沖縄で行われた多様な食対応レベルアップセミナー

2019年10月24日、25日に沖縄観光コンベンションビューロー(以下、OCVB)主催の「多様な食対応レベルアップセミナー」が開催され、県内外から約150の事業者が参加した。OCVBによると昨年の沖縄訪問観光客数は約1000万人に到達し、うち300万人は外国人観光客で、中でも最多の訪沖数を記録したのは台湾人の90万人だったようだ。現在台湾人のベジタリアン比率は10%を越え、以前から沖縄ではベジタリアン対応の必要性が謳われていた。今回のセミナーでは食の多様化対策の中でもとりわけ「ベジタリアン対応」を中心にした話が展開された。

*台湾ベジタリアン市場に関して詳しくは下記レポートをご覧ください。
https://fooddiversity.today/article_24246.html

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第一部:セミナー
テーマ:「外国人観光客×食事」の多様化するニーズと対応事例について
講 師:フードダイバーシティ株式会社 守護 彰浩 氏

第二部:パネルディスカッション
テーマ:「ベジタリアン、ヴィーガン、ムスリムが訪れる店舗のひと工夫とは」
パネリスト:一般財団法人沖縄美ら島財団 平良 智史 氏
株式会社南都 田仲 貴志 氏
コーディネーター:フードダイバーシティ株式会社 守護 彰浩 氏

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第一部では弊社代表守護からベジタリアンに関する基礎的な言葉の意味、背景、世界基準の取り組み、最新事例などが話された。

「ベジタリアン対応を”特別食”でみるか、”世界標準”でみるかで対応のレベルに大きな開きが生まれます。現在結果を出されている飲食店・ホテル関係者様は、本取り組みを”世界標準”として前向きに捉え、消費者の方の支持を得ています。時代のニーズはまさに「妥協から感動」へと変わっています。」

また、「食べられるものと食べたいものは違う」と話し、消費者のニーズについての説明もあった。

「ベジタリアンというとサラダをイメージする方が多くいらっしゃいますが、地元のB級グルメのベジタリアン対応のものを求める方が多くいらっしゃいます。沖縄の場合、沖縄そばやタコライスのベジタリアン対応に勝機があると思います」

そして第二部では一般財団法人沖縄美ら島財団 平良智史氏と株式会社南都 田仲貴志氏を招いたパネルディスカッションが行われた。両氏ともに始めた経緯は長年現場で対応ニーズを感じていたのがきっかけだったとのこと。社内の理解を得るには相当な時間を要したと平良氏は話すが、実際の数値を出して社内説得をしたそうだ。対応前後で売り上げが30%増したことにより、経営層も次第に理解を示すようになった。また田仲氏によると団体客にもベジタリアンの方が数名混ざっていることも多く、対応したことにより団体客の集客にも繋がったそうだ。

一方、スタッフ教育などの課題も残る。対応当初は、現場スタッフが誤解を招く案内をしてしまうケースもあったようだが、面接時からコンセプトを伝えて趣旨を理解してもらった上で就職してもらったり、厨房内に基礎知識に関する掲示を行うことで、社内の知識レベルを高めていったようだ。「最初は受け身だったスタッフも今では積極的に案内できるようなりました」と平良氏は話す。

最後は田仲氏からこれから対応を検討している方々へのメッセージで幕を閉じた。

「新しくお店を始める場合やメニュー改正のタイミングは非常にチャンスです。とはいえ、いきなり全てやると頓挫してしまう可能性が高いです。まずは一歩から。例えばメニュー表記にピクトグラムを貼ってみるなど、すぐに対応できるとこら徐々にチャレンジしてみてください。」

尚、会場では(株)グローバル、エスビー食品(株)、ロイヤルホールディングス(株)、(株)ニチレイより、アニマルフリー&アルコールフリー商品の試食が行われた。