ニューヨークで食の市場を見てきました

皆さん、こんにちは。フードダイバーシティ株式会社の守護です。

最近弊社にやたらと問い合わせが多いヴィーガンとコーシャの問い合わせ。その多くがアメリカ在住者からのものでした。
弊社ではヴィーガンやコーシャも一通り対応できるものの、実際に彼らが「求めているもの」は何だろうということで、色々情報を探してみるもピンとくるものはなく、もう「現場を見るしかない!」ということでニューヨークへ行ってきました。

多様な人種、民族、文化、宗教が混在する国。食についてはどういう表記があってどういうものが好まれて消費されているのか。
本文はデータなども一通り目を通していますが、あくまでも私が現場で見たもの、感じたものを中心に書きます。

ニューヨークについて

私個人では4回目のニューヨークとなりました。
世界一周していた2006年、前職の仕事で行った2009年、完全プライベートで行った2013年、そして今回です。
毎回強烈なエネルギーを感じるこの街ですが、その正体がダイバーシティであることは明らかだと思っています。

一応数字上で宗教を見ると下記の通り。
カトリック 20.4%、プロテスタント 10.6%、ユダヤ 6.3%、イスラム 2.7%、その他 2.8%、不明・無宗教 56.0%

人種を見ると下記の通り。
白人 33.3%、ヒスパニック系 28.6%、アフリカ系アメリカ人 25.5%、アジア系 12.7%、その他 4.1%

人種のるつぼと呼ばれて然りな状況です。
出典:JETRO

さて、早速見ていきましょう。

コーシャについて

まずコーシャとはこちらです。
ユダヤ教徒が6.3%を占める街というのは世界でも超特殊市場ですが、数字上少数派ということには間違いありません。
その中でスーパーの加工食品においては少なく見積もっても半分以上の商品はコーシャマークがついています。
どの商品を見てもとにかくコーシャマークが付いていますが、ポイントは残りの93.7%の方々に気づかないレベルでさりげなく付いていることです。
(日本ではハラールマークなりはとても大きいですよね・・・)

ちなみに「U」や「K」というのがコーシャマークです。
横にある「D」はDairyのことで、乳製品が入っているということです。
ユダヤ教の戒律上お肉と乳製品は一緒に食べてはいけないので気を付けてくださいという意味です。
「P」というのはParaveのことで、肉や乳の原料を含まず、植物原料などを主体にしたものという意味です。
「M」もあるのですがそれはMeatという意味で、つまりユダヤ教徒は「M」と「D」を気を付ければいいわけですね。
※お肉についている「P」はPassoverの意味

Passover仕様のドリンクは黄色のキャップになるそうです

レストランはというと、とにかくベジタリアン・ヴィーガンレストランの多くがコーシャ認証も取得しています。
詳しいニューヨーク在住者に聞くと衛生基準(の第三者チェック)として採用しているところも多いとのことでした。


一つ興味深いと思ったのはユダヤ教徒にはベジタリアン・ヴィーガンが非常に多いという話でした。
ベジタリアン・ヴィーガンになる理由は「食の制限を意識せずにたくさん食べられるから」ということで、やはり肉との食べ分けなどを面倒に感じる人も多いとのことでした。
日本でもユダヤ教徒がよくベジタリアン・ヴィーガンレストランを探しているのは妥協策かと思っていたら、上記のような理由だと初めて分かりました。親和性は高いですね。
つまり日本で「コーシャ」の依頼が来た時には、日本でコーシャ認証はとても難しいこと、コーシャ肉も一般流通していないことを伝えて、ベジタリアン・ヴィーガンを勧めてみてはいかがでしょうか。
この人、しっかりと分かっているな」という印象を与えることが重要になると思っています。

ちなみに下記は素食(確認したら全素)+ヴィーガン+コーシャの店舗です。五葷もフリーです。

シナゴークにも行ってきました。マンハッタンだけでもこれだけ多くのシナゴークがあります。


コーシャ認証についていろいろ聞くと、やはり乱立が問題になっている側面もあるようです。
しかし、認証取得基準に衛生基準をしっかり入れて日々検査を行うなどは、他の認証とは違うなあという印象です。
衛生基準が下がると監査員の解雇、また認証剥奪もすぐに行うようです。そのあたり緻密な戦略も感じました。

