道南地区の飲食店・宿泊施設向けセミナー

去る2025年11月14日(金)、Discover Southern Hokkaido が主催で、ヴィーガン・ハラールなど「多様な食習慣・食文化対応ランチセミナー」が割烹旅館若松にて開催され、函館市はじめ道南地区の飲食店、宿泊施設関係者15名が参加しました。

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プログラム

第一部:ゼロから学べる!インバウンド対応食のセミナー  〜ちょっとの工夫でこんなに喜ばれる!ベジタリアン・ヴィーガン対応〜(90分)
講師:フードダイバーシティ 株式会社 共同創業者 横山 真也

第二部:割烹旅館若松のヴィーガンランチ試食(60分)

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函館・道南地区で求められるフードダイバーシティ対応とは

弊社・横山からは、インバウンドの基礎知識や世界的な旅行市場の動向、ベジタリアン・ムスリムといった食事ルールの全体像、そして具体的な食材・調味料の選び方について解説がありました。特に、多様な食習慣への対応において観光庁も推奨する「違いに注目するのではなく、共通性に着目して対応を進めること」の重要性が強調されました。

観光庁発行のガイドブックより

ヴィーガンやムスリム対応は「個別の専用メニューが必要でコストがかかる」と思われがちですが、実際には既存メニューを少し工夫し、「みんなが共通して食べられる部分」を標準化することで、現場の負担やコストを抑えつつ多くのお客様に喜んでもらえることが示されました。具体例として、地元の名物メニューをフードダイバーシティに対応させる具体例として、味噌煮込みうどんや天丼をハラールやヴィーガン仕様に変更する際の食材置換案について、詳しく説明されました。

函館市は北海道の中で三番目に訪日客が多い

一方で、函館市は北海道内の外国人宿泊数で第3位(年間489,135人)でありながら、世界的なベジタリアン検索アプリ「Happy Cow」での登録件数はわずか13件にとどまっています。ムスリム向けの検索アプリ「Halal Gourmet Japan」でも同様に選択肢が非常に限られている現状があり、旅行者が安心して食事を楽しめる環境を「面」として整えていく必要性が示唆されました。

訪日客に比してヴィーガン対応している店舗が少ない

第二部では、会場となった割烹旅館若松のヴィーガンランチを試食しました。同店は世界的なグルメガイドブックで一つ星を獲得している名店で、地元食材を活かしたヴィーガンメニューが振る舞われました。

割烹旅館若松でのヴィーガンランチの試食の様子

参加者からは、「若松さんのヴィーガンメニューの素晴らしさに刺激を受けた」、「函館がインバウンドで重要視されている一方、情報発信の面でまだ伸び代があると感じた」、「業務スーパーなどで手に入るハラール認証食材を活用すれば、明日からでもメニュー開発に取り組めそうだ」 などの前向きな声が上がりました。

本セミナーを通じて、参加者が「メニュー開発シート」と「ポリシー」を作成し、情報発信していく第一歩を踏み出す機会となりました。今後も函館・道南エリア全体で、食の多様化に対応したおもてなしの輪を広げていくことが期待されます。