三重県内の食品関係企業向けセミナー
2025年6月25日、三重県が主催で「UAE・中東市場への食品輸出研修会」が三重県総合文化センターにて開催され、三重県内の食品関連会社がリアルとオンラインで約30名ほど参加しました。
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プログラム
第1部:講演
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中東食品市場と進出課題(30分)
講師:髙澤 直之 氏(株式会社エイチ・アイ・エス FOODグループプロジェクトマネージャー) -
ハラール市場について(30分)
講師:守護 彰浩 氏(フードダイバーシティ株式会社 代表取締役)
第2部:パネルディスカッション
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UAEの輸入規制と実務(15分)
登壇者:Robin Mathew 氏(Tag Food & Beverage Trading LLC) -
販路開拓とブランド戦略(15分)
登壇者:Amna Ali Aldarmaki 氏(WA Project創業者、UAEパビリオンアンバサダー)
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当日の様子
中東輸出で求められるフードダイバーシティ対応とは
第一部では、髙澤氏が中東の食品市場動向と進出における実務的な課題について講演を行い、現地の文化、消費者嗜好、物流環境などを豊富な事例とともに紹介しました。特に、日本食に対する関心の高まりや、現地での販路開拓に必要なパートナー選定の重要性、また実務面での輸出手続きの留意点について実践的な知見が共有されました。
続いて弊社代表の守護からはイスラム教に関する基礎、六信五行、ハラールに関する基礎事項、ハラール認証の役割と必要性、さらに輸出を見据えた製造・表示・原料管理に関する基本的な要件が解説されました。
さらに海外での販売においては、「手に取っていただくこと、そして口にしていただくこと」がないと何も起きないので、その仕掛けについて、三重県を代表するグルメ「すき焼き」を事例に説明が行われました。
中東の方々に提供する際には、以下のような文化的・嗜好的な壁を乗り越える
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薄切り肉を食べる文化がほとんどない
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レアの肉や生卵に対して抵抗がある人が多い
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「すき焼き」に対する形や味のイメージがない
これらの課題をふまえ、中東の消費者にどのように「すき焼き」を提供すべきか、具体的な工夫やアプローチについて実例とともに紹介されました。
第二部では、UAEで食品輸入ビジネスを展開するRobin氏から、以下のような具体的な実務情報が共有されました:
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バイヤーに選ばれやすい商品には、品質の高さに加え、「日本らしさ」やストーリー性があるものが好まれる
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価格面では、適正価格が重視されており、高品質であることは前提として、現地の購買力に見合った価格帯であることが採用の条件になる。
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現地のトレンドとしては、日本食の人気が非常に高まっており、寿司、ラーメンにとどまらず、様々な日本食カテゴリが定着しつつあることが紹介されました。
さらにAmna氏は、UAE市場での日本ブランドの受容性について、多くの実例とともに紹介しました:
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抹茶の人気が非常に高く、特に富裕層や健康志向の消費者からの支持があること。
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日本食全般の人気は依然として強く、もはや「特別な料理」ではなく、日常の食事として選ばれるほど浸透している
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今後の展望として、日本のカフェスタイル(抹茶、和スイーツ、軽食など)に対する関心が高まっており、現地の若年層を中心に成長が期待される分野であることが示唆されました。
終了後は質問も多く飛び交い、熱気を帯びたまま2時間のセミナーは終了致しました。参加者からは「中東に行ったことがないのでどういう国かは分かりませんでしたが、今回のセミナーで具体的にイメージすることができました。」「輸出に関して、ハラール認証はお肉にのみ必要だということがわかりハードルが下がった。」「今回をきっかけに輸出にチャレンジしてみようと思う」などの声が上がりました。
三重県としては本セミナーを皮切りに、今後もUAEをはじめとする中東への食品輸出事業を推進していく予定とのことです。