長崎市で進むフードダイバーシティ対応

2025年7月1日(火)、一般社団法人長崎国際観光コンベンション協会主催の「『食の多様性対応支援事業』開発メニューお披露目・試食会および令和7年度事業説明会」がANAクラウンプラザホテルホテル長崎グラバーヒルにて開催され、長崎市内の飲食店、宿泊施設関係者および報道陣約40名が参加しました。

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プログラム

1.食の多様性対応、そこが知りたい!
フードダイバーシティ株式会社 共同創業者 横山 真也
2.メニュー開発事業者インタビュー
ANAクラウンプラザホテル長崎グラバーヒル
 総支配人 八谷智之、レストラン調理主任 林浩正、料飲サービスマネージャー 山口宏晃
株式会社クレインいずや 代表取締役 山口悦子
3.鈴木長崎市長の試食
4.報道陣によるインタビュー

当日の様子

ヴィーガン仕様の長崎ちゃんぽんが好調!売上にも手応え

ANAクラウンプラザホテル長崎グラバーヒルでは、健康志向かつ動物性不使用の「ヘルシーちゃんぽん」が誕生。現在、レストランにおけるちゃんぽんのオーダー数全体の約10%をこの“ヘルシーちゃんぽん”が占めるまでに成長しています。

「海外からのお客様はもちろん、日本人のお客様にもご好評いただいております。」と山口氏は語りました。
今後の課題として挙げられるのが、五葷(ごくん)フリーへの対応です。台湾からのゲストも多いことから、宗教や文化的背景をふまえたさらなる改良を進めていきたいとしています。

また、ホテルスタッフ向けには2回にわたって個別のセミナーが実施され、現場の意識改革にもつながっています。「スタッフ一人ひとりの理解が深まったことで、接客や説明にも自信が持てるようになりました」との声も披露されました。

ヴィーガン長崎ちゃんぽん&皿うどん

お弁当屋も「アレルギー・ヴィーガン対応」に挑戦中

一方、市内で観光客向けのお弁当を手がけるいずや弁当は、これまで修学旅行や団体旅行向けに弁当を提供してきました。しかし近年は、アレルギーやハラール、ヴィーガンといったニーズが増え、対応に頭を悩ませていたといいます。

「正直、どこから手をつけていいかわからなかった」と語る山口氏は、昨年度事業のセミナーに参加。そこでメニュー開発の支援を受けたことで、「解決への光が見えました」と振り返ります。

特に難しかったのがタレの開発。動物性原料や五葷を使わない制約のなかで、味の深みを出すことに苦労したそうですが、試行錯誤の末、納得のいくものが完成しました。

そして早速、国際会議からのお弁当提供の引き合いもあり、今後の展開に大きな期待が寄せられています。「せっかくここまで来たので、しっかりと継続していきたい」と力強く話してくださいました。

ヴィーガン対応の弁当とハラール対応の弁当

長崎の食の可能性を広げる取り組み

この日初めて試食した鈴木長崎市長は、「ハラールやヴィーガンと言っても、普段私達が食べているメニューと大きな違いはない。長崎市にとっても大きな武器になる取り組みだ。長崎のおいしい食材、料理をますます広げて世界へ知ってもらいたい」と語り、大きな手応えを感じていました。

食の多様性対応は、単なるメニュー開発にとどまらず、現場スタッフの理解や組織全体の取り組みによって初めて実を結びます。今回のような実践に根ざした事例が、これからの地域観光に新たな風を吹き込むことになりそうです。

試食を行う長崎市の鈴木市長