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日本から行くハッジの参加方法と注意点
2023年6月27日、世界の多くのムスリムは、イスラームの二大祭の一つである犠牲祭(イード・アル=アドハー)を祝いました。その犠牲祭と最も関わりが深いイスラームの儀礼がイスラームの五行六信の「六信」のひとつである「大巡礼(ハッジ)」になります。今回は、その大巡礼(ハッジ)について日本から行く場合の流れや注意点について説明したいと思います。
日本からハッジに行く方法
近年、日本に住むムスリムの人口が増えていることから、日本からハッジをしたいという要望が多く寄せられています。通常、イスラーム諸国では、各国で毎年ハッジに参加できる人数枠がサウジアラビア政府によって決定されており、数年〜20年もの間、順番待ちをすることも多く、中にはハッジの順番を待っている間に一生を終えてしまう方も少なくありません。しかし、日本からハッジに行く場合は、日本のムスリム人口の少なさゆえ、順番を待つことなくハッジに行くことができます。具体的に日本からハッジに行くには以下の方法があります。
1 民間の旅行会社が販売するハッジツアーを購入して参加する
現在、日本では複数の旅行会社がハッジツアーを販売しており、日本に在住するムスリム(長期滞在のビザを保有している方のみ)は購入して参加することができます。コロナ禍前はハッジツアーの価格が3週間の約60万円だったのに対し、2023年は100万円を超えています。泊まるホテルのグレードや行程などは旅行会社によって異なりますので、別途確認が必要です。2023年は、250〜300名ほどの在日ムスリムが旅行会社を通じてハッジツアーに参加したと推測されています。なお、ハッジビザが発給される条件などは突発的に変更することもあるので、旅行会社と密にコミュニケーションをする必要があります。
参考: H.I.S Hajj and Umrah Japan (https://www.facebook.com/profile.php?id=100063698674221)
2 (日本人ムスリムの場合) 招待ハッジに参加する
日本のようにムスリムが少ない国では、招待ハッジというスポンサーがつくハッジの行き方もあります。招待ハッジでは、サウジアラビア政府やイスラーム諸国の各団体、大使館などが主体となって、日本人ムスリムを招待し、ホテル・宿泊代はもちろんハッジに掛かるほとんどの費用を負担します。こちらも参加するプログラムによって、滞在先やプログラムにかなり幅があるようですので、事前に確認する必要があります。2023年は、30〜50名ほどの日本人ムスリムが招待ハッジに参加したと推測されています。なお、招待ハッジの場合は、直前に決まる場合が多く、事前に会社などに話を通しておく必要があります。
ハッジの際の訪問先
ハッジを行う際には決まった心構え、儀礼、訪問先、実践があります。
詳細は省略しますが、大まかに以下の手順で行いますが、便宜上順番が多少前後する場合もあるそうです。
ハッジ1日目:イフラームの状態に入り、ミナーヘ移動
ハッジ2日目:アラファへ移動し、日没まで滞在(ズフル・アサルの礼拝を行う)
ハッジ3日目:ムズダリファに滞在(暁から日没まで)、日の出前にミナーに移動し投石を行う
生贄を捧げた後、投石後に剃髪または髪の一部を切る
タワーフ、サアイを行う(5日目の日没まで延長可能)
ハッジ4日目:ジャマラートで投石を行い、ミナーに滞在
ハッジ5日目:ジャマラートで投石を行い、ミナーに滞在またはマッカへ移動
ハッジ6日目:まだミナーにいる場合は投石を行ってから、タワーフを行う
また、ハッジの前後でマディーナに訪れることが多く、マディーナで預言者に想いを馳せながらイバーダに勤しむことができます。
ハッジに行く際の注意点
(1)しっかりと事前準備を行う
巡礼に必要な物の準備はもちろん、ハッジの実践の手順やそれぞれで唱えるべきドゥアーについて事前に準備しておくことをお勧めします。招待ハッジの場合は、出発の数日前に決定することも多く、突発的なハッジ参加の決定にもしっかり心構えをしておきましょう。
(2)ハッジで一番大切な持ち物「忍耐」
ハッジでは、物事がほぼ100%思う通りに進むことがありません。世界中からムスリムが集まっているわけですので当然文化やマインドは千差万別、日本の当たり前は世界の当たり前ではないことを十分に理解しましょう。タワーフ中に他の人に激しくぶつかられる、当日のスケジュールが急遽変更する、エレベーターを待っている時に割り込みをされる、などのことは日常茶飯事です。大らかな心持ちでハッジに臨みましょう。
(3)体調管理と現地対応
ハッジ中、マッカには250〜300万人ほどのムスリムが世界中から集まるため、様々なウイルスや疫病も同時に集中することになります。現地では夏の季節では45〜50℃近くにもなるため、体の免疫が著しく落ちるため、体調不良や病気を患ってしまうことが珍しくありません。徹底した体調管理と万が一現地で病気になってしまった際の対応方法を事前に確認しておく必要があります。多くの場合、巡礼者は無料で診察を受けることができたり、プログラムによっては医師が同行している場合もあります。
日本からハッジに参加する際の条件や金額、流れなどは毎年変わることが多いため、まずはハッジツアーを取り扱っている旅行代理店などに問い合わせてみましょう。招待ハッジにも条件や制限が設けられていることもあるので、注意してください。