未来を担う学生たちへ特別授業

2025年11月25日(水)、筑波大学が「食の多様性セミナー ~ハラール&ベジタリアン編~」と題した講座を開催し、同校に通う学生が40名ほど参加いたしました。
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プログラム

「食の多様性セミナー ~ハラール&ベジタリアン編~」(60分)
講師:フードダイバーシティ 株式会社 代表取締役 守護 彰浩

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当日の様子

食から学ぶ多文化共生

まず守護からは、世界一周の実体験、そこで学んだ食のルール、それぞれの言葉の定義、それぞれの背景について、具体的な事例を交えて説明しました。イスラム教のハラール、ユダヤ教のコーシャなどの宗教的ルールはもちろん、環境配慮、動物愛護、アレルギーといった要素も含めて、「“なぜ食べないのか”を知ることが、相互理解のための出発点になる」と語りました。

「日本では“食べない=好き嫌い”と捉えられがちですが、世界では“生き方や信仰の一部”であることが多い。この「世界の食ルール」を理解する姿勢こそが、これからの国際社会における信頼構築に不可欠だと強調しました。

ダイバーシティ対応とは“特別扱い”ではなく“共通点を見つけること”

「ダイバーシティ対応の考え方」に話題が移りました。守護は、企業や自治体が多様な食文化に配慮する動きが広がる一方で、「特定の人のための特別対応」と捉えられてしまうケースがあると指摘しました。

「本来のダイバーシティ対応とは、“違い”を強調することではなく、その中から“共通点”を見つけていくことです」と述べ、食はその“共通点”を見つけやすい領域であると説明しました。さらに、「誰かが食べられない料理を避ける」のではなく、「みんなが一緒に食べられる料理を考える」という発想への転換が求められていると呼びかけました。

共通点を見つけるためのワークショップ

共通点を見つけることを目的としたワークショップとして、「パスタ」を題材に、ベジタリアンの友人、ムスリムの友人、そしてグルテンフリーの食事制限を持つ友人と、どのようにすれば皆で一緒に食事を楽しめるのかを考えるセッションが行われました。ワークショップでは、参加者それぞれが大切にしている食習慣や制約について理解を深め、そのうえで全員が安心して食べられるメニューを一緒に探求しました。

ワークを行なった参加者からは

●ハラールの概念は今日まで触れることがなかったので、
今日のディスカッションを通じてよく了解ができた。とても新奇な体験でした。(学群留学生)

●ベジタリアンやハラールの、自分の中の定義の誤りに気づけました。
とても楽しかったです。(学群生)

●ハラルなどについて知っているつもりだったが、自分が予想以上に知らなかったこと、
新たな発見があったことを実感した。食文化についてもっと興味を持って調べてみたいと思った。(学群生)

●The presenter had a very kind approach to food diversity and was well informed and respectful.
It would be nice to have a collection of guidelines for substitutions for food diversity,
more examples like the one with the pasta.(大学院留学生)

●As a foreign student I appreciate this initiative very much (大学院留学生)

●It was a really insightful learning experience. I learned about a mindset of finding the common points
rather than division for inclusivity.(学群留学生)

といった声が上がりました。

筑波大学は今後も多文化共生に関する講義を行っていく予定とのことです。

ワークショップの様子