アフターコロナでムスリムの旅行市場はどのように変化した?

食の多様化を支援するフードダイバーシティ株式会社の横山です。

2023年8月11日(金)、ムスリム旅行者向け情報メディアを運営しているHave Halal Will Travel (HHWT:シンガポール)は、『The Next Phase of Muslim Travel』(ムスリム旅行の次のフェーズ)と題するレポートを発表しました。このレポートは、シンガポール、マレーシア、インドネシアのミレニアル世代のムスリム旅行者に影響している物価上昇、持続可能性、生成AIについて分析されています。

レポートでは以下のような事実が明らかにされました。
・旅行費用の上昇は、3カ国いずれでも最も懸念されるテーマになっている。
・コロナウイルスの感染リスクに対する懸念は後退し、旅行先の選択に変化が出始めている。
・東南アジア内での旅行への関心が高まっている一方で、訪日ニーズは強い。
・ミレニアル世代のムスリム旅行者の多くが、1週間以上の長期旅行を好む傾向にある。

「今後12ヶ月間で予定している旅行先は?」との問いに「日本」と回答したのは、シンガポールでは2位(マレーシアが1位)、マレーシアでは1位、インドネシアでも1位と訪日ニーズの高さを確認できました。

昨今注目される生成AIについて、「旅行に生成AIを活用するか」との問いに、「使う」と回答したのは、シンガポールは31.8%、マレーシアは21.4%、インドネシアは54.5%と各国でばらつきが見られました。

私が注目したのは、韓国に対する評価です。
コロナ禍以前は東南アジア諸国から同国への旅行客は増加傾向にありましたが、インドネシアでは4位(前回比1ランクアップ)だったものの、シンガポールでは6位(同2ランクダウン)、マレーシアでは5位(同3ランクダウン)と振いませんでした。

この辺りについて旅行代理店にヒアリングしたところ、「日本と韓国の違いは国土の大きさ。それに文化の多様さも異なる。日本は観光地が多いが、韓国はソウルや釜山など限定的。韓国への旅行は今のタイミングではないのかもしれない」とのコメントを得ました。

近隣諸国も盛り上がることが訪日の機会に繋がりますので、今後韓国の動向も注目したいと思います。

著者

横山 真也
フードダイバーシティ株式会社 共同創業者
キャリアダイバーシティ株式会社 共同創業者
ヨコヤマ・アンド・カンパニー株式会社 代表取締役
日本と海外での複数の起業が評価され、16年シンガポールマレー商工会議所から起業家賞を受賞(日本人初)
NNA ASIA経済ニュースコラムニスト
著書に「おいしいダイバーシティ~美食ニッポンを開国せよ~」(ころから株式会社)
ビジネス・ブレークスルー大学経営学部および東洋大学国際学部 非常勤講師