続くコロナ禍、2021年のラマダンの様子は?

皆さん、こんにちは。フードダイバーシティ株式会社の和田です。

先月に配信した「2021年ラマダンはいつから?今さら聞けない『ラマダン』の7つのこと」の反響が非常に大きく、ラマダンという言葉の浸透度や注目度が年々高くなっていると感じています。2021年の日本でのラマダンは以下の期間に断食が行われました。

ラマダン開始日:2021年4月13日
ラマダン終了日:2021年5月12日

今回は、2021年の「ラマダン」の国内外での様子を紹介します。

2020年に引き続き、「ステイホーム」が中心のラマダン

新型コロナウイルスの感染拡大を受け、4月25日より東京や大阪府をはじめとした都府県で緊急事態宣言が発令されました。コロナ禍以前では、イフタール(断食明けの食事)はモスクで行われていましたが、今年は集団で行う活動に対して制限をかけるモスクが目立ちました。

例えば、日本最大規模のモスク「東京ジャーミイ」では、コロナ感染拡大防止のため、イフタールは行われずラマダン中に行う夜間の礼拝のみが実施されました。
また、御徒町にあるモスクでは、イフタールは実施されたものの、
・検温/消毒
・マスク着用
・ソーシャルディスタンス
・小分けでの食事提供
・事前登録(人数制限)
のような感染対策が講じられた上での実施となりました。

そのため、モスクや飲食店で食事をするムスリムは少なく、不要不急の外出を避け、家で食事を取ったり礼拝をしたりする人々の割合の方が多かったといえます。一方、家で食事をする機会が増えたことでデリバリーやテイクアウトを利用する頻度が高まり、デリバリーメニューを準備していた飲食店には大量注文が相次いで入ったとの声もあがっています。

また、最近ではインスタグラムなどのSNSを通じてデリバリー注文をするムスリムも増加しました。去年と今年のラマダンを経て、ムスリムのオンライン注文への依存度が格段に上がり、店舗側は注文方法のデジタル化など、より幅広い販売方法が求められてきていることも浮き彫りになりました。

ラマダン明けの「イード(お祭り)」においては、モスクでの礼拝は十分な感染対策を講じた上で20分ほどの実施となりました。(通常は40~60分程)また、通常お祝いムードに包まれるイードでは家族や友人が集まって食事会をしますが、今年はそのような集会も概ね自粛されました。

総じて、全体的に今年のラマダンは昨年に引き続き、外出規制が勧告された中で断食が行われ、各活動は控えめだった印象です。一方、政府や自治体の要請に従いながら、コミュニティや団体でしっかり感染対策のガイドラインを策定し、徐々に活動できる範囲を広げている様子も伺えました。

一方海外では・・・

日本最大のムスリム数を誇るインドネシアやその隣のマレーシアでは、厳戒態勢が敷かれ、モスクでのイフタールだけでなくその他の集団活動も規制(一部では禁止)されています。そして、ラマダン明けに一般的に行われる帰省への制限も政府から発表されました。
参考リンク:https://www.jetro.go.jp/biznews/2021/04/18cd7f7e7bfa6ca2.html

一方、人口の95%をムスリムが占めるトルコでは感染拡大防止に伴い、ラマダン明けの連休中も原則24時間外出禁止となりました。サウジアラビアやカタールなどの湾岸諸国やエジプトなどでも感染者の増加が収まらず、ラマダン明けの連休の外出制限や商業活動の規制が強化されています。海外でのイードも日本同様、自粛ムード一色で控えめに祝福がされていました。

次のお祭りは、「犠牲祭」!

イスラム教には、2大お祭りがあります。今回のラマダン終了を祝うイードの他に「犠牲祭」とよばれるイードが控えています。この「犠牲祭」については、また別の機会で紹介をさせていただきますので、お楽しみにお待ちください。