日本の”スーパーで購入できる” 代替肉を比較しました
(記事更新日:2022/2/27)※代替卵の比較について追記
こんにちは、フードダイバーシティ株式会社の守護です。弊社はプラントベース業界でプロモーションや商品プロデュース等を支援しております。
以前執筆した「国内外代替肉メーカーの比較まとめ」から時間が経ち、新たな商品、プレイヤーや販売戦略などが国内外で見られるようになってきました。特に、2020年のプラントベース元年から1年が経ち、今年も「代替肉」「ベジタリアン・ヴィーガン」などのキーワードがニュースを賑わせています。
そもそも代替肉とは、その名の通り畜肉ではなく、豆類や米などの植物性の原材料で作られた肉を模した製品を指し、海外ではビヨンドミートやインポッシブルミートが一般的に流通しています。日本では大豆ミートなどが普及していますが、フードテックによるテクノロジーを用いて、お肉そっくりに作られた植物性代替肉(英語ではプラントベースミート: plant-based meat)に近年注目が集まっています。国内外代替肉メーカーの比較まとめより引用
日本国内ではスタートアップだけではなく、大手食肉企業も市場参入が活発となり、コンビニや大手スーパーチェーンでも見られるようになってきた代替肉。この記事では「スーパーで買える」主要代替肉メーカーのまとめを紹介します。
※代替卵の比較はこちら
参考にした企業7社と製品一覧
マルコメ 大豆のお肉 | https://www.marukome.co.jp/daizu_labo/
購入はこちらから:
レトルト – ブロックタイプ、フィレタイプ、ミンチタイプ
乾燥タイプ – ブロックタイプ、フィレタイプ、ミンチタイプ
大塚食品 ZEROMEAT(ゼロミート) | https://zeromeat.jp/
伊藤ハム まるでお肉! | https://www.itoham.co.jp/product/product/serieslist.html?catid=248
日本ハム NatuMeat(ナチュミート) | https://www.nipponham.co.jp/products/other_ham_sausages/
米久 お肉屋さんの大豆MEAT | https://www.yonekyu.co.jp/Portals/0/brand/airmeat/
イオン vegetive | https://www.topvalu.net/vegetive/
NEXT MEATS NEXT焼肉(ネクスト焼肉) | https://shop.nextmeats.jp/
根強い大豆訴求、健康訴求
各社の商品名、パッケージに記載のキャッチコピーや訴求内容を比べてみました。
日本の代替肉は多くの場合が「大豆ミート」と認識されることが多いからか、商品名やパッケージに”大豆”という言葉が目立ちました。一方で、訴求内容としては大塚食品のゼロミートとネクストミーツを除く全てのブランドが、ラインナップのいずれかに栄養に関する特徴を盛り込んでいます。多くがタンパク質、食物繊維、コレステロールであり、畜肉との差別化が図られているように見受けられます。
これらの中で最も特徴的だったのはスタートアップ企業のネクストミーツ。健康訴求の中でも、添加物。化学調味料の不使用をパッケージの表に表示しており、他ブランドの代替肉との比較という見方もできます。
現在、日本国内の大手企業が発売している代替肉製品は加工度が高く、調理が容易なものが多いものの、「健康」という面で疑問を持っている消費者も少なくないかもしれません。
まだ日本国内では乳製品、卵入りが主流
以前の記事でも海外と日本の代替肉のカテゴリーについて比較を行いました。今回は前回と比べ、日本の新しいプレイヤーや同じブランドからラインナップも増えたものの、マルコメ、ネクストミーツ、イオン(ミンチ)以外の全てのブランドがベジタリアン対応のスペックでした (イオンの一部は肉製品を含む)。
日本国内におけるヴィーガン人口や需要が海外に比べて低いことがひとつ挙げられるものの、アレルギーの観点から見ると「乳製品不使用」「卵不使用」の製品の需要はまだ計り知れません。
また、以前筆者が大手複数ブランドにインタビューを行った際に出た卵、特に卵白を使用する理由として「つなぎのために必要」という回答が目立ちました。今後、大手企業が海外市場へ進出する際にヴィーガン対応であることは必須であることから、つなぎの代替品などに注目が集まるかもしれません。
精肉コーナーが成功の鍵?
