2023年のベジタリアン・ヴィーガン・プラントベース市場を予測
こんにちは、フードダイバーシティ株式会社の守護です。弊社はベジタリアン・ヴィーガン・プラントベースをテーマにセミナー、メディア、コンサルティング、商品開発事業を展開しております。
2020年のコロナ突入を皮切りに、世界的に「代替肉」や「ベジタリアン・ヴィーガン」需要が急成長を遂げています。
今回は弊社が考える「2023年のベジタリアン・ヴィーガン・プラントベース市場予測」というテーマで5つの予測をまとめました。
1.スターバックスの事例に、多くの企業が追随する
2022年6月から始まったスターバックスの「プラントベース表記」ですが、こちらの事例に追随する企業が急増すると予測しています。これまで多くの企業が「大豆ミートの〇〇」であったり、「ヴィーガン〇〇」などという商品名をつけてPRしていましたが、逆に一般顧客に「これは自分が食べるものではない」と思わせてしまうケースが多くありました。しかし、スターバックスがこの課題をプラントベース表記を小さく入れることで解決し「一般顧客に違和感のない販売方法」で一定の成果を上げていることから、今後このようなやり方が増えていくと予想しています。
2.アレルギーとの関連性に多くの企業が気づく
ヴィーガンのお客様に向けて作った商品が、乳や卵アレルギーの方や、そのご家族に選ばれるケースがとても増えています。例えば、下記は音楽プロデューサーつんくさんのツイッターですが、「#10歳の次女がアレルギーなんで家族みんなで食べられる」というハッシュタグをつけて投稿されています。ヴィーガンは卵や乳を使用しないため、卵アレルギーと乳アレルギーとの親和性が非常に高く、それを理由に購入する方々が増えてきました。今後、それを意識して商品づくりを進める企業が増えていくと想定しています。
日本から持ち帰ったビーガンチーズでのスペシャルグラタン出来たよー!#10歳の次女がアレルギーなんで家族みんなで食べられる pic.twitter.com/PgTPUNiKf5
— つんく♂ (@tsunkuboy) February 12, 2022
3.G7後に大きく加速する
2023年はG7で各国の首脳が来日しますが、そこでは「ウクライナ問題」「世界経済対策」「気候変動」などの重要トピックが議論される予定になっております。特に気候変動の部分で必ず議論となるのは「食肉」の部分となり、2019年の小泉進次郎前環境大臣の件(詳細はこちら)もあって、各国の首脳も人目のある場所でお肉を食べないなどの行動をとることが予測されています。日本としてこの課題にどういう姿勢で向き合うのか、世界から多くの注目が集まっていますが、これらの動きを感じ取って多くの日本企業が動いてくると想定しています。
4.プロのシェフがさらに参戦し、味の勝負になってくる
2022年は世界中でも多くの著名レストランが次々にプラントベース市場に参入を決めていて、日本でも世界を代表するパティシエ辻口氏も動きました。また、ロサンゼルスのミシュランレストラン「Orsa & Winston」を営むJosef氏は、看板メニューで使用するチーズをヴィーガン仕様に変更し、海外メディアの取材に対して「お客様がヴィーガンか、フレキシタリアンかに関係なく、より多くの選択肢を提供していきたい」と語っています。
プロのシェフが多く参戦することで市場全体が「味の勝負」になってくると予測しています。
5.インバウンドが本格的に再開し、需要が一気に拡大する
2023年は本格的にインバウンド経済が復活する見込みです。日本人にも多く増えたベジタリアンやヴィーガンの方ですが、日本のベジタリアン・ヴィーガン料理を待ちかねて来日する海外のお客様の需要はやはり大きく、Happy Cow登録店を中心に一気に売上を伸ばしていくことが予想されます。また、世界の飲食店では予約なしでも注文できる「ヴィーガンオプション」が一般的になったことから、「(旅行代理店などからの)事前予約があれば対応できます」というお店はあまり成果が出せないと想定しています。
この記事のまとめ「2023年の市場予測」
- ①スターバックスの事例に、多くの企業が追随する
- ②アレルギーとの関連性に多くの企業が気づく
- ③G7後に大きく加速する
- ④プロのシェフがさらに参戦し、味の勝負になってくる
- ⑤インバウンドが本格的に再開し、需要が一気に拡大する
著者
守護 彰浩(しゅご あきひろ)
フードダイバーシティ株式会社 代表取締役
流通経済大学非常勤講師
1983年石川県生まれ。千葉大学卒業。2006年に世界一周を経験後、2007年楽天株式会社に入社し、食品分野を中心に様々な新規事業の立ち上げに関わる。2014年、多様な食文化に対応するレストラン情報を発信する「HALAL MEDIA JAPAN」を立ち上げ、フードダイバーシティ株式会社を創業。ハラールにおける国内最大級のトレードショー「HALAL EXPO JAPAN」を4年連続で開催し、国内外の事業者、及びムスリムを2万人以上動員。さらに2017年からはハラールだけでなく、ベジタリアン、ヴィーガン、コーシャ、グルテンフリー、アレルギーなどに事業領域を広げ、全国自治体・行政と連携しながら普及のための講演活動、及び集客のための情報発信を行う。2020年には総理大臣官邸で開催された観光戦略実行推進会議にて、菅総理大臣に食分野における政策を直接提言した。著書に「開国のイノベーション」(株式会社スリースパイス)。
お問い合わせ
info@food-diversity.co.jp