正しく使いたい「ヴィーガン」と「プラントベース」という言葉

こんにちは。食の多様化対応を支援しております、フードダイバーシティ株式会社の守護です。

最近は様々な企業様から「ヴィーガンとプラントベース、どちらを使うべきですか?」というお問い合わせをいただくことが増えてきました。
結論、当社としては「会社の戦略によります」というお話をさせていただきますが、今回はその詳細について深堀りをしていきます。

そもそもの言葉の意味は?

まずはヴィーガンとプラントベース、それぞれの言葉の定義を解説していきます。

ヴィーガンとは

”完全菜食主義”を意味するヴィーガン(ビーガン)という言葉が生まれたのは1944年のイギリス。ヴィーガンは「完全菜食主義者」の名の通り、肉・魚・卵・乳製品・はちみつなどの動物性食品を食べない人のことを指します。ここで重要なのはその方々は健康、宗教、主義、思想等、その他何かしらの考えがあって、ヴィーガンというライフスタイルを選んでいるという点です。つまりヴィーガンは食習慣だけでなく、そこに至るまでの「考え方」も含んだ言葉なのです。

プラントベースとは

プラントベースは単純にそのモノが植物性であるという、スペック(仕様)のみを示しており、それ以上の意味を持ちません。そこに思想や主義といったものは内包しない、中立な言葉と言えるでしょう。

ただし、一部世界ではプラントベースについて、「乳や卵は含むか」という議論がなされていますが、基本的には「含まない」という考えが大半のようです。また「Plant based diet」と「Plant based food」についても人々の間で見解が若干異なるので、詳しく知りたい方は当社までお問い合わせください。

「ヴィーガン」という言葉の使い方が議論を生んだ事例(オイシックス様)

野菜をはじめとした食品の通信販売を行うオイシックス様が「時々ヴィーガンでカラダリセット」と謳ったことで、多くの議論を生んだ事例がありました。「ヴィーガン」という言葉の意味や定義に加え、「考え方」に対しての理解が足りないのでは、という点が一番の論点となりました。「ヴィーガン」という言葉を使う上では、今回起きたような議論を招いたり、指摘・批判を受けたりするリスクが存在しているのですね。

 

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最近の日本での事例は?

大手企業様の多くは、上記でオイシックス様が受けたような批判を避けるべく「プラントベース」という言葉を主に使っていることが分かります。さらに各社へ「この商品はヴィーガンでしょうか」と問い合わせをしても、「動物性の原材料は不使用です」との回答しか得られません。

やはり、「ヴィーガン」という言葉を使うことに対しては慎重な姿勢を見せているようです。

海外の事例は?

ビヨンドミート、インポッシブルミート、ジャストエッグなど、世界を代表する商品でも同様に、「Plant Based」や「Made from Plants」といった言葉が用いられていることが分かります。
調べてみると、海外でも「ヴィーガン」という言葉を使うことについて、同様の論争が起きていたようです。

どのように言葉を選ぶべきか

「ヴィーガンとプラントベース、どちらの言葉を使うべきか」というご質問に対して、当社の回答は以下の通りです。

・会社として「ヴィーガン」という健康・宗教・主義や思想等、いずれかの考え方に賛同し、それらの主義や思想を持つ方々に対してビジネスを行う場合は、「ヴィーガン」という言葉を選びましょう

・会社としてそれらの考え方とは一線を画して、あくまで中立の立場でビジネスを行う場合は「プラントベース」という言葉を選びましょう

これらの言葉の意味を正しく理解した上で、ビジネス戦略を決定することが重要と考えております。当記事をお読みいただいた事業者様のお役に立てれば、心より嬉しく思います。