アフターコロナ対策として開かれた多様な食の対応セミナー
2020年09月16日、沖縄県および一般財団法人沖縄観光コンベンションビューローの主催で「令和2年度 外国人観光客受入体制強化事業 ベジタリアン、ヴィーガン、ムスリムなど多様な食の受入対応オンラインセミナー」が開催され、オンライン上で約100の飲食店、宿泊施設関係者が参加した。
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■プログラム
第一部:守護彰浩氏 セミナー(40分)
テーマ:「沖縄における外国人観光客の食の多様性とニーズ」
講 師:フードダイバーシティ株式会社 守護 彰浩氏
第二部:守護彰浩氏×楠本勝三氏 対談(30分)
テーマ:「菜道の実例や取り組みについて」
ゲスト:株式会社 Funfair、レストラン 菜道 楠本 勝三氏
■詳細ページ
https://fooddiversity.today/article_64447.html
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第一部
まず弊社代表守護から第一部として世界のフードダイバーシティ市場や、ルールの全体感、ベジタリアンをベースに考えることについて、上記図を基に説明されました。更に沖縄県に来る旅行者のベジタリアンの数やイスラム教徒の数などを提示しながら、それぞれの対応方法や集客方法についても具体的な形で話が進みました。中でも野菜だけでどうやって客単価を上げるかについては多くの関心を集めた。
第二部
第二部では引き続き守護と世界一のヴィーガンレストランの称号を持つ自由が丘菜道のシェフである楠本勝三氏とでパネルディスカッションが行われた。
ヴィーガン対応を始めるきっかけ
2018年12月まで都内会員制レストランをやっていました。
その中で2014年に会員様からイスラム教徒のお客様を接待する機会があるので、ハラールを対応してほしいとのリクエストがありまして食の禁忌への対応を始めました。
ハラール対応をやっているとヴィーガン、コーシャといったあらゆる食の禁忌対応のリクエストも増え、2016年からはプライベートジェットの機内食で富裕層向けの対応も行うようになり、あるタイミングであらゆる食の禁忌に対応したレストラン『菜道』のメニュー監修依頼を受けまして、やりがいを感じ2019年よりシェフとしても運営に関わっています。
仕入れはどのように行なっているのですか
まず菜道で提供する料理はアニマル、フィッシュ、アルコール、五葷がフリーです。
醤油、味噌、酢といった基礎調味料はアルコール添加されていないものを使用しています。
とはいえ、原材料を確認すれば近くのスーパーでも買えますので仕入れに苦労することはないです。
野菜は近くの八百屋さんや市場、農家さんからの直送を併用しています。
基礎調味料も含めて信頼している株式会社グローバルから仕入れることが多いです。
利点は二次、三次原料までメーカーに確認をした上で提案、納入してくれますので安心して店舗運営に専念できます。
ぶっちゃけ原価はどうなんですか?
ぶっちゃけ安いです。
菜道では乾物をよく使います。
和食屋なので地方にある乾物を使った郷土料理のアレンジをご提供すると海外のお客様からは喜ばれます。
乾物は保存食の意味合いの方が強いので当然肉や魚に比べてロスは圧倒的に少ないです。
ただ、野菜だけで料理を成立させないといけないので他店では食べられないような工夫、見た目の華やか、家庭料理ではやりきれない手間はかけた料理を意識しています。
苦労したことや失敗事例はありますか?
玉ねぎやニンニク、ネギといった五葷も使用しない料理を提供していますので、初めは味の出し方に苦労するかなと?と思っていましたが意外と問題なくレシピは作れました。
失敗例も特になく基本的にほぼ全ての宗教対応が可能なレストランですので接客のオペレーションもスムーズにできていると思います。
これは効いた!という成功事例を3つ教えてください。
3つというよりもそもそものコンセプト『B級なヴィーガン和食』というスタイルが海外のお客様に特に受けたと思っています。日本には精進料理という菜食文化がありますが菜道ではラーメン、丼もの、焼き鳥といったいわゆるB級グルメ、海外の方から見た日本の和食をイメージした料理を菜道のスペックに落とし込んで提供しています。メニューはどんどん変化しています。お客様の声を現場で聞きニーズを拾い『これが食べたい』『あれが食べてみたい』をメニュー化しています。コンビニや漫画でよく見るけど食べたことがない『おでん』はおでんの機械を用意しそこから選んでもらうスタイルはすごく喜んでもらえました。
ヴィーガンやったらこんなお客様が来た?
ある程度読めてたところでは年代を問わず健康、美容目的の女性のお客様。
全く予想していなかったところではアレルギーを持つお客様も多いです。甲殻類や貝類のアレルギーはもちろんですがヴィーガンレストランですと卵のコンタミリスクもゼロなので卵アレルギーのお客様は多いです。食の禁忌に対応してることで食材への理解度の高さも期待されてか小麦アレルギーやナッツなどあらゆるアレルギー対応をさせていただく機会は多いです。
お客様の味の好みについて傾向を教えてください。
菜道では食の禁忌を持たない私が食べて美味しいものを軸にレシピを作っています。
ヴィーガンの方だけのレストランではなく全ての人が満足できる味を心がけています。
野菜料理だから薄味にした方が良いのかな?といったことは一切考えていません。
ただ動物性の旨みを使わないので複数の野菜で旨みを重ね、基礎調味料に頼らない味付けには気を使っています。砂糖だけではなくデーツシロップなどの果実感のある甘味を使うことでできる複雑な味わいにしています。台湾の方は割と薄味好み、インドの方は辛いのがお好き。嗜好はそれぞれありますので普通のレストランと同じようにできる範囲でお聞きして調整するようにはしていますがベースは通常のレストランと同じ塩味、ボリューム感ではあります。
これから始める皆様にメッセージを。
昆布と椎茸でとった味噌汁と白米。
揚げ茄子の田楽に季節の野菜のおひたしと塩ゆでの枝豆。
生姜を乗せたお豆腐に白菜のお漬物。
当たり前の食材でヴィーガン和食は成立します。
飲食店さんでしたら今あるメニューの中にすでにヴィーガンメニューは多分あります。
海外の方からしたら馴染みのない日本の食材、調味料が実はヴィーガンなんですよと伝えてあげることがおもてなしの一歩かとおもいます。願わくばメインとなる料理も何品か用意すると満足度は高くなります。選べること、シェアできることも満足度を高めるツールになります。
精進料理、郷土料理の現代解釈。
B級和食の菜道スペックへの落とし込み。
この2つが菜道のメニュー構成の柱です。
やってみるとそんなに難しくありません。
是非トライしてみてください。
最後に沖縄県の企業のみ個別相談ができる旨が案内され、合計70分のセミナーは終了致しました。
おいしい&簡単に作れるヴィーガン!楠本氏の提供レシピ動画!
【護得久栄昇の食の多様性ってわかるよね!?レシピ動画(観光事業者向け)】