日本の現在地はどこ?現在地から考える未来の戦略

こんにちは。食の多様化対応を支援しておりますフードダイバーシティ株式会社の守護です。

最近では「ネクストミーツ」さんが⽶国証券市場で上場して大きな話題になっていますが、代替肉についての取材やインタビューを受けることが本当に増えてきました。
https://fooddiversity.today/article_79526.html

今回はこれまでの歴史とともに、これからの代替肉業界を予測してみたいと思います。

①大豆ミート一択時代

かつてベジタリアン・ヴィーガンという言葉を出すと「大豆ミート使うやつでしょ?」と言われてきた、まさに大豆ミートが一択となった時代がありました。そこから多くの方々が大豆ミートを食べて、多少なりともの「違和感」を感じたこともあり、新商品の登場や「そもそも大豆ミートではなくても日本にはいろいろありますよね」という議論とともに大豆ミート一択時代は早々に終わりを迎えました。

※大豆ミートが売れない理由、使わなくなった理由
https://fooddiversity.today/article_70121.html

②代替肉群雄割拠時代

次に来たのは代替肉群雄割拠時代です。大豆ミートに違和感を持つ人が増えてきたところに、「フードテック(Food Tech)なるものを使えばもっとおいしくなる」という宣伝文句で、これまで日本でも様々な代替肉が生まれてきた。飲食店でもモスバーガーさんやバーガーキングさんといった大企業が参入してきました。世界でビヨンドミートやインポッシブルミートが目まぐるしく成長を遂げる中で、日本企業もこれらに「追い付け追い越せ」で研究に精を出しており、日々新しい商品のリリースしています。その中でネクストミーツさんが米国証券市場へ上場したのは日本としてすごい成果だと感じています。
国内外代替肉を比較

③日本古来の調理技術に再注目時代

代替肉群雄割拠時代に「フードテックによる代替肉」なるものを全く使わずに、彗星のように現れたレストランがヴィーガンレストランとして世界一の評価を取りました。レストランの名前は菜道、自由が丘にある20席ほどのレストランですが、コロナ禍で海外からの旅行客がいなくても日本人に圧倒的な人気を誇ります。世界一の称号を獲得して以来、多くの食品メーカーが訪れ、この真相を暴きにかかりましたが、菜道の楠本シェフは「日本古来のやり方を掘り起こしているだけ」と話す。更に楠本シェフは「精進料理にウナギを作るレシピはあるし、”がんもどき”はそもそも『雁擬き』なので、日本の料理人は古来から代替に取り組んできた」、また「古くから根付く発酵技術、野菜を保存するための乾物技術、芋から蒟蒻を作る技術などはそもそも日本が誇るべきフードテックでは?」と続ける。ここからビヨンドミートやインポッシブルミートなど海外のメーカーを見てきた日本の企業が、「日本古来の調理技術」に少しずつ注目し始めました。

④来る日本にとって超追い風時代

世界中で代替肉が盛り上がる一方、最近では反対の声も増えてきたのです。植物由来の原材料からつくられていても、添加物や様々な加工が多く加えられているので、従来からの「自然食品」を求める人の嗜好には合っていないからです。ここを私はチャンスと捉えています。

事例①ニューヨーク・タイムズのグルメジャーナリスト「いろいろなモノを混ぜて、肉へと生まれ変わらせることが、よいことだとは思えない。リアルな食こそが究極のゴールですが、代替肉が人々をその方向へと導くことはないでしょう」
参考:https://newrepublic.com/article/119788/bloody-veggie-burger-not-vegetarians-including-mark-bittman

事例②メキシコ料理チェーンのチポトレのCEOブライアン・ニコル氏「同チェーンでは加工されている植物由来の肉は提供しない」
参考:https://www.bloomberg.com/news/articles/2019-07-24/no-beyond-burrito-chipotle-s-ceo-says-faux-meat-s-too-processed

事例③自然食品スーパーのホールフーズ・マーケットのCEOのジョン・マッキー「原材料を見てください。代替肉は驚くほど手が加えられた加工食品なのです」
参考:https://www.cnbc.com/2019/08/21/whole-foods-ceo-john-mackey-plant-based-meat-not-good-for-your-health.html

今こそ世界にアピールすべき日本古来の調理技術

日本の精進料理は添加物がない時代からの歴史があり、先述のような「精進ウナギ」や「がんもどき(雁擬き)」などに使用するのは、基本的に野菜と穀物です。つまり日本古来の調理技術を使えば、代替肉反対派にも「自然食品」を提供できるわけです。日本古来の調理技術は世界が簡単に真似できるものではありませんし、そもそも昔から肉食文化が根付いている欧米諸国にこれらの技術はありません。よって日本は現在大きなアドバンテージを持っていて、言葉を言い換えると「世界がこれから求めるフードテック(Food Tech)」は既に日本に多く存在しているともいえるのではないでしょうか。

日本は代替肉で世界を取れるチャンス!そのためには

日本の代替肉が世界を取るには「日本古来の調理技術」×「ストーリーのプレゼンテーション」×「原材料の明確化」が重要です。

ウナギを例に挙げると、
「日本古来の調理技術」:日本では●年前から存在する技術であり、和食料理人の多くが知っている
「ストーリーのプレゼンテーション」:仏教で殺生を行わないお坊さんがどうしてもウナギを食べたくて工夫して作ったレシピ
「原材料の明確化」:豆腐、レンコン、ゴボウ、長芋、海苔、山椒、塩

世界へ売るためにはこれらをしっかり説明することが必要となりますが、世界はこれを「すごいフードテックだ!」というのは簡単に想像できます。

最後に

あくまでも③以降の流れは私が勝手に予想したものであり、正直希望的なものも含まれていることは否めません。しかしこの分野で日本は圧倒的なシェアを取れると確信しているからこそ、このような記事を書きました。①~④の流れでいくと、今の日本は②代替肉群雄割拠時代に突入したばかりだと考えており、一部企業様が③を研究し始めたばかりではないでしょうか。しかし海外のニュースなどを見ていても、世界ではもう④のステージに入ってきたと私は感じており、いち早く④に取り組む日本企業様が大きな成果を上げることを本当に願うばかりです。これらの予測を基に、2弊社フードダイバーシティ株式会社は事業者様に最適なソリューションを提供できるよう全力を尽くして参りたいと思います。