見落としがちなハラール対応のチーズ

食の多様化を支援するフードダイバーシティ株式会社の守護です。

通常、チーズの製造においては、凝固作用のためにレンネットと呼ばれる酵素を使用します。それは牛や羊の胃から抽出されるものが一般的ですが、ハラール対応においては動物由来のものではなく、植物性由来もしくは微生物由来のものを選ぶ必要があります。
※イスラム教のハラールでは動物由来がNGというわけではなく、動物が適切な屠殺をされているかどうかがポイントになりますが、レンネットについてはそれを遡ることが難しいため、植物性由来もしくは微生物由来のものが選ばれています。

世界で約1/4を占めるムスリム市場を獲得するために、昨今は植物性由来のレンネットや、微生物由来のレンネットを用いてハラール対応のチーズを製造する企業が世界的にも増加しています。

実際にどのようなものがハラール対応チーズとして使用できるのか、一部を以下にまとめました。

よつ葉北海道十勝シュレッドチーズ
有機 JAS オーガニック グラスフェッド チェダーチーズ シュレッドチーズ
無添加 冷凍 モッツァレラ チーズ イタリア産

飲食店様や宿泊施設様の多くは「チーズは豚も酒も入ってないから大丈夫」と考えてしまいがちですが、ここは意外と見落してしまうポイントになるので、今一度チェックしてみることをおすすめ致します。

また、チーズ製造メーカーにとっては異なる宗教・文化背景を持つ顧客に対応するために、植物性由来や微生物由来のレンネットを含む、新たな技術や製法の導入を求めていくことは市場競争性を高める重要な要素になってくると考えています。

著者

守護 彰浩(しゅご あきひろ)
フードダイバーシティ株式会社 代表取締役
流通経済大学非常勤講師

1983年石川県生まれ。千葉大学卒業。2006年に世界一周を経験後、2007年楽天株式会社に入社し、食品分野を中心に様々な新規事業の立ち上げに関わる。2014年、多様な食文化に対応するレストラン情報を発信する「HALAL MEDIA JAPAN」を立ち上げ、フードダイバーシティ株式会社を創業。ハラールにおける国内最大級のトレードショー「HALAL EXPO JAPAN」を4年連続で開催し、国内外の事業者、及びムスリムを2万人以上動員。さらに2017年からはハラールだけでなく、ベジタリアン、ヴィーガン、コーシャ、グルテンフリー、アレルギーなどに事業領域を広げ、全国自治体・行政と連携しながら普及のための講演活動、及び集客のための情報発信を行う。2020年には総理大臣官邸で開催された観光戦略実行推進会議にて、菅総理大臣に食分野における政策を直接提言した。著書に「開国のイノベーション」(株式会社スリースパイス)。

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