製造前に約1.5日をかけて行われる徹底洗浄の現場を取材
食物アレルギーのある人にとって、「アレルゲンを使用していない」という表示は、安心して商品を選ぶための大切な情報です。
しかし、その安心は、原材料を使用しないだけで実現できるものではありません。製造工程でアレルゲンが意図せず混入する「交差接触(コンタミネーション)」を防ぐためには、工場全体で徹底した品質管理が求められます。
今回、Food Diversity.today編集部は、エスビー食品グループのエスビーガーリック食品株式会社 高田工場(新潟県上越市)を訪問し、「アレルゲンフリー(28品目不使用)シリーズ」の製造現場を取材しました。

エスビーガーリック食品株式会社 高田工場 外観
「アレルゲンフリー(28品目不使用)シリーズ」とは
エスビー食品では、特定原材料8品目に加え、特定原材料に準ずる20品目を含む計28品目を使用しない「アレルゲンフリー(28品目不使用)シリーズ」を展開しています。
カレーフレークやシチューフレークなどの業務用製品を中心に、学校給食や保育園、病院、福祉施設など幅広い現場で利用されており、「みんなで一緒に、おいしく食べる」という考え方を支える商品の一つとなっています。
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製造前に約1.5日をかけて行われる徹底洗浄
「アレルゲンフリー(28品目不使用)シリーズ」の製造前には、約1.5日をかけて徹底した洗浄作業が行われます。
設備を分解し、細部まで丁寧に洗浄した後、製造ライン全体を清潔な状態に整えます。目に見える汚れを落とすだけではなく、アレルゲンが残留していないことを確認してから製造を開始するなど、安全性を最優先にした品質管理が徹底されていました。



洗浄後は検査で安全性を確認
洗浄が終わっても、すぐに製造が始まるわけではありません。
まず、製造設備を専用の綿棒で拭き取り、タンパク質が残っていないかを確認する検査が行われます。
同社によると、洗浄後にはチェックシートによる確認に加え、タンパク検査キットやアレルゲン検査キットを用いた検査を実施。さらに、定期的に外部検査機関による製品検査も行うなど、多角的な品質管理が行われています。洗浄だけで終わらせず、客観的な検査結果に基づいて安全性を確認したうえで製造を開始する品質管理体制が徹底されていました。

「アレルゲンフリー(28品目不使用)シリーズ」製造の専用入口
洗浄と各種検査を終え、いよいよ製造工程に入ります。製造エリアへ入る従業員は、専用の作業着や手袋に加え、色分けされたマスクと帽子を着用し、専用ゾーンの入口から入室します。色分けによって作業区分を明確にするとともに、専用の動線を設けることで、人の移動によるアレルゲンの持ち込みを防ぎ、製造現場全体で交差接触(コンタミネーション)を防止する管理体制が徹底されていました。
工場全体でアレルゲン管理を徹底
工場内では、「アレルゲン対応中」「関係者以外立入禁止」「浮遊落下タンパク検査中」などの表示が掲示され、製造エリア全体でアレルゲン管理が行われていました。
また、製造設備の洗浄だけでなく、原材料の管理、人や物の動線管理など、交差接触を防ぐためのさまざまな取り組みが実施されています。アレルゲンフリー製品の安全性は、一つの工程だけではなく、工場全体の運用によって支えられていることが分かりました。


徹底した品質管理を経て商品が完成
ここまで紹介した品質管理工程を経て、「アレルゲンフリー(28品目不使用)シリーズ」は完成します。
店頭に並ぶ商品の裏側では、約1.5日をかけた洗浄や各種検査など、多くの工程と現場で働く人々の努力が積み重ねられていることが分かりました。

取材を終えて
食物アレルギーへの対応は、原材料を見直すだけで実現できるものではありません。製造設備の洗浄や検査、作業動線の管理、さらには従業員一人ひとりのルールの徹底まで、数多くの工程を積み重ねることで、安全性が確保されています。
今回、高田工場で目にしたのは、製造前に約1.5日をかけて実施される徹底した洗浄作業や、専用ゾーンでの厳格な入室管理、そして洗浄後のタンパク質検査・アレルゲン検査など、一つひとつの工程に妥協しない品質管理でした。「アレルゲンフリー(28品目不使用)シリーズ」は、このような見えない努力の積み重ねによって支えられていることを実感しました。
特に印象的だったのは、その品質管理が「見せるため」のものではなく、日々当たり前のように繰り返されていることです。製品を手に取る消費者が目にすることはありませんが、その裏側では多くの時間と人の手が費やされ、安全性を守るための地道な取り組みが続けられています。こうした見えない努力こそが、安心して食べられる食品を支えていることを改めて感じました。
近年、食物アレルギーへの対応は、学校給食や医療・福祉の現場だけでなく、ホテルや飲食店などインバウンドを受け入れる事業者にとっても重要なテーマとなっています。誰もが安心して同じ食卓を囲める環境づくりを実現するためには、現場でどのような品質管理が行われているのかを正しく理解することも大切です。
今回の工場取材を通じて、「安心して食べられる食品」は、徹底した品質管理と現場で働く人々の高い意識によって生み出されていることを改めて実感しました。普段は目にすることのない製造現場の取り組みを知ることは、食物アレルギーへの理解を深め、誰もが安心して同じ食卓を囲める社会について考えるきっかけにもなるでしょう。
