ニューヨークのベジ普及率が凄まじい
皆様、こんにちは。
フードダイバーシティ株式会社の山崎です。
多種多様な人種・文化が入り混じる街、ニューヨーク。
今回のコラムでは、「ベジタリアン・ヴィーガン」という切り口で、ニューヨークの今に迫ります。
機内食、ファストフードにコンビニまで
今回ニューヨークへはユナイテッド航空で向かいました。
離陸後すぐにやってきた機内食の時間。
客室乗務員の方から 「チキン or パスタ?」 という案内を受け、すかさず 「ベジオプションはありますか?」 と聞いてみると、「パスタがベジタリアンです」という回答が返ってきました。
いつベジタリアンの要望が発生しても対応できるように常時対応されているとのことでした。
*帰りのフライトも同様の選択肢でした
もちろんベジタリアン以外の人もパスタを選ばれるので特別ロスの心配もありません。
また、もう一つの選択がチキンであるため、ビーフを食べないヒンドゥー教徒も同時に対応することができます。
チキン or パスタという選択肢はあらゆる食の禁忌に対応できる最良の選択かもしれません。
舞台はアメリカ ニューヨークへ
到着後、まず向かったのが現地のスターバックス。
何の変哲も無いサンドイッチやベーグルに見えますが、VegetarianやVeganの記載を発見。
それ以外にもバーガーキングなどの一見ベジタリアンとは縁がなさそうなファストフードもVeganオプションを展開。
あまりにナチュラルに溶け込んでいるため、意識をしないと気がつかないこともしばしば。
ちなみに、ベジタリアン検索アプリのHappy cowで近辺レストランを確認すると…
ご覧の通り、辺り一帯にベジタリアンメニューを提供しているレストランが点在していることが分かります。
日系の方が経営している和食レストランやラーメン店でも当たり前のようにヴィーガンオプションがありました。
また、ハード面(ベジタリアンレストランやベジタリアンオプション)だけでなく、ソフト面(ベジタリアンへの理解)も充実していると感じました。
レストランのアルバイトのスタッフさんに「ヴィーガンオプションはありますか?」と質問すると、即答で「Yes or No」の回答が返ってきます。
またベジタリアンとヴィーガンの定義の違いもしっかりと理解しており、「麺に卵使っているからヴィーガンはないけどベジタリアンはあるよ」といった会話が普通になされていました。
Amazon傘下のWhole Foodsはヴィーガン天国?
アメリカのベジタリアン市場を語るにあたり、Whole Foodsは欠かせません。
Whole FoodsはAmazonが137億ドルで買収した米スーパーマーケット。
概算ですが、販売している商品の「約半数」はベジタリアン・ヴィーガン対応でした。
店内には「*Special diet」や「*Free from」と書かれたコーナーが多数あり、食の多様化への対応が充実していました。
*Special diet:直訳すると「特殊な食習慣」。ハラールやベジタリアンなど食の禁忌を総称した呼び方。
*Free from」:Sugar freeやSoy freeなど〜〜freeを総称した呼び方。
ベジタリアン、ヴィーガンがここまで浸透している理由
エシカルの(倫理的な)観点が大きいです。
Cage free:ケージの中ではなく、広々とした空間で飼育。卵などについていました。
Cruelty free:残酷感ゼロ。動物実験などをしていない化粧品などにもついていました。
街中では上記の表示を頻繁に見かけました。ご覧の通り、食だけでなく、身につける衣服や化粧品、アメニティーなど、ジャンルは多岐に渡ります。
ただ、近年ではエシカルに加えて、健康・環境問題などを背景にベジタリアンになる人が急増しているようです。
ベジタリアンなのにジャンク!
ベジタリアンというと日本語で「菜食主義者」と訳すことが多いので、「ベジタリアン=サラダ」のイメージの方が多いのはないでしょうか。
アメリカ滞在中、5日間毎食ベジタリアン料理を頂いたのですが、葉物はほとんど食べませんでした。
所謂アメリカンフードと聞いてイメージする
・ハンバーガー
・フライドチキン
・ウィンナー
といった「ジャンクフード」尽くしでした。
ベジタリアンでフライドチキン?と思われる方も多いと思いますが、大豆などの植物性100%の商品が至る所で流通していました。
植物性のお肉と聞くと何だか美味しくなさそうに聞こえますが、言われなかったら気づかないレベルまできています。
(もちろん商品によりレベルの差があります)
中でもSeasoned Veganというレストランのヴィーガンチキンナゲットは群を抜いていました。
https://www.seasonedvegan.com/
「ベジタリアン以外の人がわざわざ並んででも食べたいぐらい美味しい」と評判です。
ちなみにOrchard grocerというヴィーガン食品を扱う小売店では、ヴィーガンの卵やソーセージ、更にははちみつまで、多岐にわたる商品を販売しておりました。
「ベジタリアン≠サラダリアン(造語)」というのが改めて分かる光景でした。
ヴィーガン食品企業 2大巨頭
連日世界から注目を集めるインポッシブルミートとビヨンドミート。
世界が注目するヴィーガン食品企業です。両社の植物性パティーの完成度の高さに世界が注目しています。インポッシブルミートはバーガーキングが導入し、アメリカ ミーズリー州でテストマーケティングを展開中です。
ニューヨークのヴィーガンレストランを回って感じた事は、「ジャンクフード」のニーズの高さです。
ベジタリアン=サラダ出しておけば良いという考えを改めないと欧米圏のベジタリアンの心は掴めなさそうです。
求められているのは、ヴィーガン×和食×ジャンクのアレンジ?
訪日経験のあるアメリカ人ヴィーガンと話す機会に恵まれたので、日本に期待する対応について聞いてみたところ
「ヴィーガンで和食のものがあると嬉しい。」
「ただ精進料理というよりはジャンクなB級グルメが食べたい。」
と答えてくれました。
もちろん、これが全ての欧米ヴィーガンの旅行者に当てはまる訳ではありませんが、ジャンクな和食のニーズは高そうです。
「バーガーなどでも照り焼きや天ぷらでアレンジしたものがあれば食べてみたい」
「漫画などでよく出てくるラーメンは絶対食べてみたい」
「日本といえば寿司だよね!野菜寿司とかあるの?あったら食べたいね」
これが生の声です。
実際にニューヨークの街中を歩いていると、ラーメンやお寿司屋さんをよく見かけました。
中をのぞいてみると、ラーメンやお寿司でヴィーガン対応したものもたくさんありました。
ちなみにラーメンにトッピングされている本物そっくりの卵もヴィーガンだそうです。
まとめ
ニューヨークでは日本の何倍ものスピードでベジタリアン対応が進んでおり、一般市民の間でも言葉の定義を説明できるレベルまで広がっていました。
その感覚を持った方々がラグビーやオリンピックで訪日するため、日本としてもベジタリアンおもてなし対応が、今後さらに求められることになるでしょう。
ただ、迎え入れるに辺っては、
・ベジタリアン=サラダではない
・ジャンクな和食が求められている
この辺りを意識できるかで、お客様に満足して頂けるかが変わってくると感じた視察でした。