優先的に選ばれるのはサスティナブルツーリズムに対応した企業

2020年、世界中で蔓延した新型コロナウイルス感染症。生活様式も激変し、多くの方々がこれまでの行動を見直した機会になりました。

2021年に入ってから世界中でワクチン接種が始まり、観光業に期待する機運も高まっているのを日々感じます。しかし大きく変わった世界の流れに対して、コロナ前と同じような対応をしていては結果は出すのは難しいと考えております。アフターコロナの重要なキーワードは「サスティナブルツーリズム」で、これらを意識して、実践している飲食店・宿泊施設こそが、お客様から優先的に選ばれる状況になるのではないでしょうか。本日はアフターコロナに向けて行いたい、5つのことをまとめました。

参考図書:観光再生――サステナブルな地域をつくる28のキーワード

サスティナブルツーリズムで結果を出すための取り組み

1.ヴィーガンメニューと野菜中心メニューを用意

新型コロナウイルス感染症の影響で、環境問題について考える方が増えました。そこで常に議題に上がるのは「家畜による二酸化炭素の排出問題」で、それらは特に欧米圏の若い層に大きな影響を与えており、アフターコロナでは「家族の中で子供がヴィーガンを実施中」という旅行者も多くなると考えています。また同時に大きく増えたのは「フレキシタリアン」で、自己防衛、及び健康意識の改善から「野菜メニューを多めに意識しよう」「たまにベジタリアンをやっています」という方々です。これらのニーズをしっかりと満たせるお店が優先的に選ばれるのではないでしょうか。

2.地産地消の表記

フードマイレージという言葉が世界中で話題になっております。そもそもフードマイレージとは「食料・原料の輸送距離」のことですが、食料の生産地から消費者の食卓に並ぶまでの輸送にかかった「重さ×距離」で表されます。今世界では、なるべく地域内で生産された食料を消費することにより環境負荷を軽減していこうという動きが起きています。もちろん食の生産体制は各国で異なるので、フードマイレージが高いことが良いか悪いかの議論はさておき、これらの動きを意識する旅行者はアフターコロナで確実増えるので、地産地消のメニューについてはしっかりと明記し、選択肢を提供することが重要になってくると考えています。

3.フードロスへの配慮

新型コロナウイルス感染症の影響で環境問題に配慮する方々が増え、フードロスへの意識も高まりました。フードロス対策しては主に下記が重要となります。

・宿泊施設(特に旅館)はアラカルトメニュー、ショートコースを用意
・おつまみ系中心の「お酒を楽しむコース」を用意
・少な目が選択できるオプションを用意
・昔から続く「食べ残すくらいの量でなければ贅沢とは言えないという価値観」を変える

アフターコロナでは「食事の量が多すぎる」は、飲食店・宿泊施設の評価を下げる要因になってくると考えています。適量、もしくは自分で量を選ぶことが出来る飲食店・宿泊施設が優先的に選ばれていくと思います。また、下記表についても「一人あたりの食品廃棄量」などが、国として旅行先に選ばれるにあたって重要な指標になってくるのかもしれません。

4.(宿泊施設)アメニティは必要分のみ渡す&エコへの取り組みを宣言する

アフターコロナでは環境問題に配慮して歯ブラシ等のアメニティを持ち歩く人が増えるのではないでしょうか。実践する宿泊施設は増えてきていますが、アメニティについてはチェックイン時に必要分だけ取るスタイルにすることで、「サスティナブルツーリズムに配慮している」という印象を与えられるかもしれません。またアメニティにおいてもエコ歯ブラシなるものも出てきております。また、東急ホテルグループでは下記のような取り組みも行われています。

東急ホテルグループでの取り組み

5.(宿泊施設)長期滞在プラン&毎日清掃するかどうかの選択肢提供

新型コロナウイルス感染症の影響で、世界中でテレワークが浸透しました。テレワークで完結する職種に就いている方の中には、アフターコロナで「旅をしながら働く」というスタイルを楽しむ人も増えるのではないでしょうか。そうなるとスケジュールを積み込んだ旅行ではなく、混雑を避けた場所、混雑を避けたシーズンで、ゆったりと1か所の滞在を長くする旅行者が増えるので、宿泊施設は長期滞在プランを用意することが重要になります。更には掃除やシーツやアメニティ交換を毎日行わないなどの選択肢をしっかりとつけることなどが求められると思います。