタリアン・ヴィーガンじゃない限り、一般消費者にとって牛肉や豚肉の代わりにまず選ばれるものは、普段の生活で身近にある鶏肉、魚、キノコ等です。そして現状「大豆ミート」という選択肢はそれらの次に出てくるものではないでしょうか。そしてその大豆ミートも一度お試しで食べて、鶏肉、魚、キノコ等よりも味で違和感を感じた場合には、二度選ばれることがない食材です。更に現状の大豆ミートは乾燥したものを戻して使うものが多く、その適切な戻し方などはいろいろ紹介されているものの、一般家庭でも飲食店でも調理が難しいという声も多く寄せられており、「他の食材もあるので、無理に使う食材ではない」という見解が一般的になっていると感じています。

②大豆ミート関連商品は大豆ミートの臭いを消すために、調味料で強めに味が付いている

現在販売されている大豆ミート関連商品の感想を一般消費者に聞くと、もちろん「美味しい」という声もあるのですが、大豆の臭いを消すために調味料をかなり加えていて「調味料の味しかしない」という声が非常に多くあります。そうなると健康志向の一般消費者であっても、調味料の味しかしない大豆ミート関連商品を無理に食べるよりかは、普通に違う選択をすることが予想されます。大豆ミート関連商品は一度はどういうものか試す方は多いようですが、「二回目はない」という声が多くあり、統計はないのですがリピート率というところで課題があるのではと推測しています。

③大豆の味に慣れ親しんでいる日本人は「大豆ミート」に対して味の期待値が低い

まず、大豆を使ってはいけないなどという話ではなく、例えば大豆を使っていても海外だとビヨンドミート、インポッシブルミート、オムニミートなど名前がついており、「最新のFood Tech」を駆使して作ることで、消費者への付加価値を高めているという印象です。しかし、大豆を普段からよく食べ、大豆の味を良く知る日本人にとって「大豆ミート」だと「あのいつも食べている素朴な味」ということで、味の想像が簡単に出来てしまいます。逆に言うと「食べる前の期待値がとても低い」ので、積極的な消費を起こすことはとても難しいと考えています。最近では日本国内でもネクストミーツなる商品も出てきているので、今後に期待です。

国内外代替肉メーカーの比較まとめはこちら。
https://fooddiversity.today/article_57309.html

それではどうやって解決するのか

後編ではその解決策をまとめたいと思います。