Road to One Table.

皆さんこんにちは。
Food diverstiy.todayにて、アレルギーについての記事を書かせて頂いている香川です。
卒業論文
食物アレルギーの私がお店に求める3つのこと
みんなのテーブル記 第1弾:自由が丘菜道
みんなのテーブル記 第2弾:カレーハウスCoCo壱番屋
みんなのテーブル記 第3弾:クリスマスケーキ2020はどう選ぶ?コンビニ4社比較レポート

自分が食物アレルギーだ、ということを告げると、必ずと言っていいほど受ける恒例の質問があります。皆さまに聞かれるということは、アレルギーを持っているこちら側にすると当たり前のことでも、そうでない人にとってはよく分からないところなのだと思っています。今回その「よく分からない人」からイメージを変えて頂くために、ランキング形式で私がよく聞かれた質問ベスト3に答えていきたいと思います。

第1位「何が食べられないの?」

人によって食べられない食物は違うため、何が食べられないのかを尋ねられることが一番多いです。これに対しては条件反射のように「卵、乳製品、いか、たこ、えび、かに等々……」と答えてきたのですが、最近その回答では不十分なのだということが分かりました。

私が食べられない卵とは、ゆで卵や卵焼きなどのTHE!卵料理!といったものだけではありません。例えばラーメンに使われる中華麺のつなぎ、フライの衣など、目には見えなくても卵が含まれているものはたくさんあります。乳製品も同じく、牛乳やヨーグルト、チーズは誰しも乳製品であることが分かると思いますが、アイスクリームやチョコレート、グラタン、ケーキなどの加工食品にもたくさん含まれています。

私にとって、スーパーの売り場に並ぶお菓子は、裏返して原材料表示を見るとほとんどアレルゲンが含まれているものだったので避けてきましたが、卵や乳製品にアレルギーのない子どもがわざわざ原材料表示を見て食べたいものを選ぶことはまだ少ないと思います。そのため、普段自分が当たり前に食べているものに、そういったものが含まれていると認識していない人は意外と多いのです。親切で、これなら食べれる?と食事に誘ってくれたりお菓子をプレゼントしてくれたりするのですが、実は食べられないんだよね…というパターンも少なくはありませんでした。

表示が煩雑なものもあります。例えば「カゼイン」とは牛乳に含まれるタンパク質の一つなので、「乳」という表記がなくても食べられないのですが、その一方で、「乳酸カルシウム」「乳酸菌」など、「乳」という文字はあるけれども問題なく食べられる(牛乳由来の成分ではない)ものもあるので、知識がない限りはややこしく分かりにくい部分ではあります。また、鶏卵はNGなのに鶏肉はOK、牛乳はNGなのに牛肉はOKなども線引きがよく分からない!ともよく言われます。

それゆえ、本当に相手に理解してもらおうと思ったときに、食べられない食品だけ並べ立てて答えるのは不十分なのだと最近気づきました。「卵が食べられない。卵は、一般的に外食でのラーメンとか揚げ物とかのつなぎに入ってることも多いから、そういうのも食べられないんだ」という答え方だと、相手の理解も深まると共に私自身もその質問してくれた相手とより過ごしやすくなるのだと思います。

アレルギー
実は食べられないものの例
実は食べられるものの例
練り製品(かまぼこ、ちくわ)、パン類(特に菓子パン、調理パンなど)、茶碗蒸し、麺類、衣、つなぎ、洋菓子、レシチン(大豆由来と記載されていればOK) 鶏肉、魚卵、卵殻カルシウム
マーガリン、バター、リカルデント(虫歯予防や歯科治療に使用)、チーズ、乳清(ホエイ)、乳酸菌飲料、脱脂粉乳、全粉乳、練乳、発酵乳、カレールー、シチュー、グラタン 牛肉、乳化剤(何由来かの記載をチェック!)、乳酸菌、乳酸カルシウム、乳酸ナトリウム
小麦
小麦、大麦、ライ麦、味噌、麦茶、ビール、グラノーラ、麩、うどん、パスタ、ギョウザの皮、マカロニ、パン(米粉パンにも小麦グルテンの使用可能性あり) ひえ粉、あわ粉、きび粉、さくさく粉、タピオカ粉、上新粉、ホワイトソルガム粉、米粉、米味噌、米酢、りんご酢、
大豆
大豆、枝豆、黒豆、豆腐、納豆、おから、きな粉、大豆もやし、レシチン(卵由来であればOK) もやし(大豆もやしを除く)、小豆、いんげん豆、えんどう豆、醤油、味噌(発酵過程でたんぱく質が分解されるため、問題ないことが多い)

