よくある質問に回答

人口の約12.3%がベジタリアンである台湾からの訪日旅行者に向けてメニューを展開する事業者様から、フードダイバーシティ株式会社には、特に次の2点について多くのお問い合わせが寄せられています。

  • 台湾素食ではアルコールは使っていいの?

  • 生姜は五葷(ごくん)に入るの?

日本や欧米のヴィーガンの感覚で考えると、これらは誤解が生じやすいポイントでもあります。

Q1|台湾素食では「アルコール」は使っていい?

A|原則NG

台湾の素食は、仏教文化を背景に発展しており、多くの実践者が 「戒酒(飲酒を避ける)」 という考え方を持っています。そのため台湾政府(衛生福利部・食品薬物管理署/TFDA)の素食表示に関する公式Q&Aでは、以下のような見解です。

公式Q&A 140ページ参照

【日本語訳】
Q13: 原材料としてアルコールが添加されているものの、製品自体からは検出可能なアルコールが確認されない場合、その製品を「ベジタリアン(全素/純素)」「オボ・ベジタリアン(蛋素)」「ラクト・ベジタリアン(奶素)」「ラクト・オボ・ベジタリアン(蛋奶素)」または「植物五辛素」と表示することはできますか。
また、原材料に含まれるアルコールの使用割合について規制はありますか。例えば、アルコール含有量が0.5%未満であれば、アルコールとはみなされず、「全素(純素)」と表示することは可能でしょうか。

A13:「包装食品におけるベジタリアン表示に関する規定」によると、ベジタリアンを表示する包装食品は、パッケージ上に「全素(純素)」「蛋素」「奶素」「蛋奶素」「植物五辛素」などの区分を明確に表示しなければなりません。しかしながら、多くのベジタリアンは飲酒を避ける(戒酒)という考え方を持っています。そのため、製品に含まれるアルコールが、発酵過程において自然に生成されたものではなく(例:味噌や醤油などの発酵食品を除く)、成分としてアルコールが添加されている場合(例:アルコールを添加した香料、赤ワインエキスなど)には、含有量の多少にかかわらず、ベジタリアン表示を行うことは適切ではありません。

Q2|「生姜」は五葷に入る?

A|入りません(全素/純素でも使用可能)

五葷(ごくん)とは、台湾素食で避けられる特定の香味野菜のことを指します。

五葷に含まれるもの(台湾政府HPより)

  • 葱(ねぎ)

  • 蒜(にんにく)

  • 韭(にら)

  • 薤(らっきょう類)

  • 興蕖(玉ねぎ類)

この五種のみが五葷であり、生姜は含まれていません。実際に台湾の素食料理や代表的な即席麺などでも、生姜は実際に使われております。

なぜ、このような誤解が生まれるのかは、日本・中華圏・ヴィーガン文化の混同が主な原因です。

①「五葷=刺激の強い香味野菜」という誤解

五葷(ごくん/五辛)は、「匂いや刺激が強い野菜全般」ではありません。

しかし日本語や飲食現場では、

  • 香りが強い

  • 体を温める

  • 薬味として使われる

といった理由から、生姜・唐辛子・山椒なども一括りに「五葷っぽいもの」として扱われてしまうことがあります。実際の五葷は、特定の5種類の植物のみを指す宗教的・文化的な概念であり、刺激の有無で決まるものではありません。

② 日本の精進料理の解釈が影響している

日本の精進料理では、

  • 「匂いの強いものを避ける」

  • 「煩悩を刺激する食材を控える」

という思想が語られることが多く、この説明の中で 生姜が“控える食材”として挙げられる場合があります。

その結果、「精進料理で控える→五葷→ 生姜も五葷」という 誤った連想 が生まれやすくなっています。

③ ヴィーガン・マクロビとの混同

欧米ヴィーガンやマクロビオティックでは、

  • 生姜を「刺激物」として避ける人がいる

  • 体質・思想による食材制限が存在する

ため、「ヴィーガンでNG」=「台湾素食でもNG」と誤解されがちです。しかし 台湾素食は明確な分類が行われいるので、これらとは全く別物です。