トラブルを事前に防ぐためのポイントを公開
こんにちは。食の多様化対応を支援しておりますフードダイバーシティ株式会社の守護です。
昨今、さまざまな飲食店、宿泊施設、食品メーカーが「ヴィーガン」「プラントベース」に関連するメニューや商品を作っています。
しかしながら、認識の違いであったり、問い合わせに対して適切な回答ができなかったりで、トラブルが起きるケースも散見するようになってきました。中にはSNSでそれらのトラブルを拡散するヴィーガンの方もいて、今後企業側にとってはリスクの一つになりうる可能性も出てきました。
もちろん全てのヴィーガンの方がそのような行動をとるわけではありませんし、一言で「ヴィーガン」と言えど一人一人マイルールは異なるので「Aさんにとっては問題ないことでも、BさんにとってはNG」ということも多々あります。
本日はさまざまな事例を見てきた当社フードダイバーシティ株式会社が「トラブルを回避するために知っておきたい6つのポイント」について解説していきます。
1、白砂糖の骨炭・キトサンについて
まずは白砂糖についてです。ここは多くの日本の企業様が見落としがちな部分ですが、ヴィーガンやプラントベースに関する商品について「使用しているのは骨炭を使っていない砂糖でしょうか?」などは、飲食店や食品メーカーのお客様センターに確実に来る質問と言っても過言ではありませんので、然るべき表記や、回答の準備をしておく必要があります。
詳細はこちら:https://fooddiversity.today/article_94829.html
2、コンタミ情報について
まず、飲食店で肉や魚を扱っている場合は、①調理器具が分かれているか ②揚げ油が肉や魚と共有なのか について聞かれることが多くあります。また食品メーカーの場合は、実際日本国内でヴィーガン製品を専用ラインで製造することはとても難しいですが、製造ラインにおいて動物性食品とのコンタミについてしっかりと表記をする、もしくは答えられる状態にしておくことが重要です。
表記事例)本製品の製造前にはライン洗浄を行っていますが、同一製造ラインにおいて、動物性原材料を含む製品を製造している場合もあります。
※コンタミ=コンタミネーション 意味はこちら
3、アレルギー情報について
ヴィーガンの方の中にはアレルギー情報を見て判断するケースもあります。
例えば、モスバーガーの事例を挙げます。モスバーガーの場合、アレルギーに関しては下記のような定義で各商品に表記をしています。
●:原材料に使用しているもの
◇:工場の製造ラインを共有しているもの
△:店舗で揚げ油を共有しているもの
▽:店舗で調理器具を共有しているもの
-:原材料に使用していないもの(※偶然に工場や店舗で混入する場合がありますのでご注意ください)
※ホームページより引用
例えば「Plant Based」と謳うグリーンバーガー<テリヤキ>については、原材料としては動物性の食材を使用していないものの、卵や乳に関しては「◇:工場の製造ラインを共有しているもの」「▽:店舗で調理器具を共有しているもの」のマークがついています。
食品メーカー側としては、あくまでもアレルギーの方に向けた情報として「混入の可能性」について言及しているだけなのですが、ヴィーガンのお客様が「動物性原材料不使用と書いてあるのに、使っているじゃないか!」ということで、炎上してしまうケースがあります。
これらの要因は下記3点です。
1.アレルギー表記に関する定義をよく読んでいない
2.1に付随して、アレルギー表記は基本的に日本語しかないので、言語の問題で読めない外国人がいる
3.アレルギーに関する知識がなく、「混入の可能性」と「実際の使用」の差が分からない
基本、食品メーカー側としては、アレルギーの方に向けた情報をそれ以外の方に見られる想定はしていません。しかし「ヴィーガン」「プラントベース」「動物性原材料不使用」を謳う場合は、これらのことを想定して文言(多言語化も含む)などを作っていくことが重要になってきます。
4、プラントベースという言葉について
「プラントベース」という言葉は、様々な国であったり、個人でも定義が異なります。
例えば日本の消費者庁は下記のように定義しており、日本政府の見解では「動物由来のものを含んでいてもプラントベースを謳っていい」ということになっています。
https://www.caa.go.jp/notice/other/plant_based/#q1
「プラントベース(植物由来)食品」とは、主に植物由来の原材料(畜産物や水産物を含まない。)で肉などの畜産物や魚などの水産物に似せて作った商品をいいます。動物由来の添加物が含まれている場合でも、主な原材料が植物由来である場合は、「プラントベース(植物由来)食品」に含めることとします ※原文ママ。
しかしながら「プラントベース」についてはヴィーガンスペック、植物性100%と認識する人も世界ではかなり多くいますので、日本の消費者庁の見解を理由に、プラントベースを謳いながら動物性を使うとトラブルは確実に起きると思います。
尚、当社の見解としては「消費者とのトラブルを避けるために、プラントベースと謳うなら動物性原材料は使わない方がいいですよ」です。
5、パームオイルについて
パームオイルは、アブラヤシの木の実に由来する食用植物油です。
様々な見解と議論があり、詳しくはここでは書きませんが、植物性でも摂取を望まないヴィーガンの方は多くいらっしゃいますので、こちらもトラブルの原因となる可能性があります。
6、コチニール色素について
コチニール色素とは エンジムシ(中南米原産の昆虫)から得られた、赤色の着色料になります。 食品分野においては、飲料、菓子、ハムなど幅広く使用されています。 また、医薬品や化粧品(口紅など)で使用されているものもあります。
ここではお見せしませんがGoogle画像検索で「コチニール色素」と調べたら対象の虫の画像がたくさん出てきます。これも多くのヴィーガンの方がお持ちの知識なので、トラブルの原因となる可能性があります。
以上、ヴィーガン・プラントベース対応に取り組んでいる、またこれから取り組もうとする企業様にとって、本記事が有益な情報となれば幸いです。