第2位「じゃあいつも何食べてるの?」

第1位の「何が食べられないの?」に答えた後は、大体この質問を受けます。そんなに食べられないものが多いなら、普段何を食べて生活しているの?ということですね。私は小麦、大豆、肉、魚、野菜、果物はほとんど食べられるので、「納豆とか魚とか、野菜もよく食べるよ、うどんとかも食べれるよ」と答えてきたのですが、これもまた答え方を工夫するだけでもっとイメージが湧きやすかったり伝わりやすくなったりするのではないかなと思うようになりました。

例えば、調理法や味付けなどを工夫するだけで、以下のような代替品で似た食感や味を楽しむことが多いです。
卵⇒湯葉
肉⇒テンペ、大豆ミート、車麩、高野豆腐
牛乳⇒豆乳、アーモンドミルク、ココナッツミルク、ライスミルク、オーツミルク
豆腐チーズや豆乳マヨネーズなど、アレルギーがあっても食べられる商品なども、最近注目されるベジタリアン・ヴィーガン関連の影響で増えてきました

食べられるものを羅列して答えるのももちろん良いですが、食べられないものをどんなもので補っているかを伝えると、そういったものを使用している飲食店を探しやすいかと思います。「大豆ミートの〇〇」というメニューを見つけて、「これだったら食べられる?」と送ってくれる友達も増えました。植物生まれのプッチンプリンが発売開始された際も、「植物生まれとか豆乳とかアーモンドって書いてたけど、もしかして大丈夫?」と写真を送ってきてくれたこともあります。食べられるはずの野菜にマヨネーズがかかっていたらアウトなのですが、最近は豆乳マヨネーズも販売されてて、と存在を伝えるだけで、それを探してくれる可能性も生まれるかもしれない!と感じました。

第3位「大きくなったら治るんじゃないの?」

これに関しては個人差が大きい部分なので一概には言えないのですが、もちろん治る人もいます。私のように、23年間治らない人もいます。

一般的に、乳児期に発症した牛乳や鶏卵のアレルギーは3歳までに5割、小学校に入学するまでに8~9割ほどの人が治ると言われています。大人になってから発症したアレルギーは、乳児期に発症したものと比べて治りにくいとも言われています。ただ「治る人が多い」「治りにくい」という傾向がみられているからといって、すべての人にそれが当てはまるわけではありません。乳児期から今日までアレルギーと戦っている人も少なくないと思います。私もその一人です。「大きくなったら治るんでしょ?」「体質が改善したら治ったって人もいるからいつか治るかもね」などの声をかけられることは意外と多いのですが、同じアレルギーでも人によって症状、度合い、対象アレルゲンなども全く異なるように、とても個人差の大きいものだということをご理解いただければ嬉しいなと思います。

※個人差があるので、上記の回答が全員に当てはまるわけではありません。

最後に

私自身、知ってもらうことを伝える前に諦めてしまう時期もありました。しかし、アレルギー対応の飲食店や市販品が増えた今だからこそ、こういうものだったら食べられるよ!と前向きに伝えることや、自分の身体のことを丁寧に話すことで、少しでも理解が得られるようになるのではないかと思うようになりました。また、自分にはないアレルギーを持つ人に出会うと、私も同じような疑問を持つことに気付きました。そういったとき、こういった答え方をしてもらえたら寄り添いやすいな、一緒に食事しやすいな、と思ったことがきっかけで、質問への返答を見直すことにしました。今回の記事が、アレルギーに対してのよくわからないことや不思議だったことが少しでも解決するきっかけになれば幸いです。アレルギーの知識がより広まることを願っているので、その他ご質問があればなんでもお答えします!こんなこと聞いていいのでしょうか?という質問もWelcomeです。

ご質問はこちら⇒ info@food-diversity.co.jp