加速するフードダイバーシティとその対応
昨今、「フードダイバーシティ」や「食の多様性」という言葉がテレビ等の公共メディアでも頻繁に取り上げられ、皆さんも「ヴィーガン」「ベジタリアン」「ハラール」といった言葉を聞いたことがあるでしょう。
そしてその食の多様性が多岐に渡りすぎていて、飲食店や食品メーカーの事業者の方々が食の多様性対応をする際に、頭の中でこんがらがってしまうことも珍しくありません。
今回は、世界人口の4分の1を占めるといわれるムスリムへの食の対応(≒ハラール対応)、そして現在注目のヴィーガンの違いと共通点について説明します。
参考リンク
ここまではハラールと全く同じ兆候!?今、ベジタリアン・ヴィーガン業界に起きていることと今後の予測について:https://fooddiversity.today/article_87939.html
ハラールとは?
そもそも「ハラール」な食べ物とは、アラビア語で「許された・合法な」という意味を表し、ムスリムが消費することができる食べ物を指します。この世に存在するもののほとんどが「ハラール」なもので占めており、一部のものが禁止されている「ハラーム」のものになります。
ヴィーガンとは?
魚や肉を食べないベジタリアンに比べ、ヴィーガンは卵や乳製品、蜂蜜などの肉・魚以外の動物性食品を避け、中には食べ物だけでなく、レザーや毛皮など身の回りものからも動物性の使用を避ける方もいます。そういった面では、食だけでなくライフスタイル全体を指す言葉として浸透しています。ヴィーガンになる理由や背景は多様ですが、健康(アレルギー・病気)・環境意識・動物愛護・宗教など人によって異なるのもヴィーガンの特徴です。
食におけるハラールとヴィーガンの対応の違い
下の表は、食におけるハラールとヴィーガンの対応を表したものです。マルで表記されているものが「食べることができる」もので、バツが「食べることができない」ものを指しています。
ハラールの表では、「豚肉」と「アルコール調味料」のみにバツが付いており、牛肉と鶏肉はハラール屠畜されたものであれば食べることができます。したがって、ヴィーガンに比べて比較的容易に対応することができます。
一方、ヴィーガンの方は動物性のものを使うことができないので、ハラール対応に比べてバツが多くなっています。このように両方を比較してみると共通しているのは「野菜・果物」の植物性の食品のみになります。
参考リンク
国内外代替肉メーカーの比較まとめ:https://fooddiversity.today/article_57309.html
“スーパーで購入できる” 日本国内代替肉メーカー比較まとめ:https://fooddiversity.today/article_91169.html
ダイバーシティ対応するには?
上記の表を見ることで、ハラールとヴィーガンの対応方法が分かります。しかし、ハラールとヴィーガンを別々に対応することでオペレーションが複雑化したり、メニューの複雑化(ある商品はハラール、ある商品はハラールでない等)が生じてしまいます。では、両方に同時に対応するにはどうすれば良いのでしょうか?
ハラールとヴィーガンを同時に対応するには、先程の表からこのような公式を導き出すことができます。
「ヴィーガン」―「アルコール調味料」=「ハラール」
表でバツが多かったヴィーガンをベースに考えたとき、そこからアルコール調味料を除けば、ハラールにも対応できるようになります。そうすれば、ヴィーガンかつハラールの対応ができ、ヴィーガンもムスリムも食べることができるメニューにすることができます。ハラール対応の場合は、鶏肉や牛肉をトッピングとして追加することでお客様の満足度もあげることができます。
ヴィーガンかつハラール対応の店舗実例
自由が丘「菜道」:https://fooddiversity.today/article_86915.html
今後、食の多様性がどんどん加速し、どれだけお客様に多様なオプションを提供できるかが継続的にお客様を呼び込むポイントのひとつになってきます。
ぜひもう一度、ハラールとヴィーガンの対応方法を確認し、
フードダイバーシティ対応を検討してみてはいかがでしょうか?