総合植物肉メーカー Green Culture はどんな会社?そして見据える未来への戦略とは

先日2021年7月1日、日本の植物肉を取り扱うスタートアップの巨額の資金調達のニュースがありました。その会社は「健康と地球とずっと。」を掲げるフードテック企業、グリーンカルチャー株式会社。大手日本企業を巻き込んだ2.5億円の資金調達を終え、今まさに大きく動き出そうとしている日本のホープです。

今回、会社設立ストーリーからこれまでの取り組み、そして今後の新たな成長戦略と彼らが見据える未来について、代表の金田郷史氏にフードダイバーシティ株式会社が独占取材を行いました。

グリーンカルチャー 主要メンバー

左から2人目がグリーンカルチャー株式会社CEOの金田郷史氏

Green Cultureの設立の経緯についてお聞かせください。

経緯を話すと設立の前に遡ってしまうのですが、幼少期は親の言っていることが全てだったと思うんですね。お肉を食べることは私にとってはその一つでした。動物が好きだったのですが、ペットと動物の区別がつけられず、自分のなかで矛盾が起きて、「食べない」選択肢をすることで解消することを目指しました。

しかし、食品に困りました。食べるものがない、何を食べればいいかわらかないということから、朝昼晩ずっと納豆ご飯で乗り切った時期もありました。

18歳、高校生の時に海外留学でアメリカの西海岸に行った際、あんまり美味しくもなく、どこにでもというわけではないですが、プラントベースのオプションをレストランやスーパーで見つけることができたんです。驚きましたし、多様性が許されたと感じた瞬間でした。このような世の中を日本でも実現したいと思ったことが、当初に会社を設立しようと思ったきっかけです。

金田氏の留学時代の友人との写真

金田氏の留学時代の友人との一枚

今は日本でも頻繁に耳にするようになった「ベジタリアン」「プラントベース」という言葉ですが、当時アメリカではどのように受け止められていたのですか?

アメリカ自体が人種、言語、思想、肌の色において多様性を重視している国であり、食べ物も例外ではないと感じました。しかし、当時の日本ではマイナスな印象を持たれることが多かったですね。

Green Cultureはその名の通り「緑の文化を作る」という意味を込めており、アメリカで見たような植物性食品が一般的な文化を作りたいという意思から名付けました。

会社設立から10年以上が経過しましたが、これまでどのようなことに携われてきたのか改めて教えてください。

これまでの10年間は流通を主に事業を展開してきました。モノがなく困っている人たちに流通を通して届けたいと設立当初に思っていたためです。グリーンズ ベジタリアンという通販サイトも運営し、累計30万件以上の出荷実績があり多くのお客様にご利用いただいていることから、流通事業者として認知されています。

グリーンズ ベジタリアン ウェブサイト

グリーンズ ベジタリアンでは多種多様なベジタリアン、ヴィーガン商材を販売

では、今後の事業展開としてはどのようなものを描いているのでしょうか?

これまでの10年とは異なり、これからの10年は植物肉の開発製造者として舵を切っていきます。これは事業的な変化もあり、顧客の対象の変化も大きくあります。

以前はベジタリアン・ヴィーガンのための会社として展開を行ってきましたが、今後はヘルシーな食事を心がける方だったり、環境意識から植物肉を選んでみたいという層をターゲットにした会社として、さらに裾野を広げていくことを目指しています。

また、流通ではなくメーカーというポジションも加わることで事業的な広がりも見据えています。

グリーンカルチャーCEO 金田氏

Green Cultureのオンラインショップにて積み上げてきた10年間の顧客・マーケティングデータはメーカーへのシフトにも大きく貢献しそうですね。

弊社としても、累計30万件以上の出荷データを活かしてメーカーポジションを取れることが強みだと思っています。すでに、年齢の具体的なターゲット層のイメージを持っており、ペルソナも明確にすることができています。

これは販売戦略だけではなく、製造に対するフィードバックにも繋がっており、味の好みや、肉々しさの加減などの小さなさじ加減も精緻に反映することができます。

実際に4月に小籠包を発売したのですがとても売れ行きが好調です。もちろん競合がないジャンルの商品ということは一つですが、想定していたターゲットに味付けをはじめぴったりとハマった一つの例です。

お肉を使わずジューシーに仕上げたグリーンカルチャーの小籠包

植物肉を使いジューシーに仕上げたグリーンカルチャーの小籠包

今回発表された複数社と資本業務提携ですが、これらの企業様と組まれる戦略をお聞かせいただきたいです。

今回の発表からも分かる通り、投資家構成を川上から川下まで通貫するような形で構成しています。製造業者が1社、VCが2社、食品流通業者が1社の合計4社と組み、メーカーさんの協力のもと製品を安価に大量に製造することが可能となり、オンラインに強い販売業者様を一つの大きな出口として捉えています。

今回の出資の座組は、弊社にとって単に株式と資金の交換という面にとどまらず、実業をより一層加速させるものだと感じています。

グリーンカルチャー、7月1日に発表された資本業務提携

7月1日に発表された資本業務提携のプレスリリース

資本業務提携を始め会社のステージが変わる中で、必要となる人材や求める人柄も変わってきているのでしょうか?

弊社では「カルチャーフィット」を最も大切にしています。僕たちが求める未来を本当に実現したいと思ってくれているか、質問を投げかけると返答がこない応募者の方もいます。

Green Cultureはヴィジョンとして「健康と地球とずっと」を掲げています。もちろん個人の能力も重要ですが、このために植物肉を普及させたい、そこに力を注ぎたいというのが見える人を採用するようにしています。

現在採用も進めており、「ぜひとも!」と思う方には積極的にご応募頂きたいですね。笑

グリーンカルチャーCEO 金田氏

さらなる成長が見込まれる中、事業を通した今後の展望を国内戦略、海外戦略それぞれ教えてください。 

国内戦略としては、販売流通の強力なパートナーを得たことは一つ大きいです。いろんなターゲットに対して販売されており、ブランドもさながら会社の売り上げも十倍に押し上げる力を持っていると確信しています。

なお、外食産業に対しても積極的に進出をしようと思っておりましたが、コロナの影響により当初の想定からは遅れ気味なのが正直なところです。今期中は様子を見て、その後広く展開を進められたらと思っています。

海外も含めた目標としては、上場を目指し、海外20か国以上への展開を視野に入れています。

将来的な流通総額の内半数以上を海外での売り上げが占めるという見立てをしています。海外市場は日本とは桁違いのスケールがあるため、億単位の数字が立ちやすい。また、現在総合商社と話を進めており、日本産の植物肉を海外に輸出する計画も進めています。足のある商社と協働し、資金もさらに集め、研究・商品開発を次々に展開していくストーリーを描いています。

グリーンカルチャーが独⾃技術に基づき開発した植物肉「Green Meat™」

グリーンカルチャーが独⾃技術に基づき開発した植物肉「Green Meat™」

最後に一言、お願いいたします。

11年前に思っていた植物性の食品がどこでも食べられる世の中近づきつつあると感じています。自分が10年間継続してきたことが新しい文化情勢に寄与しているのであれば嬉しいです。絶対自分が変えてやるのだという熱意を持つこと、そしてそれに向かい継続して努力することで、世の中が変わっていくと信じています。今後10年もその思いを貫いて、頑張っていきたいというのが今の率直な気持ちです。