グローバルビジネスシーンで存在感を増すインド

食の多様化を支援するフードダイバーシティ株式会社の守護です。

数十年にわたり、インド人はテクノロジー分野での世界的に非常に重要な役割を果たしてきました。

米国のFortune誌が年1回発行する全米上位500社がその総収入に基づきランキングされるFortune 500企業、そのCEOの30%はインド出身、さらに2015年の統計によるとシリコンバレーのエンジニアも3分の1がインド出身です。世界のハイテクビジネス企業においては、インド出身のCEOが10%が占めています。インド出身の人材は国際的なビジネスシーンで重要な役割を果たし、その影響力は昨今科学、芸術、スポーツなどにもますます拡大しています。

さらに国連人口基金(UNFPA)の「世界人口白書2023」によると、これまで1位だった中国をインドが抜いて世界一位の座についたこともあり、今後大きく経済成長を遂げていく事が予想されています。

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インドは世界でも最もベジタリアンが多い国

そして、インドは上記のグラフからも分かる通り、世界で最もベジタリアンが多い国でもあります。日本としても、世界トップクラスの企業と今後ビジネスで関係を築いていく際や、自社でインド出身の人材を雇用するなどの際に、食事の配慮をしっかりと対応していく必要があります。

実際、弊社フードダイバーシティ株式会社にも「来日する企業の社長がインド人で、ベジタリアンだと言っている。接待にはどういうお店を選ぶべきでしょうか」という問い合わせは非常に多いです。また、日本の企業がインド人を雇用する際にも「社員食堂、周辺のレストランにベジタリアン対応のお店はありますか」と聞かれることは多いですが、情報を含めてそれにしっかりと対応できている企業は日本で数えるほどしかありません。

特にエンジニアで来日する方々の中には日本語ができない人も一定数いて、さらに多くは家族で日本に滞在しているので、食をはじめとする学校や病院などの生活のセーフティネットとなる場所について不安を感じる方が多くいます。

そして、日本人の多くが「ベジタリアン=サラダを食べる人」と認識しているので、食事の場でインド人と適切なコミュニケーションができていないケースがとても多くあります。食事はビジネスシーンでもお互いの距離を縮めるために非常に重要な機会ですので、然るべき知識を正しく身につけ、適切な準備を行う必要性があります。

日本が今後国際社会でグローバル企業としっかり関係を築いていけるか、それには食が非常に大きな要素になることは間違いありません。

著者

守護 彰浩(しゅご あきひろ)
フードダイバーシティ株式会社 代表取締役
流通経済大学非常勤講師

1983年石川県生まれ。千葉大学卒業。2006年に世界一周を経験後、2007年楽天株式会社に入社し、食品分野を中心に様々な新規事業の立ち上げに関わる。2014年、多様な食文化に対応するレストラン情報を発信する「HALAL MEDIA JAPAN」を立ち上げ、フードダイバーシティ株式会社を創業。ハラールにおける国内最大級のトレードショー「HALAL EXPO JAPAN」を4年連続で開催し、国内外の事業者、及びムスリムを2万人以上動員。さらに2017年からはハラールだけでなく、ベジタリアン、ヴィーガン、コーシャ、グルテンフリー、アレルギーなどに事業領域を広げ、全国自治体・行政と連携しながら普及のための講演活動、及び集客のための情報発信を行う。2020年には総理大臣官邸で開催された観光戦略実行推進会議にて、菅総理大臣に食分野における政策を直接提言した。著書に「開国のイノベーション」(株式会社スリースパイス)。

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