アップデートしておきたい最新の流れとは?

こんにちは。食の多様化対応を支援しておりますフードダイバーシティ株式会社の守護です。

2021年度は当社フードダイバーシティ株式会社では大変ありがたいことに、合計146本の講演、及び社内研修をさせて頂きました。その中で多くの事業者様とのご縁をいただきまして、一社様一社様とじっくり対話を積み重ねてきました。

その中で多くの企業様から「過去に勉強した内容と全然違う」「これなら出来そう」というお話をいただきます。さらに話を進めていくと、その「過去に勉強した内容」こそが理由で、これまで取り組みが進めてこれなかった事業者様があまりにも多いことが分かりました。

本日は過去に勉強した内容とは一体何か?現在の内容と何が違うのか?について触れていきたいと思います。

1.過去にハラールやヴィーガンの協会からハードルのとても高い話を聞きました

2012年〜2015年くらいまでは各分野の協会が主に講演業を行っていました。協会といっても当時は本当に多くの数があり、そのうちいくつかの協会が「ハードル(関所)を作る→ソリューションを提供→お金を頂く」という運営方法を取りました。もちろん協会と言えど利益を追求する民間企業なので、この方法が悪いというわけでは決してありません。ここで協会が失敗したのは、最初に高すぎるハードルを作ったことで、実現可能性と、費用の問題で多くの日本企業が「これだととても対応できない」となり、それを乗り越えようとする企業様がその後も増えず、結果的に多くの協会は運営が厳しくなりました。

そこで、多くの協会は方針を変更してハードルを大きく下げたのですが、残念ながら「もう一回学ぼう」という気運は高まらず、日本社会では高すぎるハードルだけが残ってしまうということになりました。今や、その当時高いハードルを作った協会もほとんど存在しなくなってしまいました。

しかしながらその後、飲食店や宿泊施設もムスリムやヴィーガンの一般消費者と関わる機会が増えて、「人による」「全員が全員100点満点の対応を求めているわけではない」ということも気付いた企業が「情報開示」を行って実績を出してきて、今はそちらが主流になってきました。

2.過去に問い合わせたときは、高くて、特定業者しか商品を持ってなくて、さらにあまり美味しくなかった

昔は「ハラール商品専門問屋」や「ヴィーガン商品専門問屋」が複数存在していました。当時商品が高かった理由は実は単純明快で、商品に二重のコストがかかっていたからです。

例として、ハラールの鶏肉を仕入れたいとなった場合、過去は通常の食品問屋がハラールの専門問屋に発注をかけて仕入れて、それを飲食店へ納品していました。しかし、さまざまな情報が浸透してきたことで、通常の食品問屋が「自社で持っているブラジル産の鶏肉はハラールだったのか」と気づき、自社で直接納品するようになりました。つまり、これまで二重に仕入れコストがかかっていたわけですが、それが無くなったことで、コストが大きく下がったわけです。

決して最近安くなったというわけでなく、通常の食品問屋が専門問屋に依存しなくなったからです。

また、当時はハラール商品もヴィーガン商品も輸入品がほとんどだったため、例えばハラールだとエスニック系の商品が多く、日本食に使用できるものはほとんどありませんでしたので「美味しくなかった」と感じる企業様も多かったです。最近は国産の商品も増えてますし、認証はないですが使用できるものを通常の食品問屋が判断できるようになり、飲食店へ提案できる商品も本当に多く増えています。

通常の食品問屋にも知識が浸透したことが様々な問題を解決したと思います。

3.過去に学んだのは「専用メニューを作りましょう」でした

過去の講演では「専用メニューを作りましょう」が主な内容でした。つまり、ハラールメニューやヴィーガンメニューを別で作りましょうという話です。

こうなると、当時多くの飲食店は食材も別で取らないといけなから等の理由で「○日前までに予約を頂ければ対応できます」という判断をしました。しかし、実際多くのお客様は「予約なしでも対応できます」というお店にいくので、「予約があれば対応できます」のお店はほとんど成果が出せませんでした。

これは逆で考えると分かりやすいのですが、例えばフランス語の話せない日本人がフランスに行った時に「電話で飲食店に予約を伝えられますか?」という話です。英語があまり通じないこの日本で、電話やメールで何かを交渉するというのは、旅行者にとっては非常に難しいことだと思いますし、通じているのかどうか分からないことはとてもストレスになりうる可能性があります。。

そこで「一般のメニューの中に、実はハラール、実はヴィーガンのメニューを入れておこう」という考えでメニューを作っている飲食店が成果を出し始めました。上記でもお伝えした通り、今は仕入れも上がらず、通常の問屋でも仕入れができて、味もよくなっているので、普通にメニューが作れるようになったこともあり、このような考えが主流になってきました。

以上、フードダイバーシティ対応に過去に検討した、もしくは取り組んだけどうまくいかなかったという企業様にとって、本記事が有益な情報となれば幸いです。