問われるホスト国日本の受け入れ体制
2026年に愛知県名古屋市で開催されるアジア競技大会(Aichi-Nagoya Asian Games 2026)。この国際的なスポーツイベントでは、選手や関係者、観客が安心して食事を楽しめる環境づくりが重要になります。特に近年のスポーツ大会では、多様な食文化や食習慣に対応した「フードダイバーシティ」が、非常に温度感高く求められています。
今回はしっかりと対応すべきことを大きく6点にまとめました。
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1.パリ2024オリンピック・パラリンピック競技大会の事例:ヴィーガン・プラントベースが主流に
2024年に開催されたパリオリンピック・パラリンピックでは、選手村で提供される食事の多くがヴィーガン(プラントベース)の料理となりました。これは、環境負荷の軽減や健康意識の高まりを受けたもので、それらの選択肢が豊富に用意されたことが大きな特徴でした。もちろん賛否は多くあったものの、名古屋アジア競技大会でもこうした流れを理解した対応が求められることは間違いありません。
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2.増加するアスリートのグルテンフリーニーズ
世界的に、グルテンフリーを実践するアスリートが増加しています。これはパフォーマンス向上や体調管理を目的としている選手が増えているためです。名古屋アジア競技大会でも、米や米粉を活用したメニューの開発であったり、グルテンフリーである旨を表記するをことが重要になります。
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3.ムスリム対応の重要度はこれまで以上
アジア競技大会ではオリンピックパラリンピックに比べて、ムスリムの参加者が圧倒的に多いことも特徴です。ムスリムの選手や関係者が安心して食事をとれるよう、ハラール対応の食事の充実が不可欠となります。過去の国際的なスポーツ大会以上にしっかりと対応することが求められることでしょう。
4.多言語対応、原材料表記、アレルギー表記は言わずもがな
国際スポーツ大会に限ったことではありませんが、多言語対応(英語、中国語、アラビア語など)、原材料の詳細表記、アレルギー情報も重要です。大会期間中は食事がパフォーマンスに直結するため、選手がわかりやすく、安心して食べられる環境を整えることが重要です。
5.各国の食文化に寄り添う
アジア競技大会では、さまざまな食文化を持つ国々の選手が集まります。そのため、日本の食文化だけを押し付けるのではなく、選手が母国で食べ慣れている料理もしっかりと提供することが求められます。
6.スポーツ栄養学を考慮したメニュー開発
アスリートにとって食事は単なる栄養補給ではなく、試合で最高のパフォーマンスを発揮するための戦略の一つです。高タンパク・低脂肪の食事やエネルギー補給に適した炭水化物の選択肢が求められます。加えて、競技のスケジュールに応じて素早く消化しやすい食品や、試合前後の栄養補給に適したオプションも提供する必要があります。
世界基準の食事対応で国際的評価を高める
パリオリンピック・パラリンピックの事例からも分かるように、スポーツ大会におけるフードダイバーシティの充実は、国際的な評価や観光産業にも影響を与えます。名古屋ならではの特色を活かしながら、世界中のアスリートや観光客に対応できる地域としての姿勢を示していくことが強く求められています。