ジョージナカシマの名作群が、新たな世界を教えてくれる

今回は香川の美術館「ジョージナカシマ記念館」についてご紹介していきます。アメリカの最有力家具デザイナー・建築家であるジョージ氏の人生の歩み、そして彼が世に示した様々な名作たちを網羅したこの美術館は、彼の生き方、ものづくりに対する考え方、その哲学を深く教えてくれる特別な記念館となっています。
アメリカ、ニューホープの工房以外でジョージ氏の作品を鑑賞できる数少ない場所として、とても貴重なスポットである当館。香川という町から日本、ひいては世界に、ジョージ氏の力強い発想力と熱意を伝え続けています。

※新型コロナウイルス感染拡大防止対策に関する各施設のガイドラインや、営業時間等の変更がなされているところもありますので、ご注意ください。

ジョージナカシマとはどんな人?ー20世紀を代表するデザイナー

では、ジョージ氏とはどのような人物なのかをまとめてみましょう。ジョージ氏は1905年に出生、大学にて建築学を専攻し世界各国を巡り、軽井沢聖パウロカトリック教会の設計など様々な建築の現場に滞在します。太平洋戦争の際に家族と共に日系人強制収容に遭いますが、ここで日系二世の大工と知り合い、基本的な木工技術や木についての知識を教わります。
その後1944年からペンシルベニア州バックス郡で家のガレージを工房とし、家具作りを本格的に始動。独自の一貫生産を実践し、素材の美しさを限界まで研ぎ澄まし「素材としての木に第二の人生を与える」という唯一無二のデザインを示しました。その類稀なる感性と功績は世界を見事に唸らせ、20世紀を代表する家具デザイナーの一人に数えられています。
当時の香川県知事・金子正則氏が画家・猪熊弦一郎氏に相談し、県庁舎設計を建築家・丹下健三氏に依頼、そこから彫刻家・流政之氏がその県庁舎を取材に来県。1964年に流氏がジョージ氏を香川にプッシュし、当時流氏の提唱した「讃岐民具連」のメンバーで、県の仕事にも携わっていた桜製作所の技術にジョージ氏は感銘を受けます。そこから最終的にこのようなミュージアムが完成するまでに至りました。

木の美しさが生々しく示された作品群

当館にはジョージ氏の多種多様な作品が並んでいますが、まず代表作品として押さえられているのが「コノイドチェア」。生々しい木の質感が生かされた外見、背中に安らぎを与えるような座り心地がとても印象的な一作です。「コノイド(Conoid)」とは、円錐、円錐曲体を意味する英語で、家具の中に建築のメソッドを大々的に取り入れるという斬新さを示したことが重要なポイント。見ているだけでとても面白い世界です。
他にもテーブル類の展示を見てみると木材の皮目や割れ、節の部分がプラスに使われているものも多く、目先の綺麗さを取り繕わず、木の美しさそのものを研ぎ澄ませる感性に感じ入ってしまいます。

繊細なアイデアも技術も情熱もここに凝縮。実に深みある記念館

1階にあるカフェでは、ジョージ氏がデザインした椅子に座ることができます。実際に座ってみると、一つ一つの家具に込められた気品と丁寧さが伝わってくるもの。工房を訪れた建築界の実力者たちや各界の著名人たちのサインも飾られており、その歴史と人脈の深みが一目で分かります。
また、このカフェでは家具購入の相談も可能。木材の選定から始めて数ヶ月かけて作られるジョージ氏ゆかりの家具、この記念館で惚れ込んだ方には是非ともチェックして頂きたいところです。
簡単には思いつかないユニークな発想、それを完璧に実現させる技術と情熱。この記念館にある様々な作品たちは、一切文句のつけようがない独自の世界を持っています。普段建築関係、家具の世界を意識する機会があまりない、という方にこそ、このスポットが大いにお勧めです!

「ジョージナカシマ記念館」基本情報

住所 香川県高松市牟礼町大町1132-1
電話番号 087-870-1020
入場料 一般 ¥550
小中学生 ¥220
営業時間 10:00~17:00(入場は16:30まで)
休館日 日曜、祝祭日、年末年始、夏季休暇
ホームページ https://www.sakurashop.co.jp/memorial_hall/

交通アクセス

※以下のリンクをご参照ください

交通アクセス|ジョージナカシマ記念館
https://www.sakurashop.co.jp/memorial_hall/access.html