コロナ後のアメリカ最新レポート
こんにちは。食の多様化対応を支援しておりますフードダイバーシティ株式会社の守護です。
新型コロナウイルス感染症が蔓延して約3年以上が経過し、世界を取り巻く食環境についても大きな変化がありました。今回は世界でも有数の物価高の都市で、世界を代表するIT企業も多いサンフランシスコの市場を見てきました。
本記事はデータなどもひと通り目を通していますが、私が現場で見たもの・感じたものを中心に書いていきたいと思います。
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ロサンゼルスにおけるヴィーガン等フードダイバーシティレポート(2022年8月)
日系レストラン
Jikasei MENSHO
Twitter本社と同じビルに入っていて、社員も非常に多く利用するというJikasei MENSHOでは「ヴィーガン坦々麺」が看板メニューです。濃厚な坦々スープとモチモチの自家製麺は抜群の相性で、丁寧にローストされたナストッピングも非常に美味しく、完成度がとても高いラーメンでした。また、普通のラーメンであってもお肉のチャーシューか、ナスか選べるようになっています。このようにベジタリアンやヴィーガンの方でなくても「今日はちょっとお肉を減らしておこう」というオプションも今後重要になってくると考えています。
Hinodeya Ramen Bar
Hinodeya Ramen Barはサンフランシスコで複数店舗展開するラーメン屋です。こちらでもヴィーガンラーメンは2種類「CREAMY」「ZEN」あり、メニューでも上部と目立つ場所にあります。おすすめを聞くと「CREAMY」でした。大胆に盛られた厚揚げと野菜が丼を覆い隠していますが、キノコ出汁がしっかりと効いていてUMAMIはたっぷり、胡麻と豆乳で作られたスープは非常に完成度が高く、特製の中太麺によく合います。店員さんに聞くと「ヴィーガンラーメンの売り上げは年々大きくなっている」とのことで、今後も注力していくとのことでした。
現地レストラン
SHIZEN vegan sushi bar & izakaya
Happy Cowが選ぶVegan Friendly Restaurants in San Franciscoで1位のShizen Vegan Sushi Barは、寿司と居酒屋メニューが混在するお店で、伝統的な精進料理の技法と旬の食材を組み合わせたお店です。野菜の握りが2貫で8ドル(1040円 ※1ドル130円計算)と決して安くはないですが、予約も非常に取りづらく、来店時も常に満席の状態でした。店員さん聞くと「Twitter社など世界的なIT企業も近くにあり、従業員やクライアントにもベジタリアン・ヴィーガンがとても多いので、接待なども含めてよくご来店される」とのことでした。また「サンフランシスコにおいて、日本食は安いことが価値にはならない」とのお話をされていたことも印象的でした。実際に食べてみるも、味のクオリティは非常に高く、とてもおいしく満足度高く頂きました。また、日本酒では世界初のヴィーガン認証を取得した南部美人の梅酒も販売されていました。
Wildseed
Happy Cowが選ぶVegan Friendly Restaurants in San Franciscoで2位のWildseedは、気候変動などの課題を掲げ、体にも環境にもいい食べ物をテーマに運営するレストランで、サンフランシスコとスタンフォード大学の目の前パルアルトにあります。おすすめを聞くと「ピザを食べた方がいい」とのことで食べてみると、やはり非常に高いクオリティでヴィーガンだと全く分からないレベルでした。また、FAQページで「プラントベースの食事は健康に良いですか?」「植物ベースの食事で十分なタンパク質を摂取できますか?」なりの質問に答えていて、ベジタリアン・ヴィーガン初心者やこれから考えていきたいという人への情報提供もしっかりと行っていました。
その他
GOTT’S
サンフランシスコを中心に複数店舗展開するハンバーガー屋「GOTT’S」では、ベジパティ (乳製品を含む) を無料で、Impossibleパティ (ヴィーガン&グルテンフリー)を4ドルで、グルテンフリーのバンズは1ドルで変更可能というサービスを行っていました。特にヴィーガンオプションに4ドルは、正直お店の売り上げとしてもかなり嬉しいのではないでしょうか。
またお肉については「Vegetarian FED」、魚は養殖ではないもの、パンは地元産をしっかり表記されています。
Chase Center(ゴールデンステイト・ウォリアーズの本拠地)
NBAゴールデンステイト・ウォリアーズの本拠地Chase Centerでも、ヴィーガン専門のお店「The Green House」が入っていたり、それぞれのメニューにベジタリアン・ヴィーガン・グルテンフリー表記がしっかりとされていました。
振り返って
サンフランシスコ、とにかく物価が非常に高かったです(ラーメンと餃子で4000円超えなど)。
世界的なIT企業の多くがリモートワーク中心になったことや、昨今の一斉解雇でサンフランシスコやシリコンバレーを離れる人も多かったようですが、家賃などはほとんど変わっていないということで、経済はまだまだ安定している印象でした。
また、現地で食関係の仕事をしている人から「①世界的な企業が多いのでコロナ前からESGには非常に関心は高かったですが、コロナ後に大きく加速した。②ITエンジニアの多くがインド人であること。この2点が理由で、ベジタリアン・ヴィーガンメニューなしでサンフランシスコの飲食店が成り立たなくなっている」という話を聞くことができました。さらにお肉や魚についても、今後選ばれるには「理由」が必要になっていくであろうことも感じました。
いよいよ様々な制限が撤廃し、世界に渡ることができるようになりました。現場の一次情報に拘って、2023年は世界の市場を見ていきたいと思います。
長文、乱文でしたが、最後までご覧いただきまして誠にありがとうございました。
著者
守護 彰浩(しゅご あきひろ)
フードダイバーシティ株式会社 代表取締役
流通経済大学非常勤講師
1983年石川県生まれ。千葉大学卒業。2006年に世界一周を経験後、2007年楽天株式会社に入社し、食品分野を中心に様々な新規事業の立ち上げに関わる。2014年、多様な食文化に対応するレストラン情報を発信する「HALAL MEDIA JAPAN」を立ち上げ、フードダイバーシティ株式会社を創業。ハラールにおける国内最大級のトレードショー「HALAL EXPO JAPAN」を4年連続で開催し、国内外の事業者、及びムスリムを2万人以上動員。さらに2017年からはハラールだけでなく、ベジタリアン、ヴィーガン、コーシャ、グルテンフリー、アレルギーなどに事業領域を広げ、全国自治体・行政と連携しながら普及のための講演活動、及び集客のための情報発信を行う。2020年には総理大臣官邸で開催された観光戦略実行推進会議にて、菅総理大臣に食分野における政策を直接提言した。著書に「開国のイノベーション」(株式会社スリースパイス)。
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