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日本初、岩手県二戸市の事業者団体がフードダイバーシティ宣言

2020年1月24日(金)、権八西麻布にて岩手県二戸市の事業者団体がフードダイバーシティ宣言を行いました。本宣言は地域として「在住者」「インバウンド」「雇用」「輸出」の促進を軸にするもので、記者会見には二戸市長も参加、更に40社を超えるメディアが集まり、注目度の高さが伺えるものとなりました。

記者会見の様子

記者会見の次第は下記の通り。

1、開会の挨拶  株式会社南部美人 久慈浩介社長
2、フードダイバーシティについての説明  フードダイバーシティ株式会社 守護社長
3、取り組み説明1 株式会社南部美人 久慈浩介社長(ヴィーガン、コーシャ
4、取り組み説明2 株式会社小松製菓 小松豊社長(ヴィーガン
5、取り組み説明3 久慈ファーム有限会社 久慈剛志社長 (ハラール
6、岩手県北広域振興局長代理 北川所長 ご挨拶
7、藤原淳二戸市長 ご挨拶
8、独立行政法人日本貿易振興機構(JETRO) 盛岡⽀局 城北所⻑ ご挨拶
9、フードダイバーシティ宣言
10、質疑応答
11、ヴィーガン寿司、ハラール熟れ鶏の試食

会見では株式会社南部美人久慈社長中心に、各社から今回の取り組みのにおける意気込みや、世界標準で食について取り組む重要性、二戸及び日本の価値を世界で高めていくこと、当たり前を可視化させる必要性、SDGs等について熱く語られました。
また藤原二戸市長からは「人口27,000人の小さな都市からの世界に向けた大きな挑戦」ということで、市としての全面バックアップ体制について伝えられました。
今後は一歩ずつ地域の飲食店や食品メーカーに対して、基礎勉強会や、各分野において先進的な取り組みを行うシェフを招聘した実践勉強会を進めていくとのことで、更に市民の理解を促進させる講演なども行う予定で地域全体での取り組みにしていく。
食は世界中の方々とコミュニケーションを取るためにはとても重要なツールですが、特定の主義や宗教に偏らず全体最適を目指すフードダイバーシティの取り組みにいち早く乗り出した岩手県二戸市、今後の取り組みに注目です。

ヴィーガン寿司(権八西麻布提供)

ハラール熟れ鶏(久慈ファーム有限会社提供)

ヴィーガン南部せんべい(株式会社小松製菓提供)

ヴィーガン日本酒(株式会社南部美人提供)※ハラールではありません

【以下、メディアに配布された資料】

■経緯
南部美人は1997年に海外輸出をはじめ、今では世界46か国への輸出をしています。世界を渡り歩くと、世界中には食の禁忌者と言われる方々が多数存在している事を知りました。昨年アフリカのウガンダに行きましたが、ウガンダではスーパーでも空港ラウンジでも当たり前にヴィーガンやハラール対応をしていました。先進国と言われる日本ではまだ当たり前にそれが出来ていないことに大きなショックを受けました。
そんな中で当社は2013年にコーシャの認定を取得、2019年1月には世界初の日本酒でのビーガン認証を取得しました。タイミングよく、小松製菓さんも2019年12月にビーガン認証を取得したことで、二戸市は複数のビーガン認証企業が誕生し、これを生かし、世界中からインバウンドで集まるビーガンの方々に安心して食べる、飲む、買う、をしてもらうために二戸市で「ヴィーガンフレンドリーなまち宣言」をしてもらうように考えました。
しかし、二戸市の基幹産業の一つに鶏肉、豚肉、牛肉という三大ミートがあり、二戸市はそれを推奨している事もあって、ヴィーガンをあまり強く表に打ち出すと、肉を否定してしまう事に繋がりかねないとのご意見もありました。
そんな中、当社がユダヤ教の食餌規定を満たす「コーシャ」の認証を受けている事、そしてタイミングよく久慈ファームさんが熟レ鳥で「ハラール」認証を目指すこともあり、ヴィーガンだけではなく、コーシャ、ハラールも入れて、通常食の人にはもちろんですが世界中の食の禁忌者に対しても優しい世界標準のまちづくり「フードダイバーシティ宣言」をするに至りました。

■事業者
今回の宣言は行政である二戸市が出すのではなく、あくまで主体となって行動する二戸市の事業者3社が宣言を出し、それを二戸市、岩手県、そしてジェトロ盛岡が応援していく形を取ります。今の時点で事業者は3社ですが、今後、ヴィーガン認証マークはつきませんが、世界中でヴィーガンと認められる米農家や、野菜農家、果物農家の皆さんも仲間に入れながら、二戸市全体の出来るだけ多くの事業者と連携しながらフードダイバーシティを創造していきます。
その中でも、ホワイトアスパラガスは二戸市の新しい名産品ともなっていて、先日は日本一の食材にも輝きました。

■今後の展開
今は3社の事業者でスタートしますが、今後は二戸市内、そして広域連携する岩手県北・沿岸部の事業者とも連携しながらフードダイバーシティを二戸市から岩手県北へ、さらに岩手県全体に発展させていきたいと思います。さらには世界一のヴィーガン・ハラールレストランの称号を持つ東京・自由が丘の「菜道」さんの協力をいただき、二戸市内をスタートにヴィーガン、ハラール料理を当たり前に食べる事の出来るレストランを増やしていきます。すでに小松製菓の持つ和食レストラン四季の里ではヴィーガンとハラール料理の提供準備を、南部美人がこの春にオープンさせる蔵の敷地内にある酒バーではオールヴィーガンの提供準備を進めています。
さらに、フードダイバーシティの理念を市民にも理解していただくために、二戸市シティーセールスセミナーと題して、市民も巻き込んだ講演会やハラール、ヴィーガン料理の勉強会・試食会なども今後展開していき、二戸市民全体のフードダイバーシティへの意識を高めていきます。

■まとめ
今回の取り組みは二戸市が2017年から推し進める「二戸型テロワール」の先に繋がる事業です。二戸市の素晴らしさを世界に対してテロワールという言葉で発信していく中に、フードダイバーシティという価値が入ります。
今、世界中から日本に来るインバウンドの食の禁忌者の方々は安心して食べるものがわからない状況で、呆然と彷徨っています。自国から食べられるものを持参する方々も多く、それでは真の意味で日本を楽しんでもらっているとは言えません。日本酒も南部せんべいも日本を代表する伝統ある食文化です。二戸市では、そういった彷徨っている食の禁忌者へ救いの手を差し伸べ、二戸市に来ると安心して食べる、飲む、お土産を買えることが出来ますよ、と伝えながら、通常食の方々にも二戸市の持つ食の伝統文化を楽しんでもらいます。
通常の食事の方にも、食の禁忌者にも、世界中全ての方々に優しいまちになるように全力で取り組んでいきます。
その取り組みの日本最初のスタートの地として、さらに多くの日本中の自治体がフードダイバーシティに関心を持っていただき、進めていただく事も願っています。
この取り組みはきっと今年国連が掲げた持続可能な開発目標「SDGs」、「誰も置き去りにしない(no one will be left behind)」の理念に則った活動に繋がり、日本の価値を世界で高めていくと信じています。
二戸市は、世界中全ての人々に優しい、世界標準のまちづくりを目指していきます。