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著者:横山 真也

外国人観光客の本音「日本に行きたい」

日本政府が5月、実証実験として4カ国からの外国人観光客を受け入れ、さらに6月10日から幅広い国々からの観光客を受け入れると発表しました。その中、「日本の入国緩和措置が厳しすぎる」や「(外国人受け入れの)対応が遅い」などとSNSで、外国人の間に話題になりました。

着物素材のヒジャーブを付けて京都を楽しむ外国人観光客

ヨーロッパや東南アジアなどの国々が、今年に入って新規入国が緩和され、外国人観光客を受け入れる体制に入りました。その結果、景気や国民の日常生活が戻りつつありそうです。その国々と比べると、日本では入国緩和のプロセスが比較的に遅く、厳しい条件も適用されています。

歴史と関係する?

「鎖国」は授業などでよく聞く言葉です。鎖国とは諸外国との関わりを制限した国際的に孤立することを指します。 日本は17世紀から19世紀の約200年間に渡って鎖国を続けました。 当時は日本の封建制度を維持するために、異教を排除する必要があると考えられていたからです。

そして21世紀。 日本はコロナ鎖国とも揶揄されるほど、自ら国際的な孤立を続けています。 日本におけるコロナでの死亡者数は米国における単月のそれよりも下回っているにもかかわらずです。 コロナ対策で先進国では抜きん出た結果を出していても、まだ不安だと言うのです。なぜでしょうか。

実は日本の歴史が影響しています。

外国人観光客に人気の高い小樽(北海道)

日本にキリスト教が伝えられたのは16世紀中盤で、その後17世紀にかけて各地に広まりました。当時日本では仏教以外の宗教も認められていましたが、遠いヨーロッパから伝えられ急速に広まったキリスト教は異教として扱われたのでした。 霊的なものに神秘性を見出す日本人は、日常にはない「異」を極端に恐れる性質があります。日本は大和民族が国民の大半を占め、総じて均質的だからです。その結果、日本人は世界で最もハイコンテクストな国民であると言われています。 自分たちとは異なる何か、日常とは異なる変化、異なる価値観、異なる宗教。

世界ではダイバーシティと捉えられることが、日本では違和感をもって受け入れられるのです。 これには諸説ありますが、日本は島国であるということが大きく影響していると考えられます。大陸にある国々は常に隣国からの侵略に影響されるため、異について敏感です。

一方で日本は大陸から離れた島国であるため、隣国からの恐怖を感じることは少なかった。それゆえ20世紀中盤まで他国から攻撃されることなく、豊かな風土が培われたのです。

日本政府は6月から徐々に国境を再開放すると発表しました。これはいわばコロナ鎖国の終わりの始まりと言えるものです。 海外からの旅行者は待ちわびたVisit Japanが再び始まると期待していますが、日本はパンデミック前とそう変化していないでしょう。変わらなければならないのに、です。

変化しているとすれば、日本はバーゲン状態にあるということ。パンデミック前より円は米ドルで20%以上下落しています。日本が誇る食事やホスピタリティ、家電製品など、品質は変わらず、外貨で買うのに絶好の機会です。当の日本は異という違和感を抱きながらですが、インバウンドはこれから再び大ブームになるでしょう。