チャンスをしっかりと掴む観光政策に
食の多様性対応を支援するフードダイバーシティ株式会社の横山です。
先日、2024年の「グローバル・ムスリムトラベル・インデックス(GMTI)」が発表されました。このインデックスは世界145の国と地域を対象にムスリムに優しい旅行先をランキングしています。日本はかつてOIC(イスラム協力機構)非加盟国のカテゴリーでランクアップを続けてきましたが、コロナ禍を境に伸び悩んでいます。
インデックスの評価は、アクセス、コミュニケーション、環境、サービスの4つのカテゴリーに基づいて行われます。日本はこれらのカテゴリーで昨年の6位から今年は8位にランクダウンしました。評価による得点自体は昨年と同点でしたが、台湾、香港、スペインなどが積極的なプロモーション活動により得点を上げたからです。
こうした国々の積極さは観光外交においても目立っています。例えば、これらの国々はインデックスを主宰しているクレセントレーティング社(シンガポール)と包括的な提携を結び、行政が主体となって環境整備とプロモーションを展開しています。また、インデックスの発表会には国の要人を派遣し、自国の積極性をアピールし、少しでも高評価に繋がるようにロビー活動にも積極的です。
弊誌のインタビューに応じたクレセントレーティング社のCEOファザル氏は日本への変わらぬ期待を述べつつも、「日本はオーバーツーリズムの解消が喫緊の問題であると認識している。観光立国への道においてはいずれの国も経験してきたことですので、長期的な視野に立って欲しい」と述べました。
日本のインバウンドは目下絶好調ですが、観光立国を目指すには市場の多様化が欠かせません。どこに行ってもいつ行っても同じではない日本だからこそ、地元のものや季節のものを活かして旅行者を魅了できるコンテンツを創り出せます。
今年はランクダウンした日本ですが、他国にはない資源を活かせば再度ランクアップできるでしょう。
著者
横山 真也
フードダイバーシティ株式会社 共同創業者
キャリアダイバーシティ株式会社 共同創業者
ヨコヤマ・アンド・カンパニー株式会社 代表取締役
日本と海外での複数の起業が評価され、16年シンガポールマレー商工会議所から起業家賞を受賞(日本人初)
NNA ASIA経済ニュースコラムニスト
著書に「おいしいダイバーシティ~美食ニッポンを開国せよ~」(ころから株式会社)
ビジネス・ブレークスルー大学経営学部および東洋大学国際学部 非常勤講師