日本古来の文化が産んだ鋭敏な感性の集合

日本国内には様々な美術館がそれぞれのテーマと魅力を持って現存しています。今回御紹介させて頂く岡山の「林原美術館」は刀剣、武具、絵画、書跡、能装束、蒔絵といった日本古来の文化が産んだ品々を中心に展示する美術館となります。館内の隅々にまで展開されている、時に異様な輝きをも放つ展示品にみなぎる資料価値の著しい高さ、そして一貫する鋭敏な美術的感性には、日本の古い文化にあまり馴染みがなくとも、自然と惹き込まれてしまうことでしょう。

※新型コロナウイルス感染拡大防止対策に関する各施設のガイドラインや、営業時間等の変更がなされているところもありますので、ご注意ください。

現代とは全く違う時代の空気が克明に伝わる

実業家の故林原一郎氏が集めた東アジア地域の絵画や工芸品、そして旧岡山藩主池田家から引き継いだ大名調度品を中心として形成されている林原美術館。あらゆる領域において充実する展示の中でも、大きなメインとなるのは戦国時代の当時から今に至るまで生き残った池田家の刀剣や武具です。大切に守られてきた展示品のひとつひとつが、現代とは全く違う時代が日本で本当に流れていたのだという事実を克明に伝えています。

能や狂言にまつわる展示品も大きな存在

池田家に由来する展示品でもうひとつ大きなトピックとして注目されているのが、能装束、狂言装束といった能や狂言にまつわる品々です。能や狂言を行う際に用いられる装束はとても麗しく、きめ細かく飾り立てられており、現代から見直しても非常に独特な美への探究心を感じさせる貴重なものです。こういった能や狂言にまつわる展示品に特化した特別展も行われるなど、美術館全体の鍵となる展示となっています。

超高精細画像での閲覧も可能。貴重かつリアルな展示

この他の展示品も素晴らしく、例えば越前松平家から伝来した「平家物語絵巻」は、国内で唯一完本の状態で保存されている究極的に貴重なもの。この絵巻や漢文の世界地図として古代に機能した「坤輿万国全図」などの展示は超高精細画像をタブレットで閲覧することも可能です。通常のガラス越しでの展示では観測できないような細部まで、タブレットに表示されている超高精細画像を拡大して見つめると、現代から遠く離れた古い時代における文化の形がはっきりと伝わってきます。貴重かつリアルな展示に満ち溢れた林原美術館は、まさに日本的感性を生き生きと映し出す宝庫なのです。

「林原美術館」基本情報

住所 岡山県岡山市丸の内2-7-15
電話番号 086-223-1733
入場料 一般 300円 高校生 200円 中学生以下 無料
(企画展の場合。特別展の場合は随時異なる)
営業時間 9:00−17:00(入館受付は16:30まで)
休館日 月曜日(月曜祝日の場合は翌日)、年末年始
ホームページ http://www.hayashibara-museumofart.jp

交通アクセス

※以下のリンクをご参照ください

交通アクセス|林原美術館
http://www.hayashibara-museumofart.jp/data/guide/