食のオンラインセミナーには限界あり

近年、ベジタリアン・ヴィーガン・ハラール対応を含む「食の多様性対応セミナー」が多く開催されています。オンラインでの実施も増え、多くの参加者が知識を得る機会が広がっています。しかし、実際にセミナーの満足度を分析すると、リアル開催の方が圧倒的に効果が高いことが明らかです。特に、食の多様性に関するセミナーでは、単なる情報提供だけでなく、「実際に体験し、交流することで理解が深まる」ことが重要です。今回は、オンライン開催とリアル開催の違いを明らかにし、なぜリアル開催が不可欠なのかを解説します。

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1. アンケート結果から見る、リアル開催の圧倒的な効果

最近開催されたあるオンラインセミナーのアンケート結果によると、全体的な満足度は高かったものの、いくつかの課題が浮かび上がりました。

・知識を得ることはできたが、実際にどう対応すればよいか実感が湧かなかった
・具体的な食事提供のイメージがつかめなかった
・現場での対応例をもっと知りたかった

といった意見が多く寄せられました。つまり、オンラインでは情報のインプットは可能ですが、「実際に参加者同士で意見交換し、現場の工夫を共有し、実体験を伴う学び」が不足しているのです。

リアルセミナーには、以下の3つの形式があります。

① 座学だけのセミナー
– 参加者同士が直接顔を合わせて意見交換ができる。
– 他の業種・地域の取り組みを共有し、現場での課題や工夫を知ることができる。

② 座学に加え、簡単なワークショップによる調理体験
– 実際に食材を手に取ったり、調理のプロセスを体験することで、より実践的な学びにつながる。
– レストランや宿泊施設での提供方法を、よりリアルにイメージできる。

③ 座学に加え、有名シェフによる試食会
– 料理のプロが作る高品質な食事を体験することで、「食の多様性対応=味を妥協するものではない」という認識が深まる。
– 具体的なメニューの発想や提供方法に関する新たな気づきを得ることができる。
– 高度な知識を得たい参加者にとって、さらなる学びの意欲を高める機会となる。

2. オンラインセミナーの限界 – 「知る」だけでは対応はできない

オンラインセミナーは、地理的な制約を超えて情報を共有できるという利点があります。しかし、食の多様性対応においては、「知る」だけでは不十分です。実際に料理を見たり、調理を体験したり、具体的な提供方法を学ぶことが、適切な対応につながります。

特に、観光業や飲食業の関係者にとっては、
– 「この料理はヴィーガン対応です」と言われても、見た目や味の特徴が分からない
– 「ハラール対応の調理方法」と言われても、どのように調理器具を分けるべきかイメージが湧かない
– 「食の多様性に配慮する必要がある」と言われても、具体的に何をすればいいのか分からない
といった問題が発生します。

オンラインでは、こうした実践的なスキルを身につけるのが難しく、結局「知識は得たが、実践にはつながらない」という課題が残ります。その結果、観光ガイドや飲食業者が「対応しようとしても不安」「具体的な準備ができない」という状況に陥りがちです。

3. リアル開催の強み – 実践的な学びが、即戦力につながる

リアルセミナーでは、座学・ワークショップ・試食会のいずれの形式でも、「実践的な学び」が得られることが最大のメリットです。
– 座学のみのセミナーでも、参加者同士の交流を通じて学びが深まる
– ワークショップ付きのセミナーでは、調理プロセスを体験することで理解が向上する
– 試食会付きのセミナーでは、より高度な知識と実践力が身につき、学ぶ意欲が向上する

このように、リアル開催では段階的に学びの質が高まり、実践的なスキルの習得につながります。さらに、
– 他の参加者と意見交換ができる
– 実際の対応事例を共有できる
– 新たなビジネスチャンスにつながることもある
といった、付加価値の高い交流も生まれます。

4.オンラインセミナーでは、交流もなく、実感もわかない

オンラインセミナーは情報共有の手段として有効ですが、「知る」だけでは不十分です。特に、ベジタリアン・ヴィーガン・ハラール対応のような実践的な知識は、「実際に体験すること」で初めて理解が深まります。

リアルセミナーには、座学のみでも交流の機会があり、ワークショップや試食会を取り入れることで、より高度な学びが得られる という大きな強みがあります。オンラインセミナーでは、こうした**交流の場がなく、実践的な理解が深まらないため、実際の現場での対応力が身につかないという限界があります。

食の多様性対応を本当に促進するためには、リアル開催での実践的な学びの場が不可欠です。主催者の皆様には、「リアル開催だからこそ得られる価値」を再認識し、より効果的なセミナーを企画することを強くお勧めします。