食の多様性対応に本気で向き合うために
昨今フードダイバーシティへの対応を考える企業が増加していますが、当社フードダイバーシティ株式会社ではこれまで数百社以上の現場対応を支援してきました。その中で今回は、「A:一夜漬け型」と「B:基礎重視+コツコツ型」という2つのパターンについて説明したいと思います。
一見、表面的にはどちらも“対応している”もしくは“対応できている”ように見えますが、その先に待つ未来には決定的な差があります。この記事では、フードダイバーシティ株式会社の支援経験から見えてきた、両者の違いについて具体的にご紹介します。
A:対応がゴール、「答え」のみを学んで対応【一夜漬け型】
例:テストのために、前日に一夜漬けで覚えるような対応。
ハラールでいくと「豚」「ハラール屠畜されていない肉」「アルコール」がNGというルールだけを学んでスタートをする状態。
これは逆に考えると「日本人はいろんなものに醤油をかける」「主に箸を使う」「UMAMIが大事」という情報だけを学んで日本人向けの料理を作る外国人シェフと同じと言っていいでしょう。
Aの未来
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内容をすぐに忘れ、毎回いちからスタート
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表面的な対応になるので、お客様からの信頼を得られない
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お客様の信頼を得られないため、結果が出にくい
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社内で属人的な取り組みとなり、分かる人が辞めたら取り組みも終了
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オペレーションに無理が出て、スタッフが疲弊する
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結果的にコストや手間が増える
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フードダイバーシティ対応が「やりたくないもの」になる
この型はテスト直前に詰め込み勉強をして何とかしようとする学生のようなものです。一時的に試験は乗り切れても、内容はすぐに忘れ、次のテストではまたゼロからやり直し。さらに応用も効かず、基礎の積み上げがないため、成長や成果に繋がりにくいです。
B:「なぜ」から学び、基礎知識と習慣で対応【基礎重視+コツコツ型】
例:いつテストがあってもいいように、基礎知識を固め、日々の習慣を変えて学び続ける姿勢。
これは、ハラールでいくと「なぜ豚がNGなのか」「なぜ1日5回の礼拝が重要なのか」「なぜ断食をするのか、どのように断食するのか」などの知識を固めてからスタートし、日々の取り組みやオペレーションに無理なく落とし込んでいくことです。
同じく逆で考えると「なぜ日本では醤油などの発酵調味料が古くから使われているか」「なぜ箸を使って食べることを好むのか」「なぜUMAMIを重視して、料理を作っているか」などを理解してから、外国人シェフが日本人に料理を作ることと同じです。
Bの未来
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スタッフ全体で共通認識を持ち、一貫した対応ができる
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「なぜ」が分かるので応用力がつき、お客様の細かなニーズに対応可能
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顧客からの信頼が積み上がり、口コミ、リピーターが増える
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スタッフのやりがいが高まり、自然と改善が進む
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コストや手間が減り、安定した成果が出る
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業界内での差別化になり、競争優位が生まれる
基礎を学び、習慣作りを行って対応するお店は強く、どんな状況でもブレず、長期的に成果を出し続けています。また、基礎を学ばずに表面的なルールだけを覚えて対応したお店は、一時的な結果こそ出ても、いずれ基礎を固めたお店に一気に抜かれていく現場をたくさん見てきました。
Bを実現するための具体的なソリューション
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フードダイバーシティ株式会社の研修
スタッフの基礎知識を体系的に育成。宗教・文化・食習慣の違いを理解する土台をつくる。 -
会社としての理念・ポリシー作り
全社でフードダイバーシティ対応に取り組むための価値観を明文化し、ブレない方向性を持つ。 -
マニュアルや対応ルールの整備
属人化を防ぎ、誰が対応しても一定の質を保てる仕組みを構築する。 -
スタッフ全員への継続的な学びの機会提供
新入社員研修や定期勉強会などで、知識のアップデートと定着を図る。 -
日常業務と連動した仕組み化(オペレーションへの組み込み)
フードダイバーシティ対応を特別なものにせず、日々の業務の一部として組み込む。「対応する」ではなく、「対応できている状態」を作る。 -
定期的な振り返りと改善の場を設ける
対応が形骸化しないよう、定期的に取り組み状況を評価・改善していく。
フードダイバーシティ株式会社が行う講演・コンサルティングは全て「B:基礎重視+コツコツ型」
フードダイバーシティ株式会社のすべての講演・コンサルティングは、「B:基礎重視+コツコツ型」の支援です。それは、Bこそが成果を出し続ける唯一の道だと考えているからです。
実際に現場で私たちが見てきたのは、基礎からしっかり取り組んだお店ほど、長期的に成果を出し、お客様からの信頼を得ているという事実です。訪日外国人や多様な食文化への対応が求められるこれからの時代、選ばれるお店になるために必要なのは、表面的な対応ではなく、本質的な「基礎力」と「コツコツ積み上げる姿勢」です。
だからこそ、私たちは“続く成果”を生む土台づくりをご一緒します。