熊本県人吉球磨のファムトリップツアーに参加してきました
こんにちは。
プラントベースジャパン株式会社の山崎です。
当社はこれまでプラントベース業界でプロモーションや商品プロデュースの支援をさせていただく等、食の多様性と地球環境の持続可能性の追求をしてきました。
今回は、先日熊本県人吉球磨で開催されたサスティナブルやウェルネスをテーマにしたファムトリップに参加した時の様子をレポートしていきます。
観光施策を通じて豪雨災害からの復興を目指す
熊本県南部に位置する人吉・球磨地方は、日本三大急流の球磨川ラフティングや温泉の名所として知られる有名観光地ですが、2020年7月に大規模な洪水被害のあった街としても知られています。現在も災害の爪痕が残る人吉球磨ですが、「人吉球磨観光地域づくり協議会(10市町村と関係団体による官民一体の地域連携による任意団体)」が中心となり、観光施策を通じて復興を目指す動きが出てきています。
観光施策のひとつとして着目したのが、「サスティナブル」や「ウェルネス」をテーマにした観光地域づくりです。今後いつまた球磨川が氾濫するかも分からない状況下、街として持続可能性を踏まえた観光施策について議論した結果、辿り着いたのが「Reborn(生まれ変わる)」というコンセプト。人吉球磨の「復興」という意味合いと、ウェルネスツアーを通じてツアーの参加者自身も「生まれ変わる」という願いが込められています。
それでは今回開催されたファムトリップの様子を見ていきましょう。
※アフターコロナの主流「サスティナブルツーリズム」に備えて飲食店・宿泊施設が行うべき5つのこと
https://fooddiversity.today/article_83015.html
地元食材を活かしたお料理で「Reborn」
リュウキンカの郷では囲炉裏を使ったライブクッキングを開催
リュウキンカの郷は「地元の食資源を活かしたまちづくり」を目的とする交流施設です。ツアーの中ではリュウキンカの郷を運営する本田節氏によるライブクッキングが行われ、食材や郷土料理のストーリーを伺いながらお食事を頂きました。提供された食事のほとんどが、地元食材を活かした郷土料理(地産地消や地元産業の発展を考慮)。彩り豊かな串焼きや精進うなぎに加え、豆乳と葛粉を用いたモッツァレラチーズのような食感の創作料理など、提供された食事の全てがヴィーガン対応でしたが、最後の方まで気がつかなかったという参加者も多く、満足度の高い様子でした。
リュウキンカの郷
https://ryukinka.com/
大自然の中でいただくお弁当は至福の体験
野山や畑に囲われた大自然の中でお弁当(提供:親父のガンコとうふ)を頂きましたが、ロケーション、見た目、味わい、全てにおいて非の打ち所がない内容でした。中でも好評だったのが、がんもどきの揚げ物とゆばプリン。地域の伝統食材やストーリーを活かしたプレゼンテーションに参加者全員ご満悦の様子でした。
株式会社 親父のガンコとうふ
https://ganko-touhu.com/
「筍、椎茸狩り体験」も大好評
今回の宿泊先「農家の宿 茶乃実」では筍、椎茸狩りを体験することができます。生産者の方から指導を受けた後、実際に自分で筍、椎茸狩りを行います。実際に採った野菜を宿泊先に持って帰ると、夜ご飯の食材として調理してもらうことができます。
農家の宿 茶乃実
http://hitoyoshikuma-gt.org/shop/guesthouse-cat19
心も体もリフレッシュ、人吉球磨の宿泊情報
今回の宿泊先は「あさぎり山荘ひばり」と「農家の宿 茶乃実」の2施設。大自然の中でいただく温泉やお食事で心も体もリフレッシュ。宿泊先のご飯も地元野菜を中心とした料理(ヴィーガン対応)が提供されてましたが、環境保護の観点でジビエ(鹿肉)のオプションもあり、希望者によっては注文できる仕組みになっていました。
体験コンテンツを通じて「Reborn」
人吉球磨のサスティナブル・ウェルネスツアーは食事以外にも、森林セラピーやサイクリングなど体験コンテンツも豊富に取り揃えています。
