「ベジタリアン・ヴィーガンのお客様をお呼びしたいです」

皆さん、こんにちは。フードダイバーシティ株式会社の守護です。

最近、弊社にはありがたいことに全国の自治体・行政・公共機関から「ベジタリアン・ヴィーガンのお客様をお呼びしたいです」というご相談をよくいただきます。しかし弊社からは「食の多様性(フードダイバーシティ)対応」を頭に掲げてやりませんか?と必ずお伝えをします。それは一体なぜか。

以前ムスリム(ハラール)についても同様の記事を書かせて頂きましたが、今回はベジタリアン・ヴィーガンについても触れたいと思います。
https://fooddiversity.today/article_36536.html

※自治体・行政との連携実績はこちら
https://fooddiversity.today/local-government

本日はその理由を下記に記載したいと思います。主に下記5点になります。

①「ベジタリアン・ヴィーガン単体」だと自治体・行政として特定の主義の色が出てしまう

立ち上がったばかりのときには特に何もないのですが、結果が出て注目され始めると「特定の主義・宗教への配慮」という声が地域から出てくることがよくあります。もちろん地域にはお肉やお魚に関係する事業者も多くいらっしゃるので、これらの動きを面白くないと感じる人も多く、その声は後押しもされやすいです。しかしハラールやアレルギー等も含めた「食の多様性(フードダイバーシティ)の一環」という形でバランスよく進めると、地域からの上記反対の声などなく進めていくことができます。
つまりベジタリアン・ヴィーガン対応は「One of them」感を出しましょうという話で、自治体・行政が公平さを保つことで持続可能な取組みになっていくと考えています。

②ベジタリアン・ヴィーガンは「活動家」に注意

昨今、情報発信の際には各業界のインフルエンサーをお呼びすることが一般的になってきました。しかし、自治体・行政から弊社に来るベジタリアン・ヴィーガンのインフルエンサー関係の問い合わせとして多いのは「活動家の方以外でお願いします」というものです。この分野における活動家とは、例えば動物愛護や、環境問題に対してデモ活動や、SNS上でそれについて(少し過激目な)情報発信などを行っている方のことを指します。過去にベジタリアン・ヴィーガンのインフルエンサーを誘致した際に、飲食店や宿泊施設に対して、上記活動のご案内や賛同を求めることなどもあり、もしそのインフルエンサーを自治体・行政が主導する事業で招致したとなると、誤解を与えてしまうことは避けられません。これらも同様に、ベジタリアン・ヴィーガン単体でなく食の多様性を頭に掲げ「One of them」であることをしっかりと伝えれば、インフルエンサーが活動家であったとしても適切なバランスを取ることが出来ます。

③ベジタリアンをベースに考えれば応用も効きやすく、お客様の幅が広がるので飲食店としての結果も出やすい

食事に禁忌を持っているのはベジタリアン・ヴィーガンのお客様だけではありません。団体の中にベジタリアン数名、ムスリム数名、グルテンフリー数名といったユニットもケースとしては多くあります。下記の表を抑えて考えていけば、体系的に様々なお客様の対応が可能となり、ベジタリアン・ヴィーガンがベースとして重要であることが分かります。ベジタリアン・ヴィーガンを点で考えるのではなく、面で考えて受け入れ環境整備していきましょう。

④「ベジタリアン・ヴィーガン単体」だとそれに付随する協会系が多く、協会系の数だけ主張や正解がある

ベジタリアン・ヴィーガン単体でスタートすると各認証機関、協会系、コンサルティング会社から「そのやり方は間違っている」とか「ベジタリアン・ヴィーガンを分かっていない」といった連絡がよく来ます。各協会の主張にお付き合いしているとこれはキリがないので、公平を期して観光庁のガイドラインを参考に、「消費者に判断して頂く体制」を作ることが重要です。

⑤「ベジタリアン・ヴィーガン」を謳いすぎると、一般客が離れるリスクもある

まだまだ一般日本人にとって「ベジタリアン」や「ヴィーガン」について「自分とは無縁の食事」というイメージがほとんどです。その中でそれらを強く謳うことによって一般日本人の中には避けてしまう人もいるかもしれません。やはりそこでも「食の多様性(フードダイバーシティ)対応」が重要になります。諸々対応している情報は基本「その情報を欲する人」にのみ届けばいい話になります。ベジタリアン・ヴィーガンは母数がまだまだ少ないことを忘れてはいけません。

詳しくは下記となります。
https://fooddiversity.today/article_56333.html

以上となります。

もちろん民間企業様からの依頼については状況をヒアリングの上、商圏分析のもと「ベジタリアン・ヴィーガン単体」で提案するケースもあります。
しかし、公平性の求められる自治体・行政となると、やはり上記理由から「単体」での取り組みをお勧めしないケースもあります。

食の取り組みは本当に重要なので、単年度の一過性のものにしてはいけません。
上記5点を意識しながら持続可能なものにしていかないといけないと考えています。