プラントベース市場の未来はどうなる?
近年急成長を遂げたプラントベース食品市場ですが、現在では新たな課題に直面しつつあります。本稿では、同市場の現状と、これからの発展のヒントについて考察します。
プラントベースフード市場は、勢いを失いつつある部分もあります。例えば、英国では2023年にヴィーガン食品の売上が前年比13.6%減少しました。この背景には物価上昇や生活費の増加があり、多くの消費者が高価なプラントベース食品よりも、安価な肉製品を選ぶようになっていることがあります。また、「美味しさ」や「品質」が消費者の期待に届かない場合、購入を続けてもらうのが難しいという現実も起因しています。
そうした中でも、プラントベースフードは引き続き大きな可能性を秘めています。例えば、ニールセンIQの調査では、インターネットで「プラントベース」と検索する人が増えており、消費者の関心はまだ高いことが分かっているからです。さらに、肉代替品だけでなく、魚や乳製品を代替するような新しい商品も増えてきており、多様なニーズに応える準備が進んでいます。
また、「フレキシタリアン」と呼ばれる、肉も植物由来の食品も両方楽しむ柔軟な食生活を送る人たちが増えている点も市場の強みです。こうした層に向けた製品を作ることで、新しい市場が広がる可能性があります。
プラントベース市場がこれから再び成長していくためには、いくつかのポイントがあります。まずは、技術革新によって「もっと美味しく」「もっと満足感のある」商品を作ること。次に、価格を見直して、多くの人が手に取りやすい商品を提供すること。そして、環境への優しさや持続可能性を強調し、エコ意識の高い消費者にもアピールすることが大切です。
プラントベースフードはただの流行ではなく、食の未来を形作る大切な分野です。この市場がさらに発展するためには、消費者の求める「おいしさ」「手軽さ」「環境への配慮」に応える努力が必要です。企業は急成長してきた市場の中で、新たな取組みが求められています。
(文責:フードダイバーシティ株式会社・横山)
著者
横山 真也
フードダイバーシティ株式会社 共同創業者
キャリアダイバーシティ株式会社 共同創業者
ヨコヤマ・アンド・カンパニー株式会社 代表取締役
日本と海外での複数の起業が評価され、16年シンガポールマレー商工会議所から起業家賞を受賞(日本人初)
NNA ASIA経済ニュースコラムニスト
著書に「おいしいダイバーシティ~美食ニッポンを開国せよ~」(ころから株式会社)
ビジネス・ブレークスルー大学経営学部および東洋大学国際学部 非常勤講師