樹齢1000年の市房杉が生い茂る市房山の森林セラピー
ウェルネスツーリズムの中心コンテンツとして市房杉を⾒学しながらハイキングを⾏う森林セラピーを体験しました。森に足を踏み入れると、一面に緑が覆い、豊富なマイナスイオンを肌で感じることができます。ハイキングの後半には、ウェルネスツアーならではの「瞑想」の時間が設けられており、心身ともにリフレッシュすることができます。
森林セラピーツアー – 水上村観光協会
http://mizukami.net/mizunoue/ichifusa-tt/
地域レンタルサイクリング
森林セラピーの他にも、レンタルサイクリングで人吉球磨の街を巡るツアーにも参加。人吉球磨の自然と触れ合いながら、その道すがらで「球磨焼酎」や「たもぎ茸」など地元の食文化を学び、「生善院(猫寺)」や「太田家住宅」などの観光スポットにも立ち寄りました。
ツアー参加者のアメリカ人男性は「レストランや宿泊先の食事で提供されたいた球磨焼酎やたもぎ茸の生産現場を見学することができて良かった」と話し、ツアー全体としての一貫性の高さを評価するコメントが多数寄せられました。
レンタサイクル | 一般社団法人 人吉温泉観光協会
https://hitoyoshionsen.net/rentacycl/
モニターツアー参加者からのフィードバック
今回のモニターツアーに参加した欧米豪出身のインバウンド関係者からは以下3点のフィードバックが挙げられました。
①広域連携や食の多様性が進めば今後はより集客しやすくなる
「市区町村単位の縦割りで観光施策を進めるよりも、複数の地域で連携した方が、より多くの人を誘客することができる。また食の多様性対応が進むことで、ベジタリアンやムスリムなど、食の禁忌を持った方へもPRすることができる。(アメリカ出身、ツアーガイド)」
今回ファムトリップに参加されていたツアーガイド(複数名)の方から頂いたコメントです。市区町村ごとの限定的な取り組みの場合、遠方から何時間も掛けて誘客するのは至難の技。近隣地域の横の繋がりを活かし、広域で受け皿を整備していくことが今後更に重要になってくるように感じました。
②分かりやすいテーマ性が必要
「近年リトリートやウェルネスをテーマにしたツアーのニーズが増えている。プラントベースな食事提供に加え、森林セラピー、瞑想、ヨガ等の体験コンテンツを強化していくと良いと思う。一箇所でこれら全てを体験できるようになれば、1週間以上滞在する旅行者も出てくると思う。(イギリス出身、旅行代理店)」
ウェルネスツーリズムのニーズの高まりを訴える参加者が多く見受けられました。人吉球磨が掲げる「Reborn(生まれ変わる)」というテーマには、人吉球磨の「復興」とツアー参加者が「生まれ変わる」という意味が込められています。山がちな土地柄を活かした山頂でのグランピングやヨガ体験を整備していくことで、「日本でウェルネスツーリズムといえば人吉球磨」というブランディングに繋げることができるかもしれません。
③旅行代理店との連携や情報発信を行い誘客に繋げる取り組みを求める
「モニターツアー後は是非とも旅行代理店と連携したツアー販売や専門メディアでの情報発信を積極的に行って欲しい。(アメリカ出身、インバウンドコンサルタント)」
今回の体験コンテンツ、レストラン、宿泊先を繋ぎ合わせたツアー提案を行ったり、HappyCowやTrip Advisorなど専門メディアでの情報発信を行うなど、来年度以降はより集客に直結するような施策を打っていく必要がありそうです。
著者
山崎寛斗(やまざき・ひろと)
プラントベースジャパン株式会社 代表
「プラントベースで日本と世界を繋ぐ」をテーマに事業を展開。 海外のプラントベース企業の日本誘致や訪日ベジタリアン向けメディアなどの事業を手掛ける。 著:東京食素!美味蔬食餐廳47選、關西食素!美味蔬食餐廳55選、東京および関西のベジタリアンガイドブックを台湾で販売中。
https://www.plantbased-japan.com/
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