「評価できません」と言う声が続出
こんにちは。食の多様化対応に関するコンサルティングや講演を全国で行うフードダイバーシティ株式会社の守護です。
いよいよ長かったトンネルの先が見えてインバウンド経済復活の機運が高まる中、弊社にもファムトリップに関する問い合わせが増えてきました。
そもそもファムトリップとはジャパン・ワールド・リンクのHPでは下記のように定義しています。
ファムトリップとは観光地の誘致促進のため、ターゲットとする国の旅行事業者やブロガー、メディアなどに現地を視察してもらうツアーのことを指します。Familiarization Trip(ファミリアライゼーション トリップ) の略で、下見招待旅行やモニターツアーとも言われています。インバウンド向けのサービスを体験後、海外旅行事業の関係者やブログなどで外国人観光客向けに発信してもらう観光プロモーションになります。招待した外国人のそれぞれの国の目線で、実際に体験したツアーやサービスの生の声を聞くことができるところが一番のメリットです。
つまり、そこの地域にお客様を呼び込むための予行演習も兼ねているわけです。しかしながら、ファムトリップに招聘されたムスリムの方々からこのような声が上がっていることをご存知でしょうか。
旅行工程中のご飯が「インドカレー」「ケバブ」「中東料理」ばかりで、何も評価できない
ハラール対応した和食や郷土料理を提供しないで、一体何がしたいのか分からない
「精進料理」や「野菜料理」を出してくるけど味がしない。別にベジタリアンではないので肉や魚を出して欲しい
なぜこのような声が上がるのか。そこには二つの誤解があります。
誤解理由 その1
日本の多くの旅行会社は、お客様から”ハラール対応”と言われた瞬間に全ての思考が停止となり、Googleで「ハラールレストラン」と検索をします。そうすると「インドカレー」「ケバブ」「中東料理」といった情報が出てきて「ハラール対応は、インドカレーなどのことを指すのか」という理解をしてしまいます。こうなると、誤解尽くしの旅行工程が組まれてしまいます。
誤解理由 その2
中には「せっかく日本に来るので和食を食べて欲しい」と考える旅行会社も出てきます。そこでハラールを勉強すると「豚」「アルコール」「ハラールでないお肉」がNGであることが分かってきます。しかしそれがうまく飲食店に伝えることができません。「豚」と「アルコール」は伝わりますが、「ハラールでないお肉」がうまく伝わりません。困った旅行会社は手持ちのカードを見て「あ、精進料理なら肉使ってないからイケる!」と判断して、精進料理をオーダーします。今一度冷静に考えるべきは、日本人ですら「精進料理」を年に何回食べるか、そして日本人ですら精進料理の評価は難しいことです。
つまり本音は下記の通りです。
旅行工程中のご飯が「インドカレー」「ケバブ」「中東料理」ばかりで、何も評価できない
→母国で普通に食べているものを日本で食べて、何を評価するの?
ハラール対応した和食や郷土料理を提供しないで、一体何がしたいのか分からない
→母国で普通に食べているものを日本で食べて、一体何の情報発信をすればいいの?
「精進料理」や「野菜料理」を出してくるけど味がしない。別にベジタリアンではないので肉や魚を出して欲しい
→日本人ですらほとんど食べない料理を提供して、何のコメントを期待してるんですか?期待している料理はそこじゃない。
これはイタリアにファムトリップで招待された日本の旅行会社が、和食やイタリア人も普段全く食べないイタリア料理を提供されているようなものです。せっかくコストをしっかりとかけて行うファムトリップなので、これだと望む成果は生まれなければ、適切なフィードバックもいただけません。
観光庁の発表で食の消費額は旅行消費額の21.9%を占めます。そして世界人口の約1/4を占めるのもムスリムです。今一度ムスリムの受け入れ環境整備について、しっかりと考えていく必要性があると考えております。
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