これらの代替肉ですが、メーカーや商品によって販売場所も異なります。まず、商品規格から温度帯を見てみましょう。
多くの製品が冷蔵帯で製品開発を行っており、結果として代替肉のコーナーがハムやソーセージなどが並ぶ加工肉コーナーの横などに作られているのを首都圏のスーパーでは見かけることが多くなりました。
スーパーで見つけた大豆ミートコーナー!!!🌞🌞🌞
最近色んなところでヴィーガンのブースだったりをやってて時代の進化を感じる!
外食産業では、まだまだ参入がないような感じがするけどこうやって手軽に買えるのは嬉しい!!!✨ pic.twitter.com/lTbrQR6qsJ
— さー @SDGs愛好家🌽🍅🥑🍠🎃 (@SawaHashimoto) August 13, 2020
POPなどで「大豆ミート」などと大きくみせ、訴求をしているスーパーの一例です。また、単に大豆ミートという言葉を並べるだけなく、「なぜ代替肉なのか?」というような教育的な内容を含んだコーナーもあるようです。
取り扱いが始まっている一部のイオンでは、「いつものお肉を大豆MEAT 代えてみて!」というような訴求で、畜肉と混ぜる方法や具体的なレシピ、シェフのコメントなどを添えて精肉コーナーで訴求をしています。また、”国内初、代替肉を精肉コーナーで扱う”というタイトルでBusiness Insiderを始め、多くの記事で取り上げられています。
ネクストミーツも同様に”精肉コーナーでの取り扱い”を前面に出し、プレスリリースを行っていることからも、普段お肉を買う人への消費者行動へ入り込みたいメーカーの意図が読み取れます。
さらなる広域展開へ
ネクストミーツがイトーヨーカドーでの取扱店が10店舗から100店舗へ広がったニュースもしかり、多くのブランドが首都圏から日本全国へと大手チェーンスーパーマーケットを経由して販売網を広めています。みなさんの近所のスーパーにはどのような代替肉が置いてありますか?気づいたら意外と多く取り揃えていた、ということもあるようです。お勧めの代替肉をぜひ教えてください。
まとめ
- 訴求のポイント:「大豆」や高い栄養価の訴求が増えている一方、健康というイメージと実際の製品の規格のズレ(添加物)が生じている可能性も
- ベジタリアン対応の商品規格:依然として多くの製品に卵や乳製品が含まれているものの、ヴィーガン対応のマルコメ(一部商品を除く)とネクストミーツ社に加えて、イオンのミンチタイプの商品も卵・乳製品不使用に加わった
- 販売コーナー:大豆ミートコーナーで取り扱われることが多いものの、一部の商品は精肉コーナーへ並ぶことで、一般消費者へのターゲティングを図っている
著者
守護 彰浩(しゅご あきひろ)
フードダイバーシティ株式会社 代表取締役
流通経済大学非常勤講師
1983年石川県生まれ。千葉大学卒業。2006年に世界一周を経験後、2007年楽天株式会社に入社し、食品分野を中心に様々な新規事業の立ち上げに関わる。2014年、多様な食文化に対応するレストラン情報を発信する「HALAL MEDIA JAPAN」を立ち上げ、フードダイバーシティ株式会社を創業。ハラールにおける国内最大級のトレードショー「HALAL EXPO JAPAN」を4年連続で開催し、国内外の事業者、及びムスリムを2万人以上動員。さらに2017年からはハラールだけでなく、ベジタリアン、ヴィーガン、コーシャ、グルテンフリー、アレルギーなどに事業領域を広げ、全国自治体・行政と連携しながら普及のための講演活動、及び集客のための情報発信を行う。2020年には総理大臣官邸で開催された観光戦略実行推進会議にて、菅総理大臣に食分野における政策を直接提言した。著書に「開国のイノベーション」(株式会社スリースパイス)。
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