ちなみにコーシャのお肉売り場は街中のスーパーにもかなりありました。見たところユダヤ教徒以外も普通に買っているという印象です。

ベジタリアン・ヴィーガンについて

弊社山崎のレポートをご覧ください。ベジタリアンを菜食主義者と訳すのは今後通用しない気がしています。
https://fooddiversity.today/article_35487.html

ハラールについて

マンハッタン街中でのキッチンカーがとにかくハラールなのはご存知でしょうか。
その中でもこれが今噂のHalal Guysですが、雨にも関わらず多くの方が並んでいました。

※一応「店としてハラール認証は取っていますか?」と聞いたら「お肉のみハラール認証です」との回答
なぜこんなに人気なのかを私なりに考えてみました。

1、価格の安さ
→マンハッタンで10ドル以下でランチが食べられるお店がほとんどないので、7ドルくらいで食べられるお店は貴重

、圧倒的な量
→とにかく量が多く、シェアごはんとしても重宝されている

3、ニューヨーク名物というブランド
→ニューヨーク発祥のワンプレート料理”チキンオーバーライス”、観光客も多くならんでいました

いずれにせよ、重要なのは「ハラール=ムスリム専用食」という感じが全くせず、ここが日本とは大きく違うところだと思います。

また、KFCについても興味深いことがありました。
「ハラールメニューはありますか?」と聞いてみると、画像右側の「骨付きのもののみがハラールです」と言われました。
混んでいたのでロジックを聞くことができませんでしたが、実際にヒジャブを被ったムスリムのお客様がまさに骨付きのものだけを大量に買っていきました。
日本のKFCはそもそもALL国産を謳っているのでなかなか難しい部分はあると思いますが、これだけでもあるととても喜ばれるだろうなあ・・・

スーパーについて

マンハッタンのスーパーは複数周りましたけど、ほとんどハラールミート売り場はありませんでしたが、郊外のイスラム外に行くとたくさんハラールミートが売られていました。
なんと日本とは違って生肉が売られています。これはとてもうれしいでしょうね。

マンハッタンのハラール(も売っている)ショップではハラール認証商品を見つけることができませんでしたが、コーシャ、インドベジマークの商品は見かけました。
ある程度の互換性があるのかは分かりませんが、店員さんに聞いても確認することはできませんでした。

全体的にハラール商品はほとんど見かけなかったという印象です。もちろん比率も2.7%ということで特定の売り場でのみ、ムスリムのみが買っているという状況ではないでしょうか。
そのあたりがコーシャとの違いをとても感じる一面でした。

その他

その他に多く見たマーク系は下記の通りです。
・Gruten Free(GF)
・Non GMO(非遺伝子組み換え)
・Non Artificial(非人工物)
・100% Whole Grain(全粒粉)
・Sugar Free

日本のハラールマークのように単体でマークを付けているケースは少なく、基本どのマークもOne of them感がとてもあります。

サービス面

食の禁忌など関係なく、面白いと感じたサービスを下記に紹介します。

1、レシートがメールで送れるサービス

2、注文も決済も全てテーブルの上で(空港)

3、無人コンビニ(空港)

振り返って

とにかく詰め込んだ1週間でしたが、多くのINPUTがありました。
そして多様な人種、民族、文化、宗教が混在する国、「生きる力に満ち溢れている」という言葉が適切かは分かりませんが、やはり強いエネルギーを感じました。
いろんな意見はあると思いますがフェアで自己責任な社会、食なども含めて「普通に」共存できる社会が作れれば、日本はもっと元気になると思います。
例えば食の対応が、日本でニュースに全く取り上げられないような未来が作れればと思います。これからは「当たり前でしょ」感をどれだけ作っていけるかが重要だと考えています。
またニューヨークはとにかく物価が高く日本のデフレを実感し、アメリカからの訪日客が「日本はいいものが安い」と言っている理由も分かりました。
これから世界と密にコミュニケーションを取り、ニーズをしっかりと聞くことで「いいものを適正価格」にするだけで日本はもう一度上昇気流に乗ることができると考えています。
ここの空気感をこれからも全国を歩いて伝えていきたいと思います。

長文、乱文でしたが、最後までご覧いただきまして誠にありがとうございました。