「言われたら対応する」「要望があれば対応する」だと全逃し?

こんにちは。食の多様化対応を支援しておりますフードダイバーシティ株式会社の守護です。

2021年度は当社フードダイバーシティ株式会社では大変ありがたいことに、合計146本の講演、及び社内研修をさせて頂きました。その講演及び社内研修の中で、多くの方に一番頷いていただける部分があります。それは「団体獲得」についてです。ありがたいことにアンケートなどでもここに触れていただけるケースは本当に多くあります。

本日はこちらについて詳細をご紹介いたします。

重要な団体獲得のためにやるべきことは?

まず下記図をご覧くださいませ。これは名古屋にある味噌煮込みうどんの老舗・大久手山本屋さんのある日の予約表です。大久手山本屋さんはハラール対応やヴィーガン対応にも積極的に取り組むお店で、この分野で実績をしっかりと出されています。もちろん一般日本人のお客様にもとても人気のあるお店です。

大久手山本屋、とある日の予約表

上から一行目は「16名様のうち1名様がヴィーガン」、三行目は「8名様のうち2名様がムスリム」、四行目は「4名様のうち2名様がヴィーガン」、四行目は「2名様のうち1名様がムスリム」となっています。

ご覧いただけるように「全員がムスリム」もしくは「全員がベジタリアン(ヴィーガン)」というケースはそこまで多くなく「団体の中に1人・2人混ざっている」ケースがほとんどだったりします。

要するに、これは「団体の中にフードダイバーシテに関する対象者が1名様でもいたら、その団体がしっかりと獲得できる」ということです。もちろん逆も然りで「対応していなかったら、その団体ごと丸っとを逃す」ということも言えます。

赤い矢印の方がヴィーガン

赤い矢印の方がムスリム

あなたが旅行会社ならどこを選びますか?

なぜ団体に選ばれるのか、実は旅行会社の立場になってみるとよく分かります。

もし皆様が旅行会社で、MICEなどの団体を手配する立場になったとします。例えば、「全体で30名様で、そのうちムスリムが3名、ヴィーガンが2名、オリエンタル(ベジタリアン)が1名」の団体があったとして、これから皆様(旅行会社)はお店を手配しないといけません。さて、下記図をご覧いただき、A、B、Cのお店、どこから最初に声をかけていくでしょうか?

旅行会社としても特別なオーダーなりをすると色々リスクが出てくるので、あまりにも特殊な要望がない限り、通常の旅行会社であれば「C→B→A」の順番でお声がけをしていくと思います。この場合、大抵Cのお店で決まってしまうことが多く、「予約があれば対応可能」や「要望があれば対応可能」というお店には声すらかからないケースがほとんどで、団体を逃していることには気づくこともできません。

もちろんこれは団体に限らず、個人旅行でも同様で、ムスリムやベジタリアンである場合はCのお店から選んでいきます。また旅行会社に限らず、例えば友人と食事にいく時でも同様で、大久手山本屋さんでも大学のゼミで「ムスリムの学生がいるからみんなで食べられるお店」ということで、選ばれるケースがとても多いようです。

大久手山本屋さんはグランドメニューとして対応していて、且つ旅行会社や個人のお客様に対して「どこまでのレベルで対応しているのか」についてもしっかりと情報を出していますので、それはお店を選ぶ側としては大きな安心材料になります。当たり前ですが、旅行会社などの選ぶ側はリスクを取りたくないので、事前に情報をしっかりと提供してくれるお店を優先的に選んでいきます。

大久手山本屋が提示しているムスリムフレンドリー&ヴィーガンポリシー

対応メニューのあるお店が団体を総取りする

以上が、フードダイバーシティに取り組んでいる、これから取り組もうとする自治体、行政、企業様に講演や研修で一番頷いていただけるポイントでした。本記事が役立って、全国で「対応メニューがあります」というお店や宿泊施設が増えていくことを心より望みます。