欧州「ヴィーガン×うどん」の最新情報

こんにちは、フードダイバーシティ株式会社の守護です。弊社はヴィーガン・プラントベース分野にて講演、プロモーション、商品プロデュース等を支援しております。

今回、2021年7月のコロナ禍にロンドン第1号店をOPENした「Marugame Udon」に行ってまいりました。2023年3月現在で既に10店舗がOPENしており、2025年にはヨーロッパ全体で100店舗まで拡大していく予定とのことですが、ヨーロッパでニーズの高まっているヴィーガンメニューについてはどのように提供しているのでしょうか。

本記事にてご紹介したいと思います。

Saint Christopher’s Place 外観

どのようなメニューを提供?

いわゆる日本と同じく麺を注文し、天ぷらやサイドメニューをとって会計するシステムです。メインのうどんが10種類のうち4種類にヴィーガンオプションがあり、かけうどん小サイズは4.95ポンド(1ポンド=165円計算で817円)と日本の倍以上です。

メニュー

メニュー

「かけうどん」「釜揚げうどん」「キムチうどん」にそれぞれヴィーガンオプションがあることが分かります。早速かけうどんのヴィーガン出汁を注文してみました。まず、米ロサンゼルスの「Marugame Udon」では出汁が白濁していましたが、ロンドンでは普通のうどん出汁に見えます。

食べてみると出汁はいわゆる精進出汁で、昆布や椎茸がベースとなっています。旨味もしっかりと出ていて大変おいしいです。もちろん、普通の出汁も知っている一般日本人であれば「日本人が食べ慣れているうどん」とは味が違うので若干違和感を感じるかもしれません。

ただ、相手にするお客様の多くは「日本の一般的なうどんを日常的に食べ慣れている人」でもなければ、ベジタリアンやヴィーガンの方に関しては「そもそものいりこ出汁の味を知らない人(且つ、求めてもいない人)」であることを忘れてはいけません。一般日本人がイギリスの代表メニューであるフィッシュ&チップスの「伝統的な味」を知らないことと同じです。

比較対象を持っている人は「違和感=美味しくない」と評価することが多いですが、普通に「もう一つの選択肢」として捉えるととても美味しい味だと私は感じました。

ヴィーガン出汁のかけうどん

続いて「カレーうどん」に関してはヴィーガンがベースとなっていることが分かります。これはもう本当に美味しい普通のカレーうどんで、普通のカレーうどんを知っている一般日本人にとっても違和感は全くありません。

お店の方に聞いてみても「ヴィーガン関係なく普通にカレーうどんとして食べている」とのことでした。カレーは動物性原材料がなくても違和感(一般客に対して)が出ない食材だと改めて実感致します。

ヴィーガンカレーうどん

工夫点

またオペレーションについても、まずトングの色が分かれていることが注目です。緑色のトングは野菜のみ、黄色のトングはお肉のみということでした。さらに揚げ物を行うフライヤーについは「野菜専用」と「その他」で分かれているとのことでした。また天ぷらにおいてもヴィーガンとわかるように「葉っぱのマーク」が付いています。

ちなみに本記事とは主旨は異なりますが、ロンドンはムスリムの方も多いので鶏肉はHalalのものを基本使用しているとのことです。

野菜を掴むトングは緑色

肉や魚を掴むトングは黄色

こんなメニューも?

ヴィーガン?たこ焼き?天ぷら?と一般日本人は驚くかもしれませんが、ヴィーガンのたこ焼きで「Vegoyaki」とのことで、揚げてもいます。お店としても店頭でアピールするほど力を入れているメニューとのことでした。

以上となります。

今回はMarugame Udon様の素晴らしい取り組みを紹介させて頂きました。これはインバウンド対策としても非常に有効な取り組みだと思いますので、既にヴィーガン対応に取り組んでいる、これから取り組もうとする企業様にとって有益な情報になっていたらとても嬉しく思います。

著者

守護 彰浩(しゅご あきひろ)
フードダイバーシティ株式会社 代表取締役
流通経済大学非常勤講師

1983年石川県生まれ。千葉大学卒業。2006年に世界一周を経験後、2007年楽天株式会社に入社し、食品分野を中心に様々な新規事業の立ち上げに関わる。2014年、多様な食文化に対応するレストラン情報を発信する「HALAL MEDIA JAPAN」を立ち上げ、フードダイバーシティ株式会社を創業。ハラールにおける国内最大級のトレードショー「HALAL EXPO JAPAN」を4年連続で開催し、国内外の事業者、及びムスリムを2万人以上動員。さらに2017年からはハラールだけでなく、ベジタリアン、ヴィーガン、コーシャ、グルテンフリー、アレルギーなどに事業領域を広げ、全国自治体・行政と連携しながら普及のための講演活動、及び集客のための情報発信を行う。2020年には総理大臣官邸で開催された観光戦略実行推進会議にて、菅総理大臣に食分野における政策を直接提言した。著書に「開国のイノベーション」(株式会社スリースパイス)。

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