世界で進む議論を考察してみました
食の多様化対応を支援するフードダイバーシティ株式会社の守護です。
昨今、培養肉がヴィーガンとみなされるかどうかについての議論が複雑化しており、世界各地で様々な議論が行われています。本日は一般的な立場や主要な論点を示したいと思います。
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1. 培養肉はヴィーガンではない立場
- 動物由来の原料使用: 培養肉の製造には動物由来の細胞、また培養液には動物由来のもの(血清)を使用することから、問題があると言う意見があります。※最近は血清に関する部分も研究が進んでいます(例:日本ハムが培養液の主成分である動物血清を食品で代替することに成功)
- 動物実験: 培養肉の研究や開発において、動物実験が行われることがあるため、これもヴィーガンの原則に反するという主張もあります。
- 倫理的な懸念: 生態系への影響や、遺伝子組み換えや細胞培養に関する技術は倫理的かどうかが議論されています。
2. 培養肉はヴィーガンとみなす立場
- 動物の使用を最小限に: 培養肉は従来の畜産業に比べて、動物への負荷がかなり軽減すると主張する立場もあります。
- 環境への負荷低減: 培養肉の生産は環境への負荷が低く、持続可能性の向上に寄与するという点から、環境意識の高いヴィーガンが支持する意見もあります。
- 技術が味を進化させることへの期待: 味の問題で代替肉を食べない方も多い中、技術の進化を前向きに捉えて、ヴィーガン料理の味が向上することで、より身近な食べ物になることを期待する声があります。
培養肉の倫理的、環境的な側面とヴィーガン主義の原則ついての見解が異なる故、まだまだ世界では議論が進行中となっています。私はこれからも培養肉に関する議論はどんどん進んでいくと思いますが、培養肉が持続可能性や動物福祉に向けた前進と見なされるかどうかは、今後も個人の価値観や倫理観に依存することが多いと考えています。
著者
守護 彰浩(しゅご あきひろ)
フードダイバーシティ株式会社 代表取締役
流通経済大学非常勤講師
1983年石川県生まれ。千葉大学卒業。2006年に世界一周を経験後、2007年楽天株式会社に入社し、食品分野を中心に様々な新規事業の立ち上げに関わる。2014年、多様な食文化に対応するレストラン情報を発信する「HALAL MEDIA JAPAN」を立ち上げ、フードダイバーシティ株式会社を創業。ハラールにおける国内最大級のトレードショー「HALAL EXPO JAPAN」を4年連続で開催し、国内外の事業者、及びムスリムを2万人以上動員。さらに2017年からはハラールだけでなく、ベジタリアン、ヴィーガン、コーシャ、グルテンフリー、アレルギーなどに事業領域を広げ、全国自治体・行政と連携しながら普及のための講演活動、及び集客のための情報発信を行う。2020年には総理大臣官邸で開催された観光戦略実行推進会議にて、菅総理大臣に食分野における政策を直接提言した。著書に「開国のイノベーション」(株式会社スリースパイス)。
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