2016年4月26日

訪日ムスリムといっても出身国や人種は様々です。一般的には東南アジアや中東のムスリムをイメージしやすいですが、インドには1億8千万人、中国にも2千5百万人のムスリムがいると言われています。今月は訪日ムスリムとは誰で、日本で何を求めているのかを実データを元に具体的に探ります。

検索結果に「スマホ対応」は必須


まずご紹介するデータは左のパイチャート「3:7」です。これはハラールメディアジャパンを見るために閲覧者が使っているデバイスの比率で、PCが3割、モバイルとタブレットが7割に至っています。ハラールメディアジャパンとは日本のハラール情報をほぼ毎日発信しているウェブサイトです。インバウンド対策として自社のウェブサイトに英語ページを追加する例は増えていますが、モバイル対応も不可欠になっているという状況が確認できます。
モバイル対応の必要性はGoogleが昨年春に発表した検索アルゴリズムの変更にも表れています。「ウェブサイトがモバイルフレンドリーであるかどうかを評価する」つまり、モバイル対応していない場合は、検索上位に表示されない可能性が高くなるということです。これはウェブサイトだけではなく、ブログやネットショップでも同様ですので、対応如何によっては致命傷になりかねません。 確かにスマホの小さな画面でPC対応のウェブサイトを閲覧するのはとても見にくいですよね。

ターゲットは女性、Facebookで囲い込め

次のデータは右のパイチャート「4:6」です。これはハラールメディアジャパンを見ている男女比率で男性が4割、女性が6割です。法務省が発表した出入国管理統計によると、2014年に訪日した外国人客全体の内訳は男性が49%、女性が51%でしたので、ハラールメディアジャパンを見ているムスリムでは、女性の方が情報収集に熱心であると考えられます。
その女性ムスリム(ムスリマといいます)が情報発信している場というのがFacebookです。ソーシャルメディアの代表格であるFacebookはマーケティングツールとしても重要で、ハラールメディアジャパンを見ている訪日ムスリム客の多くはFacebookで情報をシェアしています。「新しいお店がオープンした、行ってみた、写真を撮ったよ」という流れに対して「おいしそう、私も行きたい、この記事シェアするね」と、どんどんと情報が拡散していきます。こうしたコミュニケーションは女性が発信して女性が呼応しているケースが多く、Facebookの運用者はコミュニケーションを通じてターゲットを一段と絞り込むことができます。
事実、先月ご紹介した検索ランキング上位の店舗は全てFacebookで積極的に情報発信しています。さらに共通しているのは、来店したムスリマの写真を投稿している点です。一言断った上で写真を撮り、それをお店のFacebookに投稿したよと教えてあげると、彼女たちがその記事をシェアして自分たちのコミュニティで拡散してくれます。Facebookは今では強力な口コミツールになっているのです。

SNSは複数を運用して連携させる

ここまで、インバウンドの観点から訪日ムスリム客のターゲットは女性で、モバイル対応したウェブサイトからFacebookへ誘導し、写真を投稿してシェアしてもらうという流れを確認しました。さらに踏み込むのであれば、ソーシャルメディアを複数運用することをお勧めします。メインのFacebookページの他に、ファンの集まりであるサブページを運用したり、TwitterやInstagramと連携させるのです。
ハラールメディアジャパンはメインのFacebookページ以外にもサブのページを複数運営しています。興味深いことに、同じ記事に対してウェブサイトやメインページでのいいね!の数よりもサブページでのいいね!の方が多いことが、しばしばあります。複数ページを運用することは、ウェブサイトやメインページへの誘導と、そこで漏れてしまった潜在客へのアプローチにもつながるのです。

Facebookの記事は残念ながら検索上位に表示されませんが、いいね!が増える度にその記事はより拡散されリーチする読者は増えます。そうなると自ずと話題になり、複数のメディアで次々シェアされるという好循環を作り出すことができるのです。
ソーシャルメディアは無料で開設できる上、その利用者は増え続けています。モバイルで情報を探している訪日ムスリム客に対して、Facebookを使ってどうアプローチするか。来月はそこで発信されている情報から彼らのニーズをさらに深掘りします。

PDF版はこちらからダウンロードしてください。

<筆者紹介>

横山真也
Yokoyama & Company (S) Pte Ltd マネジングディレクター
ハラールメディアジャパン株式会社 共同創業者
ハラール関連事業としては2014 年元日に「世界初 の英語発信による日本ハラール専門ポータルサイト」HALAL MEDIA JAPAN を開設、同年にはハラール・ベジタリアンレストラン検索サイト・アプリHALAL GOURMET JAPAN をサービスイン。日本最大のハラー ルイベントであるJAPAN HALAL EXPO を14 年と15 年の2年連続で幕張メッセなどと共催、合わせて約1万人を